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学校に行かないという選択。「感じる数学と紅茶と、雨のキャンプ。②」

旅の始まりは、いつだって突然だ。

毎日は、旅のようなものだけれど、実際の旅に出よう決めたら、準備に追われつつも、間に合うようにと算段を組むのだけれど、予定は予定、何事も自分の頭の中の算段通りに進まないことを思い知らされる。まぁ、子どもたちとの暮らしとは、頭で必死にシュミレーションするだけ無駄なのかもしれないと思わなくもないけれど、皆が困らないように最低限は、備えるようにしている。

そんな旅の始まりの話はこちら。


目的地の近くに到着したときは、ワークショップの開始30分前。うん、うん、遅れて出発したけれど、余裕じゃないか!と思ったけれど、そうは問屋が卸さない。

我が家のカーナビは新しいとは言えない。新しく出来た道は、反映されていないことも多々ある。

今回も、目的地の周辺地図だけが表示され、「目的地周辺です。案内を終了します。」とカーナビにあっさりと見放された私たちは、Google mapにお世話になることにした。

よし!と新たに指し示された場所へと車を走らせる・・・・が、
走れど走れど、それらしい建物は見つからない。

案内に従い、明らかに人も車も通った気配のない道をどんどん奥へと進む・・・

「ねぇ、なんかおかしくない?明らかに車が通った気配もないし、道が細くて車もすれ違えないよ。こんな場所にルピシアの本社作るかね?」

夫の素朴な疑問。

「でも、この道ってGoogleでは言ってるよ?わざわざ皆が驚くような場所に作ったんじゃない?ここは裏道で、表から行けるルートがあるんじゃない?」

脳天気な私。

森の中を車が草をかき分けながら進む。子どもたちは、探検に来たみたいで面白いね!と盛り上がる一方で、道の脇には草が茂り、向こう側は見えない。鬱蒼とした森の奥に進むにつれ、流石に私も少しは不安になってきた。

「そこ、左!」

地図が指し示した場所に到着すると・・・・

やや開けた場所にあったのは、ルピシア本社ではなく、なかなか年季の入っていそうな廃墟だった。

「ジュラシック・パークじゃない?!」

廃墟を見て盛り上がる子どもたち。建物は半分倒れかかっているのでは?とうような様子で、入口のガラス扉が所々割れている。周囲の鬱蒼とした雰囲気がまた怖さを助長している。

「タイムスリップしちゃったみたいだね!」「あ、虫がいる!」と長男は、虫網を片手に車を飛び出し、その後を追って二男と共に、姿を消した・・・。

えぇぇ~?!ちょっと、そのまま帰ってこないとかないよね?!
開催先に会場の場所を確認しようとするが、電波が届かず、どうにもならない。数分後、無事に戻ってきた長男と二男。

「なんか面白い!虫がいっぱい居るし!」

「ワークショップに間に合わないから、とりあえず乗って!もと来た道を戻ろう!」

子どもたちに車に乗るように声をかけ、慌てて来た道を戻る。大きな道路に出て他の車を見たときは、安堵した。電波も通じる!

時計を見ると、既に開始5分前。

開催先に電話をしても通じなかったので、ショップに連絡をし、本社に向かっていて道に迷ったことを伝えると、とても丁寧に道順を教えてくれた。た、助かった!

教わってからの道順は驚くほどスムーズで、看板も出ている。同じ道を何度も車で通っていた気がするが、私も夫も看板を見つけることができなかった。

「何かに化かされた気分だね・・・」

夫が呟いた。私もちょっとそんな気持ちになっていた。

「あの廃墟、もう一回行きたい!」

子どもたちは、怖いけど冒険しているみたいだった!と盛り上がる。もう一回行ったら、何もないかもしれないよ?そんな言葉が思い浮かんだけれど、末娘が怖がるので、口には出さず、子どもたちのリクエストの声を聞き流しした。

掲げられていた看板に沿って行くと、目の前に円形の建物が現れた。
2023年3月に東京・渋谷区から本社を移転したルピシア本社。

目の前には羊蹄山。周囲は森に囲まれた静かな場所。
本社デザインのことを、毎月届くお便りで見たことを思い出し、あぁ!あの建物だったのかと私の中でやっと繋がった。ルピシアが移転先に選んだ土地は、空と山にとても近い清々しい場所だった。

あの廃墟をルピシア本社だと思い込み、「ルピシアもなかなか変わった場所に本社を作ったのだなぁ。敢えてそういう場所を選んだのかしら。」などと思ったことを心の中で反省した。


子どもたちに、「もう始まってるかもしれないよ~」と声を掛け、子どもも、大人も走って会場に向かう。

入口では係の方が、「丁度始まったところですから、まだ導入部分です。大丈夫ですよ。」と優しく声を掛けてくださり、会場となる部屋へと案内してくださった。

こうして、やっと、ワークショップへの参加するスタートラインに立ったのだった。



帰宅してから「数学みえる化プロジェクト」のHPを拝見し、今回のワークショップの案内を見直していた。

すると、会場までの地図の横に太い赤字でこう書かれていた。


会場は右の地図の「新本社・ビール工場」です。
(Google mapでは正確に表示されないので、お気をつけください。)

Google mapでは、正確に表示されない・・・・

出発の前に確認した時に、この一文を見た記憶がない。
単なる見落としなのだろうけれど・・・。

私たちの案内された場所は一体、何処だったのだろう。


続く。




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