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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中… もっと読む
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#エマニュエルトッド

「『ローマ人の物語』他、塩野七生著作書評リスト」

「ローマ人の物語」他について、塩野七生さんの著作をリスト化します。 ローマ人の物語 1)「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い|りょうさん (note.com) 2)「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い|りょうさん (note.com) 3)『ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷』/帝国の盛衰の歴史、現代と変わらず|りょうさん (note.com) 4)「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題|りょ

「デフレ低金利からインフレ高金利へ時代転換 『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』(日本経済新聞出版)チャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン」

下記の先行記事中に、 『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』(日本経済新聞出版)チャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン について、読後記事にすると記しました。 かなり重厚な内容でしたので読むのにしばし時間を要しましたが、これまで昨年から本コラムで繰り返し述べてきたデフレからインフレへのパラダイム転換について、理論的背景がはっきりと浮かび上がってきた思いです。 日本の低落と世界の労働年齢人口 この本の中では、日本の失われた30年について、明確に記述して

「トッド人類史入門 西洋の没落」エマニュエルトッド、片山杜秀、佐藤優(文春新書)

エマニュエルトッドの新刊新書のご紹介です。 全五章の構成です。 前半の一~三章は、既刊「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」(文藝春秋)の解説的なものです。 慶應の片山氏、佐藤優氏も第二章の対談、解説章の第三章においても抑制的で好感が持てました。 改めて、この浩瀚な「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」の要点を再認識することができ有益でした。 そして、第四章は、トッド氏の昨秋(2022年秋)の水戸でのインタビューで、トッドの日本観が楽しく読めます。 しかし圧

『老人支配国家日本の危機』(文春新書)エマニュエルトッド著/日本の出生率低減・人口減少について 及び 世界情勢について

『歴史人口学で見た日本』速水融著 日本の出生率低減・人口減少についてたびたび記してきた。日本の歴史人口学の泰斗速水融氏の著作については最近下記で紹介した。 『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』エマニュエルトッド著 もちろんそれは近年日本でも盛んに評論活動している世界的泰斗のフランス人エマニュエルトッド氏の近年の著作から導かれたものだ。 改めて彼の下記の大著については掲載させていただく。 『老人支配国家日本の危機』と『歴史人口学で見た日本』 以上を踏まえて、『老

「出生率低減と歴史人口学 『歴史人口学で見た日本』(文春新書)速水融 を読んで」

エマニュエルトッドから速水融 エマニュエル・トッドについては本コラムで度々触れてきている。大著「我々はどこから来て、今どこにいるのか?」についても度々触れてきている。 上記の既報前者では、日本の出生率低減、人口減少に着いて議論した。日本が現今直面する課題として、最も大きな課題である。これについては他の記事でも記してきたが、識者やメディアで全く議論が足りていないし、日本人自身の危機意識も不足しているのが現状と言わざるを得ない。 エマニュエルトッドがたびたび日本の歴史人口学

「2017年世界最終戦争の正体」馬渕睦夫著(宝島社)「ウクライナ戦争 歴史は繰り返す 戦争と革命を仕組んだのは誰だ」同(WAC)

 6/24付け本ブログで、エマニュエルトッドの最新刊については紹介しました。  このレベルの内容がすんなり頭に入ってくる方々におすすめするのが、「2017年世界最終戦争の正体」馬渕睦夫著(宝島社)です。(馬渕さんは、元駐ウクライナ大使です)  2016年トランプが大統領選に勝つ直前に書かれたものですから、そう理解して読む必要がありますが、世界の基本的構造についてはそれを差し引いても十分奥行のある見識を示してくれる好著と言えるでしょう。  世界を動かす実質的要因としての国

「第三次大戦はもう始まっている」(文春新書) 購読のおすすめ

 ウクライナ戦争及びその後の世界を透徹した視線で射抜こうとしています。練達の知恵者、エマニュエルトッドの重篤な危機感がひしひしと伝わってきます。書名がそれを最もよく表現していると言えます。   近々の情勢の推移、歴史、人口動態それに著者畢生の研究である家族構造からウクライナ戦争の意味を解き明かしていきます。著者は70年代に旧ソ連の崩壊を予測し世界を瞠目させたように、これからの世界像を提示して日米欧に警告を鳴らそうとしています。  いわく、この戦争はウクライナ対ロシアの戦争