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お前は人生でハイスコア狙えないよ

・バスで「ハイスコアガールCONTINUE」を読んでいました。

・ハイスコアガールの主人公、矢口ハルオは国語も算数も体育も図工も家庭科も何もかも中途半端な小学6年生。そんなハルオが人から秀でているのは1991年当時全盛だったアーケードゲームしかない。しかし、学校が盛り場に行くことを禁じているために同級生はハルオがガイルで31連勝してゲーセンにいる大人から畏れられている(本当はキモがられている)ことを知らない。

・ハルオがいつものようにヤニの匂いが充満した場末のゲーセンでストⅡをプレイしていると、何故か成績優秀・お嬢様・姫カット・無口・かわいい目元・クラスのヒロインの大野晶が対戦相手として座っていて……。

・この始まり方、さ……。周りからバカにされている主人公と周りから評価されているヒロインが学校から禁止されている格ゲーを通してつながるってさ……。互いが秘密の共有相手でありつつ、ゲーマーとして因縁のライバルでもあり、同じレベルのゲームで遊べるただ一人の友達という関係ってさ……。

・ハルオがまた良いキャラなんですね。自分のオアシスであるゲーセンを大野によって出禁にされたことから大野を因縁の相手とするのですが、教室でもゲーセンでも常に大野を目で追っているんです。また、大野がゲームをしたがっていたら三駅先の伝説のゲーセンまで自転車の後ろに乗せて連れて行ったり。因縁の相手でもゲームを楽しいと思う気持ちの共感で優しく接するんです。

・いや、違う。自分を良く見せようとしました。ハルオに嫉妬しています。

・ハルオは小学生なのでお小遣いがあまり多くないと想像できるのですが、そのほとんどをゲームに費やしている。「ストⅡ」「スプラッターハウス」「ファイナルファイト」「魔界村」「妖怪道中記」「ワンダーモモ」「源平討魔伝」「ベラボーマン」「おぼっちゃまくん」「功夫」「R-TYPE」「ビジランテ」「獣王記」「PC原人」「ダライアス」「奇々怪界」「桃太郎活劇」「ストⅠ」「ゴールデンアックス」「ダライアスⅡ」「スペースガン」「ダブルドラゴン」と、単行本1巻に登場するハルオがプレイしたタイトルだけで22タイトル。

・ハルオはその全てのタイトルを深く語ることができる熱を持ってプレイしているだろうと思わせる説得力がありました。

・ハイスコアガールアニメ第1期op映像のイントロ場面でハルオが窓の外を眺めているシーンがあります。

https://youtu.be/Tbu_7WtAjU8?t=11

・ハルオの世界では窓に映るものは景色ではなく、ゲーム画面。

・あまりに美しい。世界が自分の好きなもので塗り替えられているんですね。窓を見ている時間、教室の席にクラスメイトがいないことからもハルオの世界にゲームしかないということが分かります。

・好きなものだけを考えていられた時期こそあれど、僕がそうしていたことはなかったように記憶しています。ハルオに嫉妬します。

・ヒロインである大野晶、彼女こそ……。

・襟から胸元まで白いフリルの紫色の服、首には赤色のリボンを付けており、お嬢様らしい恰好をしている。紫が高貴とされた理由が一目瞭然だ。髪は長く腰まで伸びている姫カット。ダウナーな目つきをしていて、頬が薄く赤らんでいる。才色兼備で周囲からの評価も高い。

・彼女は無口で、喜怒哀楽が表情に表れることもありますが、基本的に感情や思ったことを言葉にすることが少なく、言葉の代わりに手が出ます。

・かわいいですね。

・美少女に殴られるならどこがいいかを考えます。(力は小学6年並みとする)

・鼻。美少女の力でもおそらく鼻血は出るでしょう。この鼻血は例えるならば「美少女が捻った蛇口から出た水」のような付加価値が僕の中で発生します。さすがに盛りすぎました。でも美少女によって発生した鼻血という事実は変わりません。地面にぼたぼた血が垂れる。血を見た彼女はやりすぎたと思い、後悔と心配の気持ちから顔が歪み、引きつり、額から冷汗が流れる。この瞬間の顔を見たいという気持ちはあります。僕は彼女を心配させまいと大丈夫大丈夫と唱えながらそのとき精一杯の笑顔を見せます。殴られて鼻血を出してヘラヘラしている奴の誕生です。

・胸。美少女のハートブレイクショットによって死ねるならば、こんな幸福は無い。でも僕のせいで美少女が少年院に入るのは嫌ですね。

・鳩尾。美少女の拳が下から突き上げられ、僕の鳩尾にめりこむ。肺の空気が全て抜け、気づけば美少女の前に膝をついている。美少女は僕を見下ろしている。その瞳には、怒りが消えずに残っていた。僕を殴った右腕は、殴りなれていないためだろう、震えているように見えた。

・時間がない! くっ、ここまでか……!

・noteは毎日投稿すると褒めてくれます。嬉しいです。システム的な褒めは安心できます。


「殴られて許されたいんでしょ? 人と信頼関係を築けないから、殴られることで清算しようとしているんでしょ?」
 僕の半身である無象ちゃんは僕を許してくれます。

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