Yoko Masuda

ライター、ときどき編集も。インタビュー・取材記事を中心に書いています|インディペンデン…

Yoko Masuda

ライター、ときどき編集も。インタビュー・取材記事を中心に書いています|インディペンデントマガジン『ELEPHAS』編集・執筆|鎌倉の古民家在住|珈琲屋の嫁|趣味は「てつがく」すること、食べること、本を読むこと|noteは日記やエッセイが多めです

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  • 『モモ』の目で観る哲学の話

    個人的な探求としてマイペースに行う、哲学的な対話をはじめとする「てつがく」する現場をめぐる、フィールドワーク的な試みとその記録

最近の記事

目を閉じて、心のなかで自分の大好きな場所に行くんだ|『モモ』の目で観る哲学の話#4

"ストレスを感じたら、目を閉じて、心のなかで自分の大好きな場所に行くんだ" 映画「ぼくたちの哲学教室」で、校長先生が子どもたちにかけていたことば。一言一句合っているがどうかは定かではないが。その問いかけがあったとき、思わず一緒に目をつぶってしまった。過去のバカンスで訪れた街をあげる人もいれば、「マック」をあげる人もいた。微笑ましくて、印象的なシーンだった。あなたなら一体どこを思い浮かべるだろうか。 少し前の映画かと思いきや、撮影されたのは意外にもここ数年だという。ああ、平

    • 「やらないこと」を決めること。仕事を絞ると決めてみたら、出会えた感覚。

      7月上旬、とあるお仕事を断った。ライター・編集の仕事ではなく、過去の自分のスキルを活かせる継続のお仕事。フリーランスの自分にとっては金銭面を支えてくれるありがたい面もあった。しかしいま極めたいスキルに直結するわけではないこの時間はもったいない。きっぱり断ることにした。(引き受ける前に気づけるともっといいよと、自分への戒めを込めてここに記す) 断る時の自分は潔くて、時々怖くなる。金銭面みたいなことはあまり考えていない。それより自分の身になるか、社会の役にたつか、自分の大事にし

      • 答えを知りたいのはなぜ?|『モモ』の目で観る哲学の話#3

        「答え合わせはどうしても必要ですか?」 大きなテーブルの上にならぶ、白い手の数々。もちろん本物の手ではなく、捏ねて作った手の模型。多種多様な手が20以上もならび、その手の前に人が佇み首をかしげる光景は、冷静に見るとまあまあ異様である。 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)上廣共生哲学講座が主催する、<哲学 x デザイン>プロジェクト41『みえないあなたみえるじぶん』に参加した。 ゲストはアーティストの鈴木康広さん。ホス

        • いつのまにか奪われている思考|『モモ』の目で観る哲学の話#2

          「読もう読もう」と思いながら、なかなか進まなかった『夜と霧』。根津の往来堂書店さんで手に取った日を懐かしく思う。読み終えたのは2022年7月。東京からの帰り道、電車のなかで読み終えた。夏なのに鳥肌立っていた。 『夜と霧』を読もうと思ったことと、哲学対話の探求をもう一度始めたいと思ったこと。この2つは私の深い部分で関係している。 アウシュヴィッツで考えた、本当に大事なことってなんだろう世界一周ひとり旅に出かけた。大学4年生の1年間を休学し、半年間でお金を稼ぎ、半年間を海外で

        目を閉じて、心のなかで自分の大好きな場所に行くんだ|『モモ』の目で観る哲学の話#4

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        • 『モモ』の目で観る哲学の話
          4本

        記事

          違和感への引力を高めていくこと|『モモ』の目で観る哲学の話#1

          「哲学対話は最後にまとめません。時間が来たらそのままそこで終わります」 もやもやが残って、それでいい。他人の意見を使い自分が深く考える。水の中に深く潜るような思考の時間がだれにでも与えられているのが哲学対話だと、ファシリテーターの哲学者 永井玲衣さんは言う。去年読んだ、永井さんの著書『水中の哲学者たち』を思い出した。 Featured Projectsの哲学対話の時間「明日をひらくものづくり」に参加をした。会場には100人ほど参加者がいただろうか。想像以上に人が集まってい

          違和感への引力を高めていくこと|『モモ』の目で観る哲学の話#1

          春を喜び、春を祝う、春の行いと詩のはなし

          毎年さくらの花びらを掴むために、木の下で必死になる。上ばかりを見て右往左往しているわけで、怪しいよなと思いながらも、毎年恒例の"おまじない"になっていてやめられない。 花びらつかめたらいいことあるよって、心の中で自分に言い聞かせてきた。ラッキーくらいの軽いノリ。とはいえ、毎年必死に通称「花びらキャッチ」を行っている。 いつから始めたのだろうと思い返すけれど思い出せない。夫と出会った時にはすでにやっていたから、10年以上はやっている春の個人的な行い。 病院の帰り道、ふわっ

          春を喜び、春を祝う、春の行いと詩のはなし

          桜吹雪で空を見上げる。新年度はじまりの日。

          38.8℃。久しぶりにがっつり熱を出した3日前。 季節の変わり目だろうか、気の緩みだろうか。 熱が出た翌日に抗原検査をしたが、コロナウイルスは陰性だった。 4/1には、熱は37.3℃まで下がる。 喉の痛みと鼻詰まりが解消せず、夜が苦しい。なんども起きてしまう。 これはよくないなと思い、病院に行こうと深夜に決心した。 このあたりの内科にかかったことがなく、まずはいちばん近くの病院へ。 小さな個人の医院だったけれど、清潔感もあって、電話の対応も心地よくて、先生も急かさず

          桜吹雪で空を見上げる。新年度はじまりの日。

          【ライター・編集者 増田陽子】 自己紹介

          はじめまして。フリーランスの編集・ライターの増田陽子(ますだようこ)と申します。 このページでは簡単な自己紹介と実績を記載しました。 (随時更新予定のページです) 1、自己紹介2、できることインタビュー取材(企画〜執筆など) 書籍・雑誌など紙媒体の編集(企画制作・進行管理・執筆など) ウェブメディア記事の編集(企画・進行管理・執筆など) イベント企画 など 3、実績紹介執筆・編集実績を一部紹介します。 掲載不可の実績もございます。お気軽にお問い合わせください。 <

          【ライター・編集者 増田陽子】 自己紹介

          夜な夜なお菓子作りは中毒性あり。りんごのケーキとクイックブレッド。

          突然お菓子やパンが焼きたくなる夜がある。 といっても、思いついてもなかなか重たい腰が上がらない日の方が多いけれども。 その晩は、冷蔵庫にたくさん眠るりんごと、余ったサワークリームを使い、夜な夜なケーキを作った。 サワークリームをなにに使おうと考えていて、見つけたのがこのレシピ。季節のケーキと名付けられ、とある暮らし系サイトに掲載されていたもの。 バターを柔らかくして、砂糖と混ぜて、粉とはちみつと卵とサワークリームと。バターを最初に柔らかくしきらなかったので、混ぜにくかっ

          夜な夜なお菓子作りは中毒性あり。りんごのケーキとクイックブレッド。

          山で食べるごはんはおいしい。ちょっとそこまでハイキング。

          徒然なるままに綴った昨日の日記 朝起きて、昨晩のあまりにも突然の悲しく悔しいお知らせが頭をよぎる。現実だったのだと思い出しながら、思いを書き綴る午前中。夏葉社の『さよならのあとで』を読む。人を大事にするって、後悔せずに生きるってどういうことなんだろう。 お昼用にご飯を炊こうと台所に行くと、すでに夫がケーキ作りのついでに炊き始めてくれていた。さすが。 うちには炊飯器がない。一緒に暮らし始めた頃にはすでに夫は炊飯器を使わず、土鍋でご飯を炊いていた。それまで私はほとんど料理を

          山で食べるごはんはおいしい。ちょっとそこまでハイキング。

          うれしいという感情は、一千年たった今でも変わらない。枕草子の「うれしきこと」

          肌がぴりぴりするような寒さの日、夫と散歩に出かけたら、梅の花が咲いていた。 この寒さを越えたら春かなあなんて思ったら、春はあけぼのとつぶやきたくなった。 「春はあけぼの。やうやうさむくなりゆく山際、少しあかりて紫立ちたる雲の細くたなびきたる。夏は夜。闇もなお。・・・」 と、むかし国語の授業で暗誦したからか、覚えている、途中まで。秋は曖昧、冬はまったく思い出せない。 気になって調べると、秋は夕暮れ、冬はつとめて(早朝)だった。 この凍えるような季節に早朝がいいなんて、

          うれしいという感情は、一千年たった今でも変わらない。枕草子の「うれしきこと」

          寒さが記憶に残る夜。氷点下の恐怖。

          猛烈な寒さで記憶に残る夜は今のところ三夜ある。モロッコのサハラ砂漠のど真ん中でキャンプをした夜(世界一周旅行)。パタゴニアの山の中でキャンプをした夜(会社の研修旅行)。そして牛とともに暮らす酪農家さんの取材でまだまだ寒い春の牧場でキャンプした雨の日の夜(フリーのお仕事)。・・・どれもキャンプだ。 私たち夫婦はいわゆる古民家に住んでいる。木造、築年数不明の平屋。おそらく100年たつか、たたないかくらいの家なのではと推測している。 昔から古民家暮らしに憧れがあった。なぜだかあ

          寒さが記憶に残る夜。氷点下の恐怖。

          おでんはおかずになるのだろうか。カフェで食べたおでんの話。

          東京に住んでいた頃、近所にふらりとよく行くカフェがあった。お茶も、仕事も。読書も、夕食も、晩酌も。なんでも叶う、懐の広い店だった。 郊外にありそうな窮屈感のない広さの、でもチェーン店とは違うインテリアに凝ったちょっとお洒落な内装。 なのに、定食屋かラーメン屋の兄ちゃんみたいな陽気で元気な店員さんがいつもいた。そのギャップが、ちぐはぐ感が、なんとなく居心地をよくしてくれていた気がする。 整って、コンセプトが通っている店も好きだけど、場所によってはなんだか緊張してしまうこと

          おでんはおかずになるのだろうか。カフェで食べたおでんの話。

          とっておきの場所の話。今夜はれんこんつくねあんかけとむかごご飯。

          谷根千だったらあのお店。中央線沿いならあの店とあの店とあのお店。地元ならあのお店。 自分が"すぽっ"とはまる感覚がある。そして居心地よく過ごせるお店を、パワースポットな店と呼んでいる。その店に行けば、必ずいい時間を過ごせて、いい気分で帰れる。そういう場所たちのこと。 海外を巡っている時、シアトルやモロッコ、ポルトガルでもそういうお店にいくつか巡り合った。そういう場がある街は居心地が良くて好きになって、数日間滞在していた。またあの店に行きたいな〜と思うこともある。 住んで

          とっておきの場所の話。今夜はれんこんつくねあんかけとむかごご飯。

          本はいつでも味方の大親友。今日はおせち。

          無事に年を越せた。聞こえてくる鐘の音を聞きながら、眠りについた2023年。 今年は前日までに仕込む時間がなく、即席おせち。 お雑煮、筑前煮、紅白なます、栗きんとん風(栗なし)、かまぼこ、いただきもののボローニャハムに魚の甘露煮。みかん。 おせちらしきものを並べただけで味わえる正月感。食べ物って味だけではない、季節や気分も楽しませてくれる。 近所のカフェに散歩がてら本を読みに行く元旦の午後。初詣の人で賑わう。車道に規制がかかるので、車がほとんど通っておらずとても静か。

          本はいつでも味方の大親友。今日はおせち。

          ポルトガルの器で食べる、夜の野菜スープ。

          めずらしく夫が友人とご飯を食べに出かけた日、久しぶりに自分のためだけに料理をした。といっても、料理をする日はいつも自分の食べたいものを作っているので自分のためのようなものだけれど。 梅のおにぎり(永遠にハマっているおにぎり)と、野菜のスープ。だいこん、にんじん、白菜。冷蔵庫にあった野菜だけだけどたっぷり入れてコトコト煮込んだ。 たっぷりのスープを近所の大好きなお店で買ったお気に入りの器に。ポルトガルのお皿。 この器を使うと、たまにポルトガルの街を思い出す。 少しくすん

          ポルトガルの器で食べる、夜の野菜スープ。