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ロートバイク未経験者、3ヶ月後のトライアスロンを申込む【思考法】

2019年1月はじめ、おれは石垣島トライアスロン2019のWEBを開いていた。
そして、なぜかワクワクしてきた。
冷静に考えると無謀であるのだが、事もあろうに、次の瞬間、おれは出場申込のフォームを入力し始めた。
そして、エントリー費用も支払ってしまった。
その後、全身に冷や汗?をかきつつ、不思議な満足感に浸っていた。
冷蔵庫からビールを取り出し、おもむろに飲み干した。

その頃のおれは、トライアスロンに興味があるのだが、ロードバイクを持っていない以前にロードバイクを運転したこともなかった。
勢いでエントリーしたおれには、2019年4月トライアスロン出場という重圧がのりかかる。

まさに、スターウォーズのヨーダの言葉の境地である。
「Do. Or do not. There is no try.」(やる!それか、やらない、試すなんてない!)

まず、頭を冷静に、状況を整理し始めた。
「ロードバイクを買う必要がある、そして練習して、最低でも40km走れないとゴールできない」
「高校から水泳部に入って少し泳いでいたので、スイムはどうにかなるかもしれない。いや、海だ、それも、たくさんの人数の中で、波の中で泳ぐ。かなりハードかも」
「ランは10km、30kmの釧路湿原マラソンを完走したのでどうにかなるかもしれない」

2月末にロードバイク、納車したが、あと1ヶ月しかない。
ロードバイクの拷問のような姿勢に身体が悲鳴をあげ、またビンディングペダルを試したものの、ふくらはぎや膝周辺が痛く、歩行もままならない状況になってしまった。
10年ほど前、交通事故にあったおれは両膝をのべ4回手術しているので、普通の人と同じようにはいかなかった。
「ビンディングペダルはもうやめだ!ランニングシューズでペダリングすればいいじゃん!」
恥ずかしさより、完走が重要である。
国際会議で海外出張、風邪で寝込んでしまったことなどもあり、実際はトータル100kmちょいぐらいのロードバイクトレーニング練習で大会となってしまった。

スイム、1500mを26分ぐらいでエントリーしたため、2番目に速いグループからスタート。
スタート前、おれは青ざめた。
大会用に購入した新しいゴーグルをトランジションエリアに置いてきてしまった。
今手にしているのは、使い古しのゴーグル、それも曇り止めを塗るのを忘れた。
走って入水したが、5秒後、
「前が曇って見えない」
さらに、周りに人がいて、頭や顔、そこら中を蹴りまくられ、もみくちゃにされた。
競泳しかやったことのないおれは、集団で泳いだことがない。
スイマーのはずのおれが、まさかの溺れ始めた。
もみくちゃにされ、ゴーグルは曇り、水を飲み、呼吸もできない。
泳ぐのが得意だったおれが、スイムで死を感じた。
身体が震え始め、目の前がぐるぐる回り始めた。
前が見えない状況で、かろうじてロープに近づいた。
曇ってもロープだけは少しだけ見えた。
「ロープを横目でたどれば、浜まで泳げるんじゃん?」
泣きながら1周目を終えた。
あと1周ある。
浜でおれは15秒ぐらい立ち尽くした。
後続の選手がどんどん入水していく。
「明らかにもう入水したくないぜ。が、ロードバイク30万弱だった。ここでリタイヤはもったいない。そして、かっこ悪すぎる。2周目、入水したらどうにかなるんじゃん?」
最後の力を振り絞って、入水した。
不思議と息は上がってフラフラだが、奇跡的に浜に戻ることができた。

トランジションエリアでウェットスーツを脱ぎ、ロードバイクに移行。
ビンディングペダルを使っていない選手は、おれぐらいであろう。
ロードバイク乗りから見ると、ランニングシューズかつ変な姿勢で乗車しているおれは不気味だったかもしれない。
しかし、1年前おれはクロスバイクで30kgの重量をこいで、知床峠をクリアし、一日で170km弱走った経験があった。
「ペダル回せば、ゴールできるべ!」
あろうことか、未経験のおれが、ロードバイクやTTバイクを抜き始めた。
はっきりいって、気合だけである。
40kmを走り終えた。

残りは10kmのランである。
もう余力は残っていないのであるが、石垣島の島の人達が超絶あたたかい応援。
気がついたら、ラスト1km。
「あと1kmクリアしたら、おれってゴールできるんじゃん!一応、トライアスリートって言えるじゃん!」
ラスト1kmはフラフラだったが、石垣島や波照間島の知り合いなど、沿道で手を降って応援してくれていたので、顔だけは笑顔で走りきった。

完走するとこのバスタオルもらえます

蓋を開けてみると、約1000名の参加者のうち、150位台となかなかの大健闘。
その時、おれはフォースという力を信じた。

実は、1月に大会申込みしたあと、マラソン10kmに参加して、ゴール後に撮った写真に、ペンで、「2019年4月石垣島トライアスロン、完走」と書いて、部屋に貼っておいたのである。
毎日それを見ながら、「おれは必ず完走する」とイメージしてきた。
まさにフォースである。

完走後の石垣島での乾杯は、人生で一番おいしいお酒でした!

最後まで読んでいただいてありがとうございます!

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