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父の幕引き 19 父、荼毘に付す

2020年6月28日

朝10時に父の元へ集合
最後のお別れをしてから
10時半に運び出される予定

火葬の予約は11時

火葬場までは車で5分から10分と近い

私と夫と姉は9時50分に到着していた
甥と姪も10時にやってきた

丸2日間安置された父と
最後のお別れ

(夜通しそばにいて
線香を絶やさない 
ということもしなくてよかった)

送り出す棺に納めたのは

父の育てた庭の豆
昨夜掘り出した母の10年日記2冊
母が使い古した年季の入った電卓

なぜかまた母のものばかり
最愛のお母ちゃんだからいいよね

お花をたくさん入れて
さぁーできた

10時になっても
10時15分になっても10時半になっても

兄が来ない

寝てるのか
向かってるのか
電話にも出ない

やっと電話に出たら
慌ててて、途切れ途切れ、、
バイクだから電話出れなかったらしい

直接火葬場に行く?
こっちに来る?
もう出る時間だよ

顔を見れるのはここまでで
火葬場ではもう棺は開けれない

父の最後のお別れに
遅刻してくる兄

勘弁してーー

点鬼堂の優しい○□さんは
もう少し待ちましょう
少し遅れても大丈夫です
と待ってくれた

10時45分になって

「あー間に合ったー!!」
ドタドタと兄登場
焦ってて目が泳いでる

間に合ってませんから!!!

慌ててるから
父の顔を見る余裕もなく
とりあえず手を合わす兄

後ろからハリセンで叩きたかった

二度寝してしまい
道に迷いスマホのナビで来ていたのに
電源があと2%になってたそうな

しるか!

父が嘆いてるのが聞こえる
アイツまたか!いつも遅刻や!

やれやれ、
さぁ火葬場へ向いましょう

父を乗せた霊柩車と
タクシーで向かう

車で5分ほど
こんな街の中に火葬場があることに驚いた

立体駐車場のような
ゴンドラが口を開く
ここに父が入っていくのか

父の棺が運ばれ
その前に
焼香台が用意された

最後にそれぞれお焼香をすませ

父はスルスルと立体駐車場に
入っていった

自動扉が閉まり
係の人が厳かに白いボタンを押した

簡単に焼かれるのだね

1時間半くらいで焼き上がる

お骨上げまで
食事でもしましょう

近くにソフトバンクがある
父の携帯電話の解約も
済ませましょう

みんなでお蕎麦を食べて
コーヒーを飲んで時間を過ごした

お骨上げ に戻った

立体駐車場のようなところから
骨になった父が出てきた

まだ熱々な空気をまとった
真っ白な骨のカケラ
人間ってみんなこうなるんだね

両掌で包まれるくらいの
小さな骨壺に

係の人の説明を聞き
言われるままに
不揃いな長ーいお箸で
みんなで少しずつ
骨を拾って入れた

これで本当に

父の人生が幕を閉じた

口は悪いけれど(ユーモアがブラック)
優しい心を持ち

自分には質素倹約だけど
人には太っ腹

イラチで短気だけど
後に引かない
切り替え早い

カッコつけだけど
要らないプライドは持たない

最後まで
人に頼らず出来る限りのことを
自分でやり遂げ
シンプルに清潔に暮らしていた

コロッと逝ったのも父らしい

孫にオモロく
甘えん坊で凝り性の

潔い父でした

正直、好きではない と思ってた
どっちかといえば キライ と思ってた

なのに

逝ってしまうと

ええ父だったなぁ 

となるのが不思議

尊敬と感謝 しかない

                 

ありがとう

ありがとう

ありがとう

いつからかじいじって呼んでたけど
私たち子供にはパパ と呼ばせてたね

パパ ありがとう

お母さんとパパから頂いた命のお陰で
私はたくさんの経験と感動を味わっています


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