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リンクスランドをめぐる冒険Vol.34 ここがローカルコースの極み? ライブスター・ゴルフ・クラブ Part.3

前回までのあらすじ

スコットランドをめぐるゴルフ1人旅も早、全行程の1/3を終了。ホープマン・ゴルフ・クラブで生涯、忘れ得ぬ1打と不思議な感覚に出会った後、いよいよ英国メインランドの北端へ。手始めに回ろうと思ったのが9ホールのライブスター・ゴルフ・クラブ。なにもかもが超アナログ的なコースは他にプレーする人はおらず、しかもスタッフまでどこかに行ってしまう。たった1人、残された私は…。

迷路は4番から始まる

あ…。トロリー借りるの忘れた。

走り去るスタッフの車は小さくなり、やがて見えなくなった。
仕方がない、担いで回ろう。

私はキャディバッグを担ぐと、ホールマップを見ながら1番ホールへ向かった。
スコットランドのゴルフコースでは担ぐ場合もあるだろうと予測していたのでナイロン製の軽いタイプを選んだけれど、日本でもキャディバッグを担いで回ったことがないだけに、どれほどの体力を使うのか予想できなかった。

1番から3番まではなんとか迷わずに進めた。
ホールマップの動線を赤線で示すとこんな感じ。

1番ティーへは6番フェアウェイを横切って行く。

問題は4番から7番。
先にホールマップの動線をご参照いただきたい。

動線描くだけで頭が痛くなってくる…。

3番グリーンから4番ティーイングエリアまでは7番フェアウェイを横切る。
4番は6番グリーン越え。
6番は4番と交差し、7番のティーイングエリアへ向かうためには4番横のブッシュ際を進まなければならない。
さらに7番ティーショットは4番を横切る形。

スコアカードの端がボロボロなのは土砂降りの雨のせい。

上記の画像は拡大しているのでまだ分かりやすいけれど、実際のスコアカードはこの程度。
ホールマップ、ちっちゃい。
老眼にはかなり辛いのだ。
これがホールマップの2次元ではなく実際にコースでプレーする3次元になると、さらに分かりにくくなる。
とくに4番Par3は147ヤードとそこそこ距離はあるのだけれど、フェアウェイセンター辺りが盛り上がっていてややブラインド。しかも手前右側に6番グリーンのフラッグが見えているので距離感が掴みにくい。
また4番から5番、6番から7番へ向かうラフの中の歩道は往復の共同路。
最初、4番で打ったはいいけれど、どうやって5番へ行けばいいのかまったく分からなかった。
途中、スーツを着て時計を持った白ウサギが横切ったらどうしようか、と思ったくらい。
スコットランドだけれどルイス・キャロルが生まれた国でもあるし。
白ウサギの後をついていくのも面白そうだが、やはり今はゴルフをしたい。

1番ホールは海に向かってティーショット。

日本にも欲しいこんなコース

それでも8番グリーンから9番ティーイングエリアにたどり着いた時は、迷路のゴールにたどり着いた時に似た快感があって、もう1周プレーすることにした。
コース全体はフラットなのでキャディバッグを担ぐのも苦にならない。
300ヤードを超えるpar4が4ホールあり、フェアウェイが広いのでドライバーも思いっきり振れる。
海が近くて遮蔽物がないため、リンクス特有の強風も味わえる。
密集度の高い天然芝、丁寧に刈り込まれているフェアウェイとグリーン、小さいけれど意外と効果的なバンカー。
2周目になれば動線やグリーン位置が分かるので攻めやすくなる。

小さくても入る人は入るバンカー。

4番を回った辺りから天気が一気に悪くなり、土砂降りの雨となったので残念ながらクラブハウスに近い5番ホールで終了。
ずぶ濡れにはなったが、私はこのショートコースが大好きになった。
何周でも回っていたい気分だった。

2周目の4番ホール。迫りくる暗雲。

ここほど極端ではないにせよ、スコットランドのローカルコースでホールがクロスするのは珍しいことではない。
場所の共有、という意味ではセント・アンドリュースのオールドコースでさえ、ダブルグリーン(フロントとバックの両方のホールで1つのグリーンを使うこと)があるのだ。
ホールがクロスするコースで求められるのは譲り合いの精神。
どのホールにプレーヤーがいて、どこに打とうとしているのか把握してからプレーする必要がある。
クロスするホールではどっちが先に打つか、といったルールがあるわけではない。
ただ、アイコンタクトによるマナーがあるだけだ。
このコースではたまたま他のプレーヤーがいなかったが、他のホールがクロスするコースでは何度も他のプレーヤーと譲ったり譲られたりした。
それで嫌な思いをしたこともなく、当然、不測の事態も起きたことはなかった。

日本はどうだろう。
ホールがクロスするコースにほとんど出会ったことがない。
ほぼ一方通行だ。
それなのに、前の組に打ち込む阿呆が目につく。
そういった輩は一度、まとめてこのコースにぶっ込んでやればいい。
我先に、とプレーした結果は想像に容易いが、それでも少しはゴルフのもっとも基本的なマナーぐらいは身につくはずだ。

日本にも、こんなコースがあって良いような気がする。

続く




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