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おまかせ全部レビュー #鮨はこざき

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 さあ来ました。私が去年だけで10回お世話になった浦和の「鮨乃すけ」の箱崎親方が今年の1月にオープンした新店、「鮨はこざき」。真新しい店内は、「蛎殻町すぎた」と同じ内装屋さんが仕立てているんだとか。まずはおまかせで頼んだ日本酒「梵」とガリをつまみながら親方の仕事を眺めます。

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ひざかけは持ち帰り可能

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 一品目に出てきたのはホワイトアスパラ。一品目から季節感を考慮した食材が出てきました。魚ではありませんが、食で季節を感じる点では鮨の大切な一部です。これから始まる食事に向け、食欲を静かに始動させます。

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 温かい出汁の香りと共にやってきたのは「のれそれ」。穴子の稚魚のことを言います。半生のヌルっとした食感と、適度な弾力がクセになります。ほのかに香る海の香りがのれそれの個性でしょうか。

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 星鰈は若干寝かせているのでしょうか、活かった感じはなく、それに対比させるかのようにえんがわが添えられています。オレンジ色は「このわた」=海鼠(なまこ)の内臓の塩辛です。

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 蟹みそかと思っていたら稚鮎。舌の上にざらつきが残るのは、まるごと調理しているからでしょうか。ほのかな苦みが日本酒のペースを早めます。これは横に置いて少しずついただくことに。

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 シーズンに入って初めて食べる蛍烏賊はさっと炙って香ばしく。味噌と叩いたなめろうスタイルもいいですが、蛍烏賊のミソだけでつくり上げる自然なマイルドさも美味しいです。

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 茶碗蒸しの上に噴火湾の毛蟹を敷き詰め、更に雲丹を添えた贅沢な一品。雲丹は何かと添えられがちですが、甘みとまろやかさで毛蟹の香りに寄り添う、意味のある組み合わせになっていました。

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 太刀魚が旬を迎え、脂も味も濃くなっているからこそ、カラスミを乗せることができると思います。魚のポテンシャルに合わせて出し方を変える、季節物だからこその表現方法です。

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 虎河豚の白子の下には切り立てのシャリが。酸の立った味わいは白子に負けることなく、ダブルキャストのような一品。2つが合わさることで、単体で食べるよりも個々の良さを感じます。

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 平貝は横方向に分厚くカットすることで食感が最大限に出ます。味が単調にならないように唐辛子を振りかけ、最後に海苔の香りで包み込みます。単純な作りの中に一口の広がりを感じます。

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 しっかり寝かせて塩締めした金目鯛を海苔と一緒に出しで煮ています。金目鯛はしっかり水分を抜いて味を濃くしているので、出汁にも海苔にも負けず、存在感を放っていました。皮目のぷりぷりした脂からも、魚自体のポテンシャルがうかがえます。

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ここから握りがスタート。

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 箱崎親方の握りは烏賊から。乃すけ時代には白烏賊に烏賊墨塩をかけていましたが、今回は墨烏賊をストレートにいただきました。身が厚く、サクサクもちもちな食感でした。

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 今回はたまたま良い皮剥が入ったとのことで、箱崎さんの握りに久しぶりの登場。肝の濃厚さを全面に出しながらも、浅葱のささやかなアシストが効いています。

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 喉黒は直前に炙ってから登場。表面だけに火を通して皮目の脂を溶かすイメージでしょうか、プリッとした食感をシャリと一緒に香ばしさと溶け出した脂で包み込んだようです。

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 小鰭には芝海老の朧を噛ませています。強めに酢締めしているので朧の甘みがあまり感じられませんでしたが、喉黒の脂切りとしては適切な塩梅だっと思います。

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 楽しみにしていた結乃花の鮪。まずは赤身からいただきます。これだけ厚く切ってもシャリを柔らかく包み込み、しっかりと2つが1つに交わりあいます。

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 次は中トロ。赤身もですが、直前に軽く醤油に漬けることでねっとりとした食感を出します。見るからに舌触りの良い身質で、鮪の香りも脂に負けず感じられました。

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 山口県萩の赤貝は中に紐を忍ばせて握っているので香りが素晴らしいです。赤貝と言えば閖上が有名ですが、紐も合わせて食べれば負けずとも劣らない味わいです。

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 橘の紫雲丹です。いつも雲丹は手渡しでしたが、今回はつけ更に着地。まだまだ雲丹の価格高騰は厳しいですが、親方は雲丹の手を抜きません。立派な雲丹を見て隣のおじさんが興奮していました。

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 海老本来の甘みを伝えるために頭を落とした状態で握ります。うっすらと生を残したような茹で加減にすることで甘みと食感が両立しています。

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 落とした車海老の頭は焼いていただきます。ミソは固まることなく溶け出し、身の優しい甘みとは一転、濃い甲殻類の香りで満たされます。

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 穴子を柔らかくするのは高級店では当たり前のこと。そこに煮詰め以外で個性を持った穴子を見つけると楽しくなりますが、こちらは山椒を散らしていました。穴子の優しさと山椒の刺激(もちろん強くありませんが)、両極端が共存する例の1つです。

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 玉子焼きに蜂蜜をかけるのですが、このクメール・ラビットという代物は1瓶で18000円するとのこと。甘みもそうですが、今まで体験したことのない香りに驚くことでしょう。

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 デザートはいちごのすり流し。コースの内容によって握りの合間のお口直しにもなる、甘さ控えめの一口です。

 鮨はこざきは初訪問でしたが、お店の方向性としてはつまみも握りも両方楽しみたい方向けのバランス型のお店でした。日本酒やワイン(白/赤)も豊富に取り揃えてあるようなので、お酒好きにはぴったりです。また、親方はパフォーマンスにも力を入れられていて、良いものを進んで取り入れて昇華させる貪欲さのようなものも感じます。これからが楽しみなお店です。

link here ☞ 鮨はこざき

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鮨乃すけのレビューはこちら↓


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