ポルトガルの器で食べる、夜の野菜スープ。
めずらしく夫が友人とご飯を食べに出かけた日、久しぶりに自分のためだけに料理をした。といっても、料理をする日はいつも自分の食べたいものを作っているので自分のためのようなものだけれど。
梅のおにぎり(永遠にハマっているおにぎり)と、野菜のスープ。だいこん、にんじん、白菜。冷蔵庫にあった野菜だけだけどたっぷり入れてコトコト煮込んだ。
たっぷりのスープを近所の大好きなお店で買ったお気に入りの器に。ポルトガルのお皿。
この器を使うと、たまにポルトガルの街を思い出す。
少しくすんだ色合いのタイル、石畳の路地裏の道、風になびく洗濯物、ブルーの淵の器、レンガの積み重なる家、くねくねした坂道、昔のタバコ屋くらい小さな商店、にかって笑うおじさんの顔、大きな時計がかかった2階建てのカフェ、箱から溢れる鮮やかな橙色のみかん、街中を走る黄色い路面電車、線路沿いのエッグタルトの店。
たしか宿で中国人の女の子と会って、一日一緒に街を回ったんだ。蛍光ピンク色のダウンを着た同い年くらい子。元気にしているだろうか。リスボンとポルトのどっちで会ったのか。記憶をたどってももう思い出せない。
と、旅の思い出に浸りながらやさしいスープをたんまり食べた。その日は野菜だけのスープの気分だった。
うちは飲食業なので、年末年始はあまり関係ない。いつものリズムで過ぎていく。師走感はあんなに身に沁みるようだったのに、クリスマス感と年末感がないまま来週は2023年か。
と思っていたら、流れてきたラジオが今年の感想や来年の抱負、今年やることを諦めた特集なんかをやっていて、まんまと年末感に浸り始めた今日この頃。
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