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第三十六話 百合の花①「カサブランカ」

 侍従長が、第二皇妃の所まで、大きな箱を台車に乗せて持ってきた。

「お届け物で、こちらが届きましたが・・・、送り主が解らないのですが?」
「まあ、何かしら?あら、素敵、カサブランカじゃない?」
「いえ、お妃様宛ではなくてですね・・・」
「あら、そう、逆に、危ないものではないかしら?爆弾とか、嫌ですからね・・・」
「一応、セキュリティで、非破壊検査を通しました。危ないものは、ここまで上がってきませんから。そのようなものではないようですね。えーと、慈朗様宛てですね」
「まあ、そんな、慈朗シロウに・・・?」
「いかがなものでしょうか?皇妃様、一応、慈朗様、個人宛ですからね」
「大体、皇宮宛に、贈って来られるのが、おかしいわね。変な虫が、うちの白百合についたら、大変だわ・・・今夜、慈朗に聞いてみましょう」

✨🌼✨

「・・・柚葉ぁ、ごめん」
「何?」
「急遽、御渡りが入っちゃった」
「なんか、また、気まぐれかな?皇妃様も・・・」

 最近では、柚葉が、数馬と僕の部屋に来ていることが多い。

数「あー、俺、外れてるんだよね?今夜は」
慈「女美架姫様のお付なんだから、夜、お部屋に行っちゃえばいいのに」
柚「まだ、行ってないんだ?」
数「まだ、って何だよ」
柚「真面目な数馬君は、お勉強の時間までしか、三の姫様に会わないんだね」
数「まだ、お付になったばっかりだし、三の姫は、早く寝るらしいから」
柚「お前が部屋に行ったら、起きててくれるぞ、きっと」
数「こないだ、ちょっと、夕食の後、行ったら、船漕いでた」
慈「なあんだ、行ったんじゃん」
数「すぐ、戻ったろ。その日だって」
慈「っていうかさ、御渡りだから、数馬、まじ、居られないから、女美架姫様のとこで、今夜、寝なよ」
数「・・・そ、そんなこと、できるわけないだろ」
慈「なんで?姫付きだよ。『奥許し』がダメなだけで」
柚「添い寝してやりなよ。そうしたら、早く、その気になるぞ」
数「柚葉のとこ、ダメだよ・・・な?」
柚「慈朗、どうしよう。いい?」
慈「いいけど」
柚「だってさ♡」
数「嘘、嘘だよ、・・・そっちの方が、ヤバそう」
慈「桐藤キリトの部屋、借りれば?」
柚「ああ、それも、いいかも」
慈「だってさ、一の姫様のお部屋だもん。夜は絶対」
数「・・・なんかなあ、・・・わかった。姫のとこ、ちょっと、行ってみるけど・・・」
柚「いいねえ、頑張れ、数馬」
数「他人事だと思って・・・」

 って、数馬、ちょっと、嬉しそうなんだけど・・・。

慈「で、ごめん、柚葉」
柚「いいよ、今、誰も回廊にいませんね。数馬も出てったし・・・んっ」
慈「んー・・・ダメだよ、ああ、ルナが向こうから来てるよ、見てたら、どうすんの?」
柚「どうもしない。では、今日は、慈朗の部屋でのお勉強なし。で、三の姫は、数馬にお任せだから、俺は、デトックスでも、しようかな」
慈「そうだね、僕、長いお風呂ダメだから、お付き合いできないから」
柚「近いけど、遠いね、今夜は。じゃあ、お妃様の所で修行してきて」
慈「あー、うん、修行って・・・?」

✨🌼✨

「まあ、慈朗。随分、お行儀良く、お食事ができるようになりましたね。お妃様の側で、食べられるようになりましたね。うふふ、ちょっと」

 あ、お妃様、なんか、持って来させる時だね。ご褒美、貰える覚えは、最近、ないんだけど。侍従が、大きな箱、持ってきたけど・・・。

「はい、ありがとう。慈朗、これは、何ですか?」
「え・・・あ、えーと、カサブランカ・・・ですね」
「見覚えは?」
「うーんと、ないです」
「送り主が、不明みたいだけど、調べて、変な物でもないらしくてね。お前宛てに、来たのですけど」
「僕に、カサブランカ?うーん、わかりませんけど、一応、担当香ですよね」
「そう、・・・そうなのね。お前のファンかしらね。だって、担当香を知ってるなんて」
「あ、あああ、お妃様、本当に、僕、覚えがありません。うーんと、えーと、マッサージしますか?」
「・・・慌ててるわね?・・・怪しい、慈朗?」
「違いますう。本当に、ないですから」
「もう、外出時の香水はやめさせようかしら?」
「ああ、僕は、それでもいいですけど・・・」
「まあ、花には、罪がないから、・・・慈朗、開けてご覧なさい」
「あ、はい、・・・ああ、本当だ、僕の名前宛てで来てる。誰なんだろ?こんなことするのって」

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