徒然物語54 約束

「明日、お友達と遊ぶ約束したんだ~」
 
「同じクラスの、あおくんだよ。」
 
「小学校で、お侍さんごっこして遊ぶんだ!」
 
「じかん?えーっとね、朝ご飯を食べたらねって約束したんだ!」
 
「とけいのはり?ううん、そんな話はしなかったよ。」
 
「だからお母さん、明日遊びに行ってもいいよね?」
 
「うん、宿題も夜ちゃんとやるから。ね、お願い!」
 

「ただいま~…」
 
「あおくんね、来なかったよ。だから、砂場でお山を作って遊んでたよ。」
 
「じかん?わかった。次はじかんを決めて約束するよ。」
 
「うん。わかった!とけいのお勉強も頑張る!」
 
 
 
 
「お母さん、あおくん、今日お休みだったよ。なんかね、先生が“あおくんはてんこうしました”って言ってたよ。てんこうって何?あおくんには、もう会えないの?」
 
「そんな。約束して、一緒に遊ぼうと思ってたのに…」
 
「時間のお勉強して、時計の針も覚えたのに…」
 
「また、遊べるかな…?」
 
「あおくん…」
 
 
 


 
「ちょっと、こんなに素敵な女性を待たせるなんて、どういうことよ!」
 
「…はい。そうです。時間はぴったりです。私が早く来すぎちゃっただけですよ~」
 
「うん、じゃあ行こっか!」
 
「…ところで、あお。朝ご飯はちゃんと食べてきたんでしょうね?」
 
「…ううん。なんでもない。遠い昔の約束よ。」

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