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漫画みたいな毎日。「子どもたちは、サンタクロース。」

昨日は、クリスマスイブ。

子どもたちは、サンタクロースがやってくる日を、随分と前から心待ちにしていた。

毎年、SNSなどで、友人のクリスマスの素敵な食卓を見るにつけ、「わぁ!美味しそう!」と思うものの、この時期の私は、「完全なるおせち料理モード」に入っているので、クリスマスの食卓はケーキを作るので手一杯で、それ以外は、通常モードだ。

子どもたちは、「ケーキが食べらればいいよ!」と、寛容な様子なので、それにも甘えつつも、救われる思いがしていた。

今年もそんなクリスマスになるだろうと思っていたが、長男が言った。

「今年、自分がケーキ作るよ。」

ほ、本当?!

嬉しいし、助かる!

長男は、計画的にクリスマスイブ前日に、豆腐クリームを作り、クリスマスイブの朝にスポンジケーキを二台焼いた。

一台は、クリスマスケーキ用。もう一台は、カステラとしておやつに食べる用。私がいつもスポンジケーキを焼く時にはそのようにしているからだ。

家族にアレルギー傾向があるので、小麦粉ではなく、玄米粉。卵もバターも使わず、マクロビオティック仕様である。甘味はメープルシロップ。オイルはココナツオイルを使う。マクロビオティックのお菓子の良いところは、「簡単」なことだと思う。卵白を泡立てるとか、バターを溶かすとか、そういった手間が少ないと思う。わかりやすく、失敗も少ない。

スポンジケーキを焼くという長男に、キッチンを明け渡し、私は他の家事をしていた。

時々、「あ!忘れてた!」という声が聞こえてくるが、敢えてこちらからは、声を掛けず、自分のやることを進める。どうにもならない何かが起きれば、長男の方から声を掛けてくるはずだ。

どうやら、ココナツオイルを湯煎で溶かしたが、豆乳を温めるのを忘れて、混ぜ合わせた時にココナツオイルが固まってしまったらしい。長男は、そのボウルごと湯煎にかけて温め直し、リカバリーしたらしい。

こういうことを、失敗とは言わない。単なるひとつの経験だ。

大人というのは、いや、私だけなのかもしれないが、見ていると、つい口を挟みそうのなる。「もっと、こんなやり方もあるよ。」と。

しかし、それが、子どもの経験の邪魔になることも多々ある。だから、そういう場には、求められない限り、手も口も出さない。ついでに、見ていると言いたくなることあるので、極力見ないようにしている。

長男は、二男にも声を掛け、やれそうな作業を上手く振り分ける。末娘もやってくると、できろそうな仕事を探して振り分ける。

スポンジケーキを焼き終えた長男は、

「あのさ、クリスマスだから夜ご飯、何か作ってみてもいい?」と言うではないか。ありがたい申し出だ。

申し出があった後も、いつもの癖で、「夕飯、何にしようかな~」と何度も頭を過る。その度に、「あ、今日は、子どもたちが作ってくれるんだった!考えなくていいんだ!」と思う度に、心が軽やかになり、なんだか幸せだった。

長男は、レシピの載っている冊子を眺め、自分の食べたいものを探し、家にはない材料を買い物リストに加えていく。

メニューはスペイン風オムレツと、鶏肉のチーズ入りハンバーグ、サラダ、とのこと。ガッツリメニューだ。

学校もクリスマスイブが終業日であり、学校に行っていない我が家の子どもたちも、夕方には、先生たちに会いに行く日だった。子どもたちは、学校から急いで帰宅すると、早速、夕飯の支度に取り掛かる。お風呂の支度も二男がやってくれた。

私は、その間に片付けや、おせち料理の仕込みをさせてもらう。

料理は、段取りを考えなくてはならない。それも経験してみなくては、わからない。経験しながら、だんだん自分のやりやすい手順を見つけることが出来る様になるのだと思う。

長男の料理を手伝いながら、二男も末娘もそれを見て動きを学ぶことができる。門前の小僧はお得だ。

兄妹の中では先頭を行く開拓者の運命である長男は、「お母さんが、料理が好きだから、わからなければ、教えてもらえるから、自分はラッキーだよね。」と言ってくれた。

料理が好きではない母の元で育った私には、この言葉は最高の賛辞だ。

こんなにも、何もしないクリスマス・イブは初めてだった。

スペイン風オムレツと鶏肉ハンバーグ。ガッツリ。

長男のトランペットと二男のギターの「ジングル・ベル」演奏会も開かれ、クリスマスのムードを満喫させてもらった。子どもたちの作ってくれた食事とケーキでお腹も心も十分に満たされていた。

子どもたちが、ケーキを飾り付け、テーブルに運び、不思議そうにしている。

「苺のサンタクロース、10人居たはずなのに、9人しか居ない!おかしいなぁ。絶対、10人いたのに!」

皆で苺のサンタクロースを数える。何度数えても、9人の苺サンタクロースだ。どこに行ったのだろう。サンタクロース行方不明事件勃発である。テーブルの下にも、冷蔵庫の中にも、苺が大好物の末娘の口の中にも居ない。

「きっと、サンタさんを呼びに外に出ていったのかもしれないね。」

夫の一言に、子どもたちは、そうかも、きっとそうだね!となんだかわからないけれど、妙に納得し、笑いながら、ケーキを食べ始めた。

今まで食べた中で、最もしあわせな、やさしい味のクリスマスケーキだった。

子どもたちは、いつだって、私が心の奥の方で本当に欲しいと願っているものを運んできてくれる気がする。

子どもたちは、私のサンタクロースだ。
あ、夫も。

我が家の定番・苺サンタクロース。何故か9人。
苺サンタクロース隊長。


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