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STATE OF FLORIDA vs CHARIE ADELSON: ~その⑤~GUILTY(有罪)

彼が評決を目を閉じて、震える心の耳で聴いた時、閉じた目が大きく開き、涙でシバシバしつつ、眉間に皺が寄って、口からおぅ、と言う、のたうつような痛みへのため息と、首から上がガックリと落ちて、机の上に彼は突っ伏してしまった。

覚悟はしていただろうけど、とても怖いだろうと思う。私は個人的には、家族そのものが素晴らしい家族とは思っていなかったが、チャーリー自身が有罪になるとは思わなかった。だから、意外だ。

あんまり直接的証拠に欠けた嫌疑だな、と思っていたので、有罪になると思わなかった。甘いルックスで、如何にも好い質の白人ミドルクラスの中で金を無くしたことも無い、いつも小金を払って何とか社会で逃げ遂せてきた家族だ。

金持ちで、柔で、ハンサムで背が高い、どのくらい刑務所で彼が虐められるのだろうと思うと、少し怖くなる。

彼は必ずと言っていいほど命を狙われるだろうし、ギャングたちから朝に夜にタカられて、殴られ、レイプもされるだろう。既にされたのかも知れない。彼はそんなところで終身刑になるんだ。可哀相に。保釈が貰えたとしても20年してからだ。なんて気の遠くなる程の長い時間。

これからエイドルソン家は、どうやって暮らしていくのだろう。ねずみ講で世を潰した父親、ハーベィは、支配主義的な母親ドナの愚痴や文句や呪い言葉に耳を塞いで立場が弱くなり、黙って来させられてきたのだろう。今、アメリカでは全国でエイドルソン家のどのメンバーが逮捕されるのかを賭けている人が多い。競馬か商売みたいに。

母親のダナは、父のハーヴェイに代わって支配権を取り去った。彼女の他人への憎悪感、口の悪さ、下品な態度、家族への悪口雑言は、家族だけでなく、義理の息子でさえもうんざりした筈だ。だからこそ、母親の支配主義的影響が大きいから、煩いものに蓋をする様に、親孝行息子が選んだのは不満を謂うのではなく、彼女の命令に従って、金を出してやり、ヒットマンを雇ったんだろう。儲けの殆どを母親に捧げる事で生きて来たんだ。勿論、自分の儲けの一部を当時のガールフレンドや自分の遊びには使っていただろうが、彼は金で始末をつける人だった。多分、そこで、神の評決も下ったのかも知れない。神は金が嫌いだからね。

それとも、親に金銭的にも息子としてとても愛情を見せていた彼だけに、アメリカで一番嫌われたと言うこの白人家族への憎しみが、チャーリーを有罪として犠牲にした、と思われてしまう。

プライドが高いだけでなく、歯科外科医として高額の収入を得てきているチャーリーが刑務所で持つのだろうか。不憫だ。

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