見出し画像

学校とコミュニケーション #33

 最近のニュースに戦争等紛争の話が尽きません。人が人を傷つける。子どもがたくさん犠牲になっている。国内でもニュースに殺傷の話が尽きません。国外と国内と場所は違っても、人が人を傷つける話に変わりません。本当に胸が痛い話です。
 これらの話は、元を辿ればコミュニケーションの話に行き着くのではと思います。学校ではコミュニケーションはとても大切なツールになります。子ども同士、先生と子ども、当然先生と保護者、職員同士、…全ての関係にコミュニケーションが存在しています。そんなことを思った今、学校だよりの中の「校長室風景」に取り上げた話題があるので以下に載せてみました。(平成20年9月1日 H小学校 学校だよりより引用)

 『学校だよりの○月号に、校長室への来室者の話(#5 小さなお客様)を書きましたが、今月は、電話のことを書きたいと思います。校長室には、たくさんの方からいろんな内容の電話がかかってきます。
 電話の場合は、相手の様子や表情が分からないのでとても気を使います。特に、見知らぬ人からの電話には不安や時には怖ささえ感じることもあります。そこで私は、どんな電話のときも、最初の受け言葉を、「もしもし」といったあやふやで相手を探るような応答は避け、「はい、○○です。」とか「はい、H小学校です。」といって、かけ手の方が安心し、好感を抱いていただけるように、はっきりと明るく応えるように努めております。
 以前の学校でこんな電話を受けたことがありました。「あなたの学校の女の先生の、どなたか分かりませんが、電話の受け応えが、とても爽やかでいい気分にさせられましたので、このうれしい気持ちをお伝えしたいと思い、電話をしました。」という、とても心温まるありがたい電話でした。早速、このうれしさを職員にも伝えました。
 電話は、見えないコミュニケーションの手段です。この見えないコミュニケーションは、人の心に深く染み込むことがあります。教育においてもこの見えないコミュニケーションは、子どもたちの健全育成や成長、発達にとても大きく影響していきます。大人の私たちは、自分がかもし出す雰囲気や様子に、目を配り、気を配って子どもの心に温かいコミニュケーションが染み込んでいけるようにしていきたいものです。
 さあ、今日から、新たなコミュニケーションが始まります。(9月1日:始業式の日)保護者の皆様、子ども達、そして地域の方々、よろしくお願いいたします。』

 夏休み明けのこの学校だよりには、保護者に伝えたいあることがあったのでこの話を載せました。
 実はこの夏休みの間に、6年の学年で大きな問題が起きていました。それは隣の学校でいじめられた子が学校での対応が不可能になり、この学校に緊急転入の措置の打診があったという話でした。私は、すぐに学年の先生を呼んで受け入れの「是非」を尋ねましたが、快く「OK」をもらいました。「その子のためになるのなら学年として全力を挙げて対応する」との回答でもありました。「校長先生はもう決めてるだろうから」との返答もありましたが、その子は、その後その学校に転入し、無事、翌3月に卒業しました。
 一人の子どもを守るためには、一対一のコミュニケーションだけで無く、様々な立場でのコミュニケーションがあったことを今でも覚えています。親子さんとの話し合いの中で、その子の保護者に話した言葉は、「受け入れた私達は、学校全体であなたのお子さんを守ります。だから全てを信頼し私達に任せて下さい。」でした。
 その時のお子さんは、もう27歳ぐらいになっています。「人を頼る大人」になってもらえておれば、あの時の決断は「良」でした。(令和5年11月15日)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?