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おまかせ全部レビュー #いしまる

 サムネの鮪で反応した人は確実に鮪オタクで、回転寿司の鮪ではもう満足できない、わがままな人です(笑)。つけ皿からどこ(仲卸)の鮪か分かった人は鮪変態(褒め言葉)です。これは藤田水産の中トロ、部位は「はがし」と言って、腹部の筋を完全に"はがした"中トロです。筋が無いので舌触りが滑らかで、柔らかいを超えて"軽い"食感と言うのでしょうか。これを超える鮪は中々ありません。

 鮨界隈で藤田水産の鮪は有名で、その鮪を使うこちらのお店も注目されていましたが、今では鮪だけに頼らない、沼里親方の鮨が楽しめるお店になりました。居酒屋出身の親方として色眼鏡で見られることもありますが、1つの握りにかける手間提供する順番の裏にある思想は知れば知るほど鮨職人として尊敬できます。沼里親方のコースは①白身②鮪③光物④烏賊⑤季節物⑥加熱系に分けられ、3貫で1テンポを刻むように出しているそう。こういった親方の意図も含めて食べられるのがおまかせの良さです。

 かと言って居酒屋出身が霞むことの無い、酒を飲ませるつまみの塩梅が日本酒を誘い、それが更につまみを誘い。。と無限ループが完成しかける危険性もあるのがいしまるさんの怖いところ(笑)。

 去年までは前日までの予約が必須でしたが、今年からは席が空いていれば当日予約も可能になり、気が向いた時にふらっと通えます。握りだけのコースも予約できるのが更に嬉しい点で、時間・価格ともに使い勝手の良いお店になりました。そんなことをされたら軽率に通ってしまうので、個人的にはやめてほしいのですが😂(絶対にやめないでください)

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⓪春鹿
 後ろのショーケースから分かるように、いしまるさんはかなり日本酒を揃えているお店です。甘口もありますが、基本的に辛口が多いイメージです。

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①鞍掛豆
 塩の塩梅が絶妙で突き出しからお酒が進んでしまう鞍掛豆。前回訪問時も出ましたが、いしまるさんのレギュラーでしょうか。

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②槍烏賊と蛸
 柔らかく香りの良い蛸の横には槍烏賊の印籠詰め(?)。前回訪問時の香箱蟹に続いて、いしまるさんでは初体験のつまみをいただくことが多いです。

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③白子焼き
 熱々の白子をスプーンで崩して山葵と柑橘でセルフ調味。半分食べたらシャリと混ぜてリゾットに。

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④あん肝(春うど和え)
 前回訪問時は柿、今回は春うどの甘酢漬けをあん肝に和えていました。私の知る限りでは工夫と鮨屋らしさが最もよく表現されたあん肝です。

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⑤魴鮄(ほうぼう)
 塩でしっかり締めた白身で口を鮨モードにする役割を、今回は魴鮄が担っていました。ネタに弾力があるのでシャリも感じられるスタートです。

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⑥喉黒(のどぐろ)
 喉黒の最上級ブランド「紅瞳」は名に劣らぬ脂と身の柔らかさで、シャリとの一体感と香りの付け方が素晴らしいです。2貫目で大物が来ました。

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⑦白魚
 直前まで桜の葉で占めていたので春の香りがくっきりと宿り、ほろっと崩れる危うさや舌触りが季節を感じさせます。

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⑧はがし
 柔らかく香り高い鮪が売りの藤田水産。そんな鮪の一番柔らかい部分はシャリと完全に一体化するほどのとろけ方。トロでもしっかり香ります。

⑨まぐろかき身巻
 写真を取り忘れましたが、これもいしまるさんの定番メニュー。カメラを構えていれば写真も撮らせてもらえるのでご安心ください。

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⑩鯖
 小鰭がいなかったので代わりに鯖を使ったそうです。鮪の脂切りの役割もあると思うので、普段より酢を強めているのかなと想像しました。

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⑫細魚(さより)
 清々しい香りが気持ちの良い細魚ですが、こちらでは朧を噛ませて甘みを足すことで味に華やかさを加えています。

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⑬墨烏賊
 昆布締めにすることで烏賊をただの前座ではなく、中盤でもしっかり味わえる一貫に仕立て上げているそうです。墨烏賊を前面に押し出したようなサクサク食感が更に存在感を強めます。

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⑭赤貝
 香りと甘みの二軸でこの赤貝を評価するとしたら甘みが強く、閖上よりも宇部の方かなと想像しましたが、答えはどちらだったのでしょうか。最近では中国産も使われるようになった、おもしろい食材です。

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⑮北寄貝
 北寄貝は炙りたい派閥の私も、ここの生北寄貝にはお手上げです。柑橘を一振りするだけでここまで甘みが引き立つのかと感動しました。

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⑯雲丹の小丼
 価格高騰を受けて別料金の選択制になりましたが、続けてくれる親方の心意気を感じました。雲丹は乗せるだけなので興味ないと言う人もいますが、鮨を食べるならやはり王道は外せません。

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⑰車海老
 巨大な身を頬張り、頭のミソを感じたと思えば芝海老の朧で甘みブーストされた味に変わっていく、大きい中にも繊細さを感じられる一貫です。このデカさを伝えるためには斜めに撮るしかありませんでした(笑)。

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⑱煮蛤
 ねっとりと濃い煮ツメに負けないように輝く山葵と柚子の皮。食感のある蛤を噛んでいくうちに味が1つになります。

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⑲穴子
 いつも穴子の柔らかさにばかり目が行ってしまうのに、今回はシャリとの関係性の上で味わえました。如何にいしまるさんのシャリが美味いか思い知らされた一貫です。

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⑳玉子・朧・干瓢巻
 どうやら玉子と朧の巻物は藤田社長が好んで食べるようで、沼里親方の藤田社長愛が感じられます。穴子で終わるのもいいですが、優しい甘さで口を落ち着けるクールダウンもいいですね。

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㉑かっぱ巻き
 親方のご厚意で巻いていただいたかっぱ巻き。終始シャリが美味いなと思わされた日でした。このタイミングで他のお客さんが帰り、かっぱ巻きをつまみながら話を聞くのが楽しくてたまりませんでした(笑)。

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㉒苺と林檎
 つまみも握りも巻物もこれだけ食べた後にまだ出てくるのかと驚きます。全てにおいて季節感を大事にしてくれる、これが鮨屋だよなと惚れました。

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