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教育はモチベ心理学で改善しなさそうだから脳波測定うけてきた:個別最適の学びへ②

こんにちは、トキワです(@etokiwa999)。

引き続き、人間にどんな影響を与えたら良くなるのか・悪くなるのか、に興味があります。特に「良くなる」は「教育」と言い換えてもいいです。

そこで去年色んな本を読み漁って、以下の記事を書きました。「人間は才能・遺伝だけではなく環境も大事」といいますが、じゃあ「環境」って具体的になに?どんな環境ならいいの?というのをまとめました。

調べるなかで色んな学問分野が出てきます。経済学、経営学、社会学、疫学、そして心理学です。この最後の心理学がとても厄介なのです。

心は目に見えるわけではありません。アンケートで聞いても本心かどうか分かりません。だから発言と行動のつながりを見ていく必要があります。

その発言と行動のつながりを「厳密にちゃんと」見ないと、同じ環境下で同じことが起きないことがしばしばあります。これを「再現性がない」と言います。

最近、心理学は「再現性の危機」と言われており、とても有名な実験が再現しない、となって業界がザワザワしてるわけです。以下に色々まとまっています。

この中で教育関連でいうと、マシュマロテストやグロースマインドセット理論などが有名ですが、再現性がないことが分かっています。そしてさらに「教師の期待によって生徒の成績が向上するという効果(ピグマリオン効果)」再現性は存在するが効果は小さい、となっています。

先日、ビリギャルの小林さやかさんがオンラインでの講演イベントがありましたが、「ビリギャルを科学的に証明するために海外留学している」とのことでした。

そこで以下のスライドを使って紹介されていたのが自己効力感、ヤーキーズドットソンの法則、フロー、自己成就予言、リフレーミング、そしてピグマリオン効果でした。ビジネス書に書いてありそうな内容で、どうやら学んだことをそのまま鵜呑みにするタイプのようでした。

こういった心理学の限界から、行動遺伝学の本を読んでは遺伝子検査を受けたり、知能が遺伝の影響を強く受けることを知っては知能検査を受けたりしてきました。というわけで今回は測定シリーズパート2です笑。

そんな心理学への問題意識と検査欲から、以下のツイートを目にしました。

deribaさんのプロフィールを見てみると、どうやら現在博士課程で脳波の研究をしているとのこと。遺伝子検査、知能検査と続いて脳波測定もやりたいと思っていたのでDMしてみると、測定していただけることに!

というわけではるばる新川崎駅にある慶應義塾大学のキャンパスに行ってきました!日吉・三田・湘南以外の場所、初めて知りました笑。

お会いしてみて話してみると面白いことに、deribaさんは元々塾講師をやっていたそうで、しかも勉強を教えるよりもモチベーション管理重視のほうで、そこで心理学の知見を使っていたそうです。

とても自信があってやってみたものの、思うように子どもの成績が伸びず、そこから脳波の世界に興味をもったのだとか(もちろんその間にもきっと色々あったと思います)。興味のきっかけがとても近かったです。

で、さっそく以下のようにデバイスを頭につけて、脳からの電気を計測しやすくするようにジェルをつけました(電気でビリビリするわけではありません)。

この状態でパソコンに表示される問題をパッパッとこなしていき、その間の脳波を測定します。問題はパッパッとこなせるので50問x10回で500問行いました。

途中眠くて危なかったですが、後半やる気が出てきて、そういうことも全部脳波に表れてました笑。

(ここから先は、現在まだ研究中なので確定的なことは言えませんので、参考程度にご覧ください)

deribaさんいわく、まず興味深いのは「集中力」のように何となく学習に影響しそうなものはあまり問題の回答に影響しない可能性が高いとのことでした。

じゃあ何が影響するのか?というと「間違いを指摘された時の反応が強いかどうか」だそうです。つまり俗っぽく言うと「負けず嫌い」ということです。

具体的な脳波の反応でいうとFeedback related negativity(FRN)といいます。私の結果はかなり高い値がでました。これは心当たりがあり、眠気が冷めた問題後半、間違えた時に「クソッ」って思いました笑。

しかし負けず嫌いだけではだめで、その後、引き続き「意識して改善していく」というのも必要で、負けず嫌いと意識のつながりが重要とのことでした。この部分については少し高いぐらいの値が出ました。

今回は50問x10回を連続して行っていましたが、deribaさんとしては、例えば50問終わったら回答結果を伝えたり「間違えた時に意識してみて」と伝えたりすることで、この値が変わるのか、という研究もしていきたいとおっしゃってました。

(deribaさんありがとうございました!)

この脳波測定を受けた後、いつも通り考えたことは、

1、この脳波の遺伝率はどれぐらいなのか?
2、脳波以外でこの傾向を測定できないか?

ということです。

FRNと近い反応としてerror-related negativity (ERN)というのがあり、これも含めた遺伝率はだいたい50%前後のようです(論文1論文2)。

2番の脳波以外の測定というのは、例えば、私が最近興味をもって研究している性格(Personality)です。性格診断のビッグファイブの中に「誠実性」というのがあり、これは地道に物事を遂行していく性格特性で、学力の高さや年収の高さを相関しやすいものです。

ERNでもFRNでも既存の論文を探してみたのですが、どうやらまだあまり研究されていないようで、あまり見つけることができませんでした。誠実性か神経症傾向のどちらか・両方が影響しているようです(論文3)。

ちなみにビッグファイブの誠実性・勤勉性もだいたい遺伝率は50%前後となっています。

書籍「教育は遺伝に勝てるか」より。左が学業、右が性格の遺伝率。

というわけで、遺伝子検査、知能検査、性格検査、と加えて脳波測定も行って、改めて自分の才能・個性に気づき、これをもっと子どものころに発揮しやすい環境にいたらよかったなあ、と思いました。

そのモチベーションで、もっと多くの子どもの教育環境を良くしていきたいと考えています。この「教育」は「学校」や「5教科」だけでなく子どもの生活環境すべてという意味です。

最近ニューロダイバーシティという言葉が界隈では生まれていて、ADHDや自閉症といった人たちの個性も包括していこう、というコンセプトなのですが、普通に生活している人たちの中にも脳波を見てみるともっと多様なのかもしれません。

知能や遺伝、性格だけでなく、脳波も、脳波ごとに教育・学習コンテンツのレコメンドとかできると、より個性を活かしやすい環境を用意できるかもしれません(個別最適学習)。

最後に、deribaさんは絶賛脳波のサンプルを集めて研究中ですので、もし興味のある方はぜひともご連絡とってみてください。以下Xとnoteになります。


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