08_幸せのゴスロリ服

美化200%劇場 - (8)幸せのゴスロリ服

いわゆるゴスロリファッションが好きです。

眺めるのが好き・・・ではなく、着るほうです。

私自身は流行というものには疎いほうで、絵描きとしては残念なことに、時代を先取りするタイプではありません。ファッションにしても、私が気づくころにはもう、流行は頂点を過ぎ、だいぶ落ち着いてしまっている状態になっています。

ですから、私のゴスロリデビューはほんの10年前くらいの話です。
当時は周囲のほとんどの方々にドン引きされたような気がします。初めて買ったお洋服で皆の前に現れたときの皆の反応ときたら、お約束どおりでした(笑)

ただ、しばらくは「着るのやめなよ」などと忠告してくれた人もいましたが、1年くらいマイペースで着続けてみると周囲のほうもだんだん慣れてきて(諦めて?)しまったような気がします。
むしろ当時以降、新しくお知り合いになった皆様からは、もうかなり若い頃から着ていると思われたくらい、私もお洋服に馴染み、お洋服も私に馴染んでくれました。

思い起こせば、子どもの頃の私はけっこうな老け顏だったようで、パフスリーブと後ろで帯を蝶結びにするワンピースへの憧れはありましたが、基本的に可愛らしい格好は一切似合いませんでした。中学生になって、モノトーンが流行したときにも、ゴスロリ服を連想させるようなフリルのブラウスにスカートで原宿に行くことを夢見ていましたが、結局はなんとなく気恥ずかしくて無理でした。

だから、大人になってだいぶ経ってから、突然「このお洋服がほしい!」と居ても立ってもいられずに原宿までお財布を握りしめて向かったのは、自分でも意外でした。

しかも、初めて試着した姿を鏡に映し、「私ってこういうの似合うじゃない!」と能天気にも感激してしまったなんて。盛り盛りのフリルやレースがこんなに私を幸せな気持ちにしてくれるなんて思いませんでした。

人間、外見じゃなくて中身でしょう?と言う人は多い。否定はしません。
でも考えてみれば、外見と中身はたいてい連動しています。
生まれつきの骨格で作られた顔つきや体つきの話ではなく、何をどのように着てどのように振る舞うか、それがその人を物語り、服との付き合い方がその人を作り続けるという一面は確実にあります。

だから、もちろんTPOをわきまえることは必要ですが、自分の気持ちに寄り添うお洋服を着るのが一番幸せなのではないでしょうか。

ところで、ここ何年かは諸事情により、ほとんど着用していません。
生活パターンもだいぶ変化したので、以前のように気兼ねなくゴスロリ姿でおでかけできない事情も増えました。
持っていたお洋服も半分くらいはユーズドのお店に買い取りしてもらいました。
ただ、どうしても手放せないお洋服はあるし、いまだに好きなものは好き。街で可愛らしくおしゃれしたお嬢さんを見かけると、ああいいなあといつまでも眺めてしまいます。

いつかまたもう一度、本当に私に似合うお洋服をお迎えして、幸せな心地でおでかけしたいと思います。

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