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34 ABAに基づいた支援をやってみました

「ABAは支援の基本である。すべての特別支援はABAに基づいたものだ」
と作業療法士の方からお話を聞き、ABAに基づいた支援にに興味を持ちました。以前に行動分析学の本を読み、勉強はしていたのですが、実際に理論をもとに指導し、成果や課題を考察することはやってきませんでした。
そこで、ABAの理論をもとに、実践した支援の実際と成果と課題の考察までを記事にしたいと思います。


ABA 子どもの行動に着目した支援を行うには

以下のサイトを参考にまとめました。

まず、ABAに基づいた支援のやり方について紹介します。
子どもの行動に着目した支援を行うには

①行動の「きっかけ」にアプローチ
②行動の「結果」にアプローチ

の2つのポイントが挙げられます。今回は、②行動の「結果」に焦点を当てていきます。子どものしてほしい行動を増やしたいときの基本方針は
行動の「結果」に「いいこと」を提示する(=強化)
です。

行動の「結果」として使用する「いいこと」を「強化子」と呼びます。
ほめられたり、ごほうびがもらえたり、楽しい経験ができたりすることが、強化子になる可能性があります。行動の後に強化子が得られると、その行動をする回数が増えます。強化子によって行動の回数が増える現象を「強化」といいます。
実際にしてほしい、望ましい行動が確認できたら、「ありがとう」、「上手にできたね」といった、ほめる声掛けをすることが、行動の「結果」に「いいこと」を提示することの具体的方法になります。

支援の実際

これを踏まえ、行動変容を促すABAに基づくアプローチを指導場面で行いました。
特別支援学級合同で自立活動を行う時間で
「身体の動き」「人間関係の形成」の内容を取り扱い、
お手玉を使ってキャッチボールする活動でした。
Aくん、Bくんの2人は、はじめ、相手に上投げでぶつけ合って投げる不適切行動をしていました。
「下から、ふわっとやさしく取りやすいように投げるんですよ。」
と指示がありましたが、それにも関わらず、投げてぶつけたり、時には蹴ったりする不適切行動は続きます。私が近づき、支援を始めます。

私「下から、ふわっと投げよう。」

Aくん「わかった、下から、ふわっと投げればいいとね!」

お手玉をぽとっと下に落とす。当然、相手には届きません。

Bくん「はははは!」

私「こうやるんだよ。」

実際にして見せた。

Aくん「分かった!」

思い切り上から投げ、10数メートル先へ飛んでいきました。
取りに行かせたが、笑い合ってふざけ合う様子が続きます。

4人組で、全員が右手にお手玉を持ち、一斉に投げて、全員キャッチできるかチャレンジする活動へ移行しました。一斉に投げます。
Aくんは上から投げていたのですが、優しく相手が取りやすく投げられたので、隣の子がキャッチできました。

私「Aくん、優しく投げられたからキャッチできたね!センスあるよ。才能あり!」

すると、次もAくんは優しく投げていました。
Bくんも、つられて相手意識で投げようとしていました。

「じゃあ10回連続でできるかな!?先生数えるよ!」

10回まで、上手くいったり落としたりではあったが、最後まで望ましい態度で活動することができました。
なお、1回ずつ、

「いいよ!」「うまい!」「ナイス!」

などの褒める言葉をかけ続けました。

支援の成果と課題

【成果】
行動の結果、先生からほめられる、認められるといういいこと、つまり「強化子」が与えられ、望ましい態度でお手玉を投げる行動が強化されました。
不適切行動に対する注意や指導ばかりしていても、望ましい態度はできなかったでしょう。
不適切行動には教育的無視をし、良い行動をフォーカスしてほめ、認めることが適切な行動の強化につながったのは一定の成果だと考えます。

【課題】
環境面の配慮が足りなかったと言わざるをえません。お手玉だと投げやすく、ぶつけても痛くありません。つい上から投げたり蹴ったりする行動を引き起こしてしまう要素があると感じました。
もっと大きいボールを使用する、ボールでなく新聞紙をまるめたボールなら転がりにくく、遠くへ飛ばしにくいのでよかったかもしれません。
廊下のワークスペースという比較的広い場所で30人以上で行ったので、2~3グループに分けて各教室で行うと、もっと落ち着いた活動につながったでしょう。AくんとBくんのグループ編成も適切ではありませんでした。

成果と課題はありましたが、ABAに基づく支援の成果が出たことは収穫でした。同じような支援をこれまで意識せずにやってきたことはありましたが、理論を意識して支援することで、次の場面に生かせると実感しています。また、実践したことは定期的に記事にしていきます。

今回は以上になります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。

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