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48 保護者は特別支援教育に何を求めているのか?

年度末を迎え、個別の教育支援計画を承認していただき、来年度に引き継ぐために保護者との面談が続いています。

どの特別支援学級でも、この時期は同じような状況ではないでしょうか。

面談では、今年度の成果と課題、来年度に向けた支援の方向性について主に協議をしていますが、ここで大切になってくるのが

保護者は特別支援教育に何を求めているか?

についてです。これは、保護者の考えや子どもの実態に応じて異なります。

「交流学級の子どもたちとの関わりを増やしてほしい」
「交流学級で過ごすことに関して無理しなくて良いので、特別支援学級の中で、穏やかで落ち着いた学校生活を送ってほしい」
「とにかく登校することが最優先なので、学校では学習よりも楽しく過ごすことを重視してほしい」
「通常学級で過ごせるようにしてほしいので、特別支援学級での活動は極力せずに交流学級で過ごさせてほしい」

上記の言葉は、全て私が担任した際の保護者の支援の方向性について尋ねた際の回答です。

ここから、特別支援教育といえども、保護者の願いによってどのような支援を行なっていけばよいかがずいぶん異なることが分かります。

ここで問題なのが、上記の支援の方向性が、児童の実態に合ったものであるかという点です。
我が子の特性を保護者が十分理解しており、自立と社会参加に向けて実態に即した支援の方向性であればよいのです。子どもが学校で安心して過ごすことができます。
一方、保護者の願いが先行してしまい、我が子の実態に合っていない支援の方向性になってしまうと、子どもは学校がつらく楽しくない場になってしまい、成長につながりません。

具体例としては、保護者は
「特別支援学級で過ごさなくても、通常学級で十分できる!」
と、ほとんどの時間を通常学級で過ごしてほしいと思っているとします。

ところが、子どもは
「通常学級はきついから行きたくない。特別支援学級の方が落ち着ける」と、通常学級で過ごすことに拒否感を示しているとします。

ここで問題になってくるのは、以下の点が考えられます。

・保護者が、わが子の学力や学習態度、全体指導でどれだけついていけるか
 などの実態を十分理解していない
・保護者がわが子の思いを十分に聴き取れていない
・学校が保護者へ現状や支援の内容、支援がどのように効果的に働いている
 かを理解してもらう努力が足りていない
・幼保小連携がうまくいっておらず、進学時、特別支援学級に入級する際に
 十分納得がいっていない

いずれにしても、

保護者の願い

児童の実態

学校の支援体制

3つを天秤にかけ、ぴったりとつり合う支援をしていかなければ、
保護者は、学校へ不満や不信感を持ってしまうでしょう。
子どもは、成長が見られないことが予想されます。
学校は、支援や保護者連携がうまくいかずに疲弊してしまいます。

保護者が特別支援教育に何を求めているのかは家庭によって様々です。
ですが、これまで多くの保護者の方と関わる中で、1つだけ共通する点があります。それは、

わが子の幸せ

です。そのために支援をするのだという根本的な共通認識があれば、大丈夫だろうと思います。

子どもが幸せになるため、笑顔で楽しい学校生活を送るためには、どうすればよいのでしょう?

学校にはできることとできないことがあります。それははっきりと保護者に示したうえで、子どもが幸せになるためにできる最大限の支援を保護者とともに考えていくことこそ、特別支援教育なのではないかと改めて考えました。

今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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