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【読書記録】「変」なクラスが世界を変える!

読み出すと、ワクワクが止まらず一気に読んでしまった。

2023年3月31日。薬局で順番待ちをしている時にたまたま放送されていて観たフジテレビのTV番組「ノンストップ」に出演していたことをきっかけに存在を知った東京学芸大学附属世田谷小学校教諭のぬまっちこと沼田晶弘先生。今回紹介するのはぬまっち先生の著書。

楽しくワクワクするような実践が具体的に紹介されている学びの多い一冊だった。実践をそのまま全部真似できるかというと、学校事情や環境、地域性、子どもたちや保護者のタイプ、先生のキャラクターが違えば、難しいと思う。でも各先生がアレンジすることで、今後の教育活動がより豊かにできるヒントが沢山詰まっていたと思う。

私はぬまっち先生の実践をヒントにやりたいことが湧き上がってきてすごくワクワクした。

今回はこの本に登場したぬまっち先生の主な実践と、その実践を知って考えたことをまとめた。

1.ダンシング掃除🧹

【概要】
課題:3曲の間に掃除を終わらせる
制限:サビまではおあずけ状態
報酬:踊る楽しさと休み時間の長さ
•サビの部分は掃除を中断して全員で踊る
•3曲目が終わるまでに掃除を終え、全員が着席
•最後は全員の手拍子でしめ、そのまま昼休み
•当番はなく、各自がやることを見つけて掃除
•先生は曲を流すだけで、掃除中は日記の返事を書いている
•曲は「行くぜ!怪盗少女」など

【感想】
子どもたちがノリノリでできるなら楽しそう。
当番決めずにみんながサボらず掃除に取り組めるのがすごいと思った。

中学だと教室と廊下以外に教室から離れた特別教室などを担当する班があったりするから同じようにやるのは難しい部分もあるが、アレンジして取り入れることはできそう。子どもたちの好きなテンポ速めのテンション上がる系の音楽流すだけでも、掃除が少しスピーディに楽しくできそうな気がする。1曲目2曲目フルスピードで掃除やって3曲目のサビだけ踊るとかもありかも。あとは体育祭でダンスがあるならそれとコラボするとか。周りのクラスへの配慮や他の先生方の理解も必要だが。。。

掃除に限らず「曲が終わるまでに作業を終わらせる」という課題を与えるのは使えそう。時間制限ありで活動する時キッチンタイマーはよく使うけど、活動によっては音楽を使ってやるのも楽しそうだと思った。

ダンスという部分に注目するならば、以前「本能寺の変」で流行った踊る授業シリーズのYouTubeみたいに体を動かしながら覚える活動も授業に取り入れたら盛り上がりそうだ。

2.アナザーゴール🏁

【概要】
•遠い最終ゴールではなく、目の前に達成しやすい「もうひとつのゴール」をだしてあげる

【具体例①】「勝手に観光大使」

小5社会科地理 単元「日本について学ぼう」
「自分の好きな都道府県について調べよう」
「いろいろな観光地について発表しよう」

アナザーゴールその1
「勝手に」という言葉の面白さ
アナザーゴールその2
「〇〇を調べよう」ではなく「パワポでプレゼンしよう」
アナザーゴールその3
社会のお勉強ではなくプレゼンコンテストにしてしまった
アナザーゴールその4
知事に送った

【感想】
ぬまっち先生は楽しそうなネーミングを考えるのも秀逸だなぁと思った。私も中2の日本の諸地域の単元で自分の好きな地方について調べてパワポで発表させるという授業はしたことはある。これをネーミングを「勝手に〇〇」に変えて、途中でルパンタイム(後ほど紹介)を入れ、プレゼンコンテスト形式で発表会したら子どもたちの取り組みや学びにどんな変化が起こるのか、やってみたいと思った。

また、知事に送るというのも面白い。この実践を見た時、私は中3の地方自治の単元で、自分たちが暮らす市の改善させたいところを考えて意見•要望を市長に送るというアイデアを思いつき、やってみたいと思った。少し調べてみると、私の住んでいる市も、勤めている市も、市長への手紙orわたしの提案という名称で専用封筒や手紙が公民館等に設置されていて市(or市長)からの回答有で送れるようになっていた。HPから電子版で送ることもできる。
回答をもらえるというのがすごく良いと思った。
自分の住んでいる身近な地域をより良くする提案を考え、さらにその提案について市や市長から返事をもらえるのは子どもたちにとってかけがえのない経験になると思う。
※県ver.のわたしの提案もあったが、神奈川県の場合回答は原則もらえないようだった。

【具体例②】「計トレ」

【概要】
•81マスの九九の計算を制限時間2分で行いお互いに採点
•2分を切ると「U2」の称号が与えられる
•進化系はRU2
※U2=under 2 minutes
※RはランダムのR

【感想】
称号を与えるというアイデアがまた秀逸!小さいことでも成功体験を積ませられるの良いなぁと思った。
社会科で取り入れるとしたら、、、例えば地理の学習で世界の国名や首都名、都道府県名や県庁所在地を覚えるみたいな単純な問題を時間制限つけてやって時間内に全問正解したら同じくU2のような称号与えると楽しく取り組めるかもと思った。
教科の授業に限らず、何かクリアしたら称号を与えるというのは子どものやる気を引き出せそうなので、ぜひ取り入れたい。

3.ワードバンク(言葉の貯金箱)

「…これから調べてわかった言葉をどんどん貯金しよう。貯金額が増えれば、君たちの言葉が豊かになるよ!」 

「変」なクラスが世界を変える p108より

【概要】
•ひとりひとりが専用ノートに調べた言葉をどんどん書いて貯めていく。
•ノートを1冊使い切ったら、古いノートと新しいノートを合本。

【感想】
自分の新たな学びをストックしていけるのも良いし、取り組んだ分だけ合本してどんどん厚くなっていくのが、努力が可視化されて良いなと思った。
社会科に取り入れるとしたら、、、【知識バンク】(知識の貯金箱)にして、自分が調べたり新しく知った用語を貯金のように貯めていくのも良いかもと思った。

4.インパクトライティング

【概要】
•良い作文は読み手を惹き付ける「インパクト」がある→インパクトのある作文の書き方を3つのポイントで指導

作文や小論文の基本となる3つのポイント
①インパクトスタート
強烈で印象的な出だし(意見強め)

ベランダで感じるみずみずしい風。口で感じる、「さくっ」とした食感。まさに天国だ。

「変」なクラスが世界を変える p112より
小3が書いた作文の冒頭 
体言止めの情景描写で引きつけ、擬音も効果的


②クリアストーリー
簡潔に分かりやすく説明(事実強め)

③ドラマティックフィナーレ
気持ちを強くまとめる(意見強め)

【感想】
ネーミングセンスがほんと神がかってる。作文やるよーと言われるのとインパクトライティングやるよーと言われるだけでもだいぶ印象が変わる。

5.NGワード

【概要】
•「うれしかった」「楽しかった」「がんばる」など、作文のテーマに合わせて、子どもたちが最も思いつきそうな言葉を封じる
•豊かな言葉の獲得が目的
•ぬまっち先生のクラスで「うれしい」「たのしい」という言葉をNGにした時は、【心に花が咲いた】【心が温かくなった】【今なら空も飛べる気がする】のような比喩表現を使う子が現れた

【感想】
体育祭とか合唱コンクールに向けての作文だと優勝目指して頑張りますとか、テストに向けてなら良い点数を取れるように一生懸命勉強がんばりますみたいな似たり寄ったりな文章になりがちだから、すごく良いアイデアだと思った。

6.ルパンタイム

•友達の作文から、自分の作文に使えそうな文章表現を盗める(真似をする)時間
•書き始めて20分とかある程度の時間が経ったら「ルパンタイム!」と声をかける
•友達の気に入った表現をお手本にして、自分の作文に付け加える
•真似ることは学ぶこと
•奪われた側の恩恵はSNSの「いいね!」の代わりに付箋を作文に貼る(承認欲求が満たされる)

【感想】
作文が苦手な子の救済タイムになると思った。作文だけでなく、色んな活動で取り入れられそう。例えば発表資料のスライド作りなどでもルパンタイムを設けることで、自然と教えあいや高め合いができ、クラス全体として質の高いスライド作成ができそうだ。
奪われる側にもちゃんと恩恵をみえる形で確保してあげているところも大きなポイントだと思った。


7.歴史ティーチャー系プロジェクト

【概要】
•子どもたちが先生となって授業
•ツッこまれて困った時のために「諸説あります」をお守りの言葉とする
•「自分の言葉でしゃべる」ことを大切に
→シナリオを暗記して一言一句間違えずにしゃべれたとしてもそれは勉強にはならない
→大事なのは歴史の流れを理解することで、その時その時表現する言葉が変わってもいいと伝える

【感想】
子どもたちが前に出て発表するのってすごく緊張するだろうし、プレッシャーもあるだろうから、お守りの言葉を用意してあげることで子どもたちは安心できるだろうなと思った。挑戦者を募ってやってみたい。子どもが挑戦しやすい学級の雰囲気づくりや、完璧じゃなくても失敗しても大丈夫という日頃からの声かけも大切だと思った。

8.花畑の伝説

【概要】
•クラスのメンバーがそれぞれ取り組んでいる数々のプロジェクト(期限付)を期限内に達成すると教室背後の壁に紙のお花が貼られる(卒業までにお花を100個にするのを目標)→成功体験の可視化
•「世界一のクラスになる」「卒業遠足で帝国ホテルのレストランでランチを食べ、みんなでリムジンに乗って学校へ帰る」という目標達成のため、沢山のコンテスト(漢字、写真、学校新聞、俳句、作文など)に応募して賞金を貯めて卒業遠足の資金とした
•プロジェクトはコンテスト応募だけでなく、前述の歴史ティチャー系プロジェクト等を含むあらゆることに及んだ
例:NKS「夏のコンテストを探す」プロジェクト
=夏休みの公募コンテストを探してリストアップするプロジェクト
CDK「コンテスト出したか確認」プロジェクト
=メンバーが確認後、応募先別に封筒に入れる
→子どもの間で仕事がシステマチックに完結!

花畑とは、教室の背後の壁にある、色とりどりの「紙のお花畑」のことです。この花は子どもたちが一つの「プロジェクト」を達成するごとに原則一つ増えます。花がつけられている台紙に、プロジェクトの名称と、参加したメンバーの名前、達成のひと言コメントが書かれています。

「変」なクラスが世界を変える p85より

【感想】
まず率直な感想は、小6の卒業遠足で帝国ホテルでランチ&リムジンで帰ってくるというぶっ飛んだ内容を管理職や保護者の承認を得て、実現させてるのがすごいと思った。なかなかできない。。。
達成したら紙のお花を貼っていって成功体験を可視化するというのは色んな場面で使えそうだと思った。

9.勝ってこそ運動会


【概要】
•ぬまっち先生は勝利至上主義(勝利体験は自己効力感を高める)
•初めから勝っても負けてもいいだと、工夫は生まれないし、頑張れば10行けたのに2でOKとなってしまう
•「絶対勝つぞ」と思うからこそ一所懸命練習したり、勝つための戦法を真剣に考えたりする

「みんな、運動会でちゃんと勝ったことある?」
「自分たちで一所懸命練習して勝ったことがあるかなって意味だよ。全力で頑張ってないから負けてもそんなに悔しくない。負けて悔しく涙を流したことある?」

「変」なクラスが世界を変える p46より

子どもがテストの点数が良くなかったり、かけっこで誰かに負けたり、発表がうまくできず元気がない時どう声かけするか?
❌「頑張ったんだから仕方ない。」(安易な慰め)
⭕️「お前の頑張りは見ていたぞ。悔しいよな…」
「ここまでは出来ていたよね。何が足りなかったんだろう?」
=まずは一緒に思いっきり悔しがり、その後できていることを認め、原因を分析して伝える。

【感想】
体育祭や合唱コンクール、球技大会など勝ち負けがかかったイベントが中学でもあり、それらのイベントはクラスの団結力を高める絶好のチャンスと捉えていたけど、自己効力感を高めるという視点は新しい発見だった。また、どうやって子どもたちの心に火を付けるか、ぬまっち先生の熱い言葉や想いが参考になった。



モチベーション上がるし、具体的な実践ばかりで学びになるのでオススメです!教育に携わる方々、気になった方、ぜひ読んでみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございます。