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漫画みたいな毎日。「子どもたちは、自分のタイミングを知っている。」

先週の土曜日。
小・中学生対象の「パントマイム」のワークショップがあった。
いつもお世話になっているアートスタジオに滞在中のアーティストによる
ワークショップだ。アーティストの方は演劇や舞台に関わっている方。
子どもたちが、興味がありそうだなぁと思い、お知らせを受けて「こんなワークショップがあるけど、参加する?」と確認し、長男も二男も、参加したいとのことだったので、申込みをした。

二男は、遊びで盛り上がっていたり、末娘との喧嘩では饒舌になるが、質問などをされると、考えている時間が長かったり、考えていることを言葉に変換するのにかなりの時間を要することがある。

そんな彼は、敢えて言葉にせず、ちょっとふざけて、パントマイム的動きをよくしており、「いや、喋ってよ。」と笑ってしまうことも多々ある。そんな様子を見ていたので、パントマイムがもっと好きになったら、面白いかもしれない、喋らなくても意思疎通がスムーズになったりして!と、夫と冗談半分に話していた。

さて、当日。始まる時間に余裕をもって出発するはずが、なんだかんだと、出遅れて遅刻してしまった。駐車場から参加する男子たちは全速力で走ってスタジオに向かい、付添の私と末娘はあとからちょっと早足で歩いていく。

5分ほど送れて到着。もうワークショップは始まっていたが、長男も二男もその輪の中に入って自己紹介をしているようだった。

二男は、楽しいことが好き。しかし、それは、誰かに「こうして」「ああして」と言われること無く、自分のタイミングで楽しむことの延長にあるのだと思う。

アーティストの方が、パントマイムの基礎を教えてくださり、「ひとりつづ、皆の前でやってみましょう!」とひとりひとり実践してみることになった。

二男は、こういうパターンが得意ではない。

〈恥ずかしい〉そして、〈自分のタイミングではない〉ことが、彼のやる気を削ぐのだと私は感じている。案の定、彼の番になったが、まったく動かず、無言、ついに白目を剥いて、オカシナ顔をし、その場は沈黙に包まれた。

アーティストの方も、スタジオのスタッフの方も、決して無理強いはしない。その感覚がとてもありがたい。「OK、いいよ!いいよ!」と彼の意志を尊重してくれる。

ちょっとずつ自分の順番に近づく感じ。

自分が子どもの時のことに当てはめると、皆の前で順番に何かを発表する時に、とても緊張したことを思い出す。そして、「失敗してはいけない」と、勝手に思い込んでいたし、皆の意識が自分に集まることを過剰に意識していたのだと今だから思う。順番だから、なにか言わなくちゃ、やらなくちゃ、と。「今はやりたくない」と思っても、その気持ちは感じてはならないもののように、心の奥へと押しやっていた。

実際は、たいして、誰も気にしてないのに。

白目を剥いて、オカシナ顔をして、それなりの長さの沈黙(私にしてみれば、やや気まずく感じるような長さ)があったにも関わらず、〈今はやらない〉〈今はやりたくない〉を貫けることは、彼の強さでもあるのかもしれないなぁ、などと呑気に考えていた。

「ちゃんとやりなさい!」
「自分でやりたいって申し込んだのに何でやらないの?」
「みんなはできてるのに、どうしてあなたは、できないの?」

こんな言葉を投げかける大人もいるのかもしれない。

でも、自分のタイミングは、誰かに決められるものではなく、自分で決めることなのだ、と私は思う。

二男は、一人で発表する形に関しては、〈今はやりたくない〉と思ったのだろう。他のワークでは、私の後ろに陣取り、アーティストの方やスタッフの視線が届きにくい場所で、楽しそうに参加していた。そして、時々、「good!」と声を掛けられると、恥ずかしそうにしつつも、何もなかったかのように自分の動きを続ける。


いつか、周囲に合わせることも必要になるかもしれない。
やりたくなくても、どうにかやらなくてはならないことも、あるかもしれない。

でも、今は、そのタイミングではない。
十分に、自分の心の赴くままに、表現したらいい。
長男とも末娘とも、違う強さを、二男の中に見る。
強さも逞しさも、その表現の仕方も、本当にそれぞれだ。

〈自分のタイミング〉を大事にしいてる彼は、この数日、毎朝8時前に、バスケットボールを抱え、かつて自分の通っていた幼稚園にあるバスケットゴールを目指し、歩いて出掛けていく。自分で何時に行くかを決め、幼稚園に園児が集う時間になる前に帰路につくことにしているようだ。小さい子たちに危険のない朝の2時間弱、ドリブルやシュートをして楽しんでいる。

学びとは自発的なもの。
子どもたちは、どんな事柄でも、自分の来るべき、やるべきタイミングを自分で知っている。大人にできるのは、余計は口出しをせず、彼らの育ちを邪魔しないことだけなのだ。


ヘッダー画像は、みんなのフォトギャラリー・kicchan(きっちゃん)さんのイラストをお借りしました♪ありがとうございます♪

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