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モロヘイヤ食べたいや

朝起きたら(正確にはほとんど昼)、恋人からLINEが来ていて、それは甲子園についての話だった。甲子園か。そうだったか、夏も夏とて、8月も中旬なんだ。冷房を止めて、窓を開けて換気するとむうっと熱い空気が窓枠にまとわりつくように流れ込んでくる。顔を洗って、ひとまず麦茶を飲んで、ラジオを聴いて、メール画面でメールチェック。

昨日は朝から踊りをしていたからか、身体の奥がなんだか強張っている。またしても筋肉痛だ。柔軟をしてアイソレーションをする。アイソレーションというのは身体の一部分だけを動かす、ダンスのアップ作業のひとつ。首だけを動かし、胸だけを動かし、腰だけを動かす。前に右に後ろに左に。そのあとは東西南北みたいを描くように動かしていく。昔のパソコンのように私の起動時間は長い。そろそろ効果音が鳴るくらい。

朝ごはんも食べぬまま、すこし複業のほうを手伝って台風がただただ接近しないことばかりを願う。Netflixで何回目かわからないクイアアイを観てうっすら目に涙を浮かべ、また顔を洗って昼ごはんを食べる。我が家はなぜか冷蔵庫が2つあるのだけれど、冷蔵庫を開けても主食は見当たらない。ぬか漬けかピクルスだ。お漬け物とお漬け物だよ。どうしよう。空腹のあまり、ちょっとなにかを作る気力もなくて、母が蕎麦を出してくれた。

「お蕎麦のおつゆがないから、このだしをのばして使ってくれるかしら?味が濃いからモロヘイヤでもいれなさい。」

なんだろう、そのソリューション。でも嫌いじゃないな、母のそんな感じの提案が。夏が来ているから、モロヘイヤ。サマーヌードを聴いて、甘酸っぱいいろいろを思い出したら、モロヘイヤがお蕎麦もおだしもからめ取り、お皿が空っぽになった。モロヘイヤ、そうやって悲しい気持ちもさみしい気持ちもからめ取って飲み込ませておくれ。