見出し画像

詩|フォーエバーヤング

午前2時過ぎ シンクに水滴が落ちる
ラジオの笑い声で目が覚めて、こんな風に笑えたらなって何度も思って二度寝
夢に見る街はいつも優しくて残酷な光
帰る場所は何処にも無いと、先生に告げられた学級会
ページを捲れなくなった卒業式 桜が舞って何も見えなくなった

ティーンのわたしに押し寄せる荒波の、その全ては青春そのもの
忘れないはずの宝物だった

ネオンライトに照らされて、引き摺り出す過去と追憶
冒涜だらけで尊敬の無い日々
振り向いても誰もいない東京 演技力が試されるの今日も
エッチなシーンから目を背けたあの頃みたいに、何もない私でいさせて

「ひとりぼっち」になれたのは一人じゃなかったから
「さよなら」が言えるのは一人じゃなかったから
それでもいい加減、さよならばかりで飽き飽きしてんだ

平成ポップカルチャー zipper SWIMMER
マンションになった市民プール 憧れのエンジェルブルー
色とりどり魔法少女 日曜朝の救世主
は、いなくなっちゃった

大人になった事に確かに気づいたその時に、このままじゃ駄目だと新品の靴を履いて家を飛び出した
何処かから聞こえるギターの音
懐かしい音
その音を頼りに探し出すフォーエバーヤング
思い出して、あの時流れていたあの音楽を
胸の高鳴りと同期したあの音楽を
思い出すよ

初夏の湿度は少女を攫い、劣等感ばかりを残していった
あの日送るはずだったラブレターはゴミ箱へ
沢山の思い出はゴミ箱へ
サイズの合わない靴は履き替えて
あの頃よりも狭い曇り空の下で、きみとの約束を果たしに走る
新しい傷も新しい痛みもすべて味方につけて
思い出の音が導くフォーエバーヤング
もう一生終わらない青春


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?