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合理性と付き合い

田舎ならでは、でもないと思うけど、「昔からの付き合いじゃから」のやつが田舎は色濃いです。

多分、多くの方の想像に近しいと思われますが、水道管詰まった水が出ないとか、サッシの取り付けが悪いとか、何か業者に頼まないといけない状況が起きたときに、ネットか何かで探すようなことはなく、脊髄反射的にあこれはどこそこさんとこ、ってなります。

このときにでてくるワードが「付き合いだから」っていうやつです。


都会で暮らしていると、特に自分は単身で賃貸で住んでましたからその地域の方との付き合いどころか面識もほとんどなかったように思いますし、これは自分でどうこうできないやつだな…という場面に遭遇したら、まずネットで安くてその中でも信頼できそうなとこを探してたと思います。

田舎ではこんな手順はないんです。こうなったらここ、ああなったらあそこ、ってだいたい決まってます。で、そこに頼まないと不利益を被ることすらあります。

例えば知り合いが経験したひどいとこでいうと、水回りのトラブルで町の業者さんにお願いしたところ、あんたとこには行かん、と言って断られたそうです。後で聞いたら、以前のトラブルの時に頼まなかったから、というのが理由だったみたいです。まぁ、これはよっぽどなとこですけど…


僕は別にこの「付き合い」を否定するつもりはありません。付き合いというのは、困ったときに助けてくれた、よくしてくれた、のような昔から積み重ねてきた信頼関係のうえで成り立っているものでもあって、その業者にとっての一つの競争力であるとも思います。


会社経営の目線で利益重視で考えるなら、コストが安い方を選ぶのが自然です。合理的です。それなりの額の事柄にコストをかける際に、相見積もりをして安価な方を選ぶことも多いのではないでしょうか。

ただ、この合理性を求めるばかりに周りの会社との信頼関係がなくなっていく会社というのもいくつか目の当たりにしています。

経営者が変わられたタイミングで、合理性とコストを理由に、古くからの付き合いのあった取引先から、ばっさりと安い業者に軒並み切り替えられました。

大きな儲けをだされたようですが、困ったときに手を貸してくれる業者はいなくなり、コスト重視で儲からないことはされないので地域住民の理解も失われてしまいました。

都会でも同じだと思うけど、田舎は特に相手の顔が見えるし、近いし、コミュニティが狭いから評判もすぐ広まります。


コストを削減する努力は会社として必然だと思います。

ただ、そればかり追求していると人の信頼を失うことにつながりかねない、ということなんだと思います。


合理性と付き合いのバランスをとる、というのが理想的だと思いますが、実際これはとても難しいですよね。こっちをたてればあっちを気にして、あっちをたてればこっちを…

コスト意識で利益追求するもよしですが、それだとどうしても我がとこだけ儲かればええんだっていう風に思えてしまって、自分はそうはやりたくない。

会社が成立って存続していく、っていうのは大前提だけど、時に損をすることがあったとしても、人の役に立つ、地域を良くするための判断というのを自分の中のぶれない指針にしたいです。


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