「銀河鉄道999」について


多分、面白い訳ではない。
観てると眠くなる。
しかしどうしても忘れられないのだ。

汽笛の音や、美しい宇宙空間、暗闇に飛び交うレーザー光線。
作劇より情緒的な要素。
なによりあのBGM、交響曲、カセットテープは千切れるまで聴いた。
あのメロディを聴くたびに「まだ生きていよう」と思い直した。
自分の中で人や世界に価値をもたらすだけの力があった。
何が好きなのかという比重はアニメの音楽が多くを占めた。
余談だが、このメロディとほぼ同じ物を北斗の拳で使ってて噴飯。
いやたしかに、歌謡曲と違って拡散されないからね、勿体ない。
どんなに気合を入れたメロディーでも誰かが聴いて意味がある。
アニメや映画BGM専門の何かがあればいいのにね。
・・話を戻す。
個人的に話の部分は劇場版より漫画の方に思い入れがあった。
アニメを作る少女、貧乏だけど夢がある人々。
まぁこっちは映画向けではないわな。

ヒロインであるメーテルは象徴的な意味しかない気がする。
一貫性が無い、よく判らない。
めっちゃ強いのにたまに捕まるし、
鉄郎の母親の様でいながら、毒親に支配されてたりと。
保護者のようでいて、鉄郎の信念に依存してる。
なのに別れようとする。
ミステリアスなのにふにゃふにゃと弱い部分も見せるのだ。
まぁあのくらい不確定な物でなければいけないのかな。
完全に理解出来たら、彼女に興味も無くなる訳で。
彼女は綾波レイが現れるまではアニメヒロインの象徴だった。
そしてまた綾波もよく判らない。
モブ負傷兵の登場シーンからラスボスまでの落差とかね。
つまり、頂点は理解不能な部分が無いとダメなんかも。

またさよなら銀河鉄道999の再会シーンは鳥肌物だった。
白昼小さな駅のホーム、汽車に乗り込もうとする鉄郎。
999の蒸気がもうもうと立ち込め、鉄郎は不意に立ち止まる。
目線の先、なんとなく、蒸気の向こうが気になる。
白い蒸気をじっと見つめていると、その中から黒い人影が・・
そこで流れるBGMが凄い。
心臓がバクバクする。締め付けられる。
メーテルが鉄郎がそこにいるのを判っていた様に微笑みながら現れる。
ありきたりの様な穏やかな日常がその瞬間、止まる。
ただ鉄郎を見つめてほほ笑むメーテル。
ヤバい。

当時のアニメであんなものは見た事なかったかも。


おしまい

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