さちあれ

日々を丁寧に生きるあなたに幸あれinstagram.com/suttenten99

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最近の記事

生活を映し出した窓を眺める

私は窓が好きです。 自分の家と、隣の家では窓の形も窓の奥に見える光も違う。窓から聞こえる音ももちろん違う。そんないろんな顔を持つ窓は、その家の中にある生活を映し出すものだと思う。 丁寧に飾られた窓際の花 薄汚れたカーテンと日焼けしたぬいぐるみ 窓から下がる、ふんわりとふくらんだ布団 泣く子供の声 小さな手が奏でているであろう拙いピアノの音 朝食の準備をする軽快なまな板の音 開け放たれたその窓からは、 知らない誰かの生活が静かに流れて出てくる。 大橋トリオ feat.矢

    • つづきはつづくよ、永遠に。

      昨日のまとめ テーマ:なぜ分身の夢を見るの? そもそもの前提として… 私たちは日頃無意識のうちにある思い込みをしている。 それは、「普段自分は自分の姿を俯瞰して見ている」という思い込み。 なぜこれが起こるかは実験を引用して説明してあるので参照してください。 https://note.com/suttenten/n/na3d73f8fe0c9 さて今日のお話。 分身の夢には、2人の私が登場する。 =①俯瞰して見ている私  ②一人称視点(POV)の私、実際に夢の中を生き

      • 夢の中を生きる私。それを見つめるもう一人の私。

        夢の話。 よく、夢の中で動く私とその私を見ている私、という構造の夢を見る。 つまり「分身の夢」。 俯瞰ショットとPOVショットを交互に繋げたような夢ですね。 この夢がどうして起こるのか? これを現象学の観点から分析した本があります。 渡辺恒夫著『夢の現象学・入門』。 (この本の第5章で解説されています) まず前提として私たちは日常で無意識的にある思い込みをしています。 それは、自分という姿を「客観的に」見ている、つまり、自分の姿を「俯瞰」して見ているという思い込みです

        • 記録を記憶に結びつける

          今から4年前、高校3年生の初夏。 今、自分がいわゆる青春の真っ只中にいるということ、 そして、その「青春」の終わりが自分にもきちんと用意されていること。 この2つをはっきりと自覚した私は、 大人になった私が振り返ることを想定して、全く後悔することのない最後の1年を過ごした。 夏休み。 講義の終わりに友人たちと教室に残って勉強した。 飽きればおしゃべりをして、黒板に絵を描いて、お菓子を食べて、校庭を眺めた。そこにはもちろん、あのとき、ちょっと憧れていたあの人もいた。 い

        生活を映し出した窓を眺める

          過去を書き換え、書き換え・・

          これまで大学の映画サークルで色々なテーマの映画を何本か映画を撮ってきた。 しかし、最後の2本に関しては同じことをテーマにしていたと つい最近気づいた。 ●1本目 高校時代に友人の女性が失踪したという経験を持つ男が、 7年後、彼女の失踪宣告による死亡認定を前に、 これまで彼女の存在を忘れて生きてきたことに気づき、苦しむ物語。 忘れてしまうということに対して、肯定していこうよ。 忘れなければ次に進めないんだから。 っていう話。 ●2本目 周囲になじめず、さらに不登校気

          過去を書き換え、書き換え・・

          水面に映るのはだれ?

          エコー"echo"  ついこのあいだ、この言葉の語源を知った。  エコーの語源は、ギリシア神話に登場する妖精の名前。 彼女をめぐる伝承には2種類あるらしいのだけど、 ここでは有名な美少年ナルキッソスとの悲恋譚を。 エコーは、ゼウス(ギリシア神話の最高神)の妻であるヘラが 彼の浮気現場を押さえようとするのを度々邪魔しようとしていた。 (ここの経緯は謎…) ヘラの怒りをかった彼女は、ヘラによって「こだま」のように ただ他人の言葉をむなしく繰り返すことしかできない体にされ

          水面に映るのはだれ?

          霧の中なの

          ユーリー・ノルシュテイン 世界中の映像クリエーターから尊敬を集めるロシアのアニメーション作家。切り絵技法による、独特の詩的で繊細な作風が多くの人々を魅了し、映像詩人と評される。 (映画「ユーリー・ノルシュテイン、《外套》をつくる」HP) 1968年『25日-最初の日』 1971年『ケルジェネツの戦い』 1973年『キツネとウサギ』 1974年『アオサギとツル』 1975年『霧の中のハリネズミ』 1979年『話の話』 1995年『外套』の作業再開 1999年『おやすみな

          霧の中なの

          映画『少女邂逅』

          ちょっと前に、『少女邂逅』(枝優花)観ました。 女子高生のふわふわ映画もういいって! という食わず嫌いに打ち勝って、やっと観ました。 狭い狭いっていうけれど、あんな田んぼが広がっていて森もある田舎ってまだ綺麗な田舎だよね。 意味わからん商店街にダサい制服、駅前だけやたらと賑やかで街の娯楽はイオンだけ、みたいな、地獄みたいな田舎があることを忘れないでほしい。 綺麗です、あの田舎は。 紬ちゃんの言葉一つ一つが蚕の声に重ねられていたと思うんだけど(紬ちゃん、蚕なのでは?と本

          映画『少女邂逅』

          葉脈をじっと見つめてみてほしい。

          書くことがないので、えいやと話を作りますた。ますた。 じっと座って何かをみていると、 観察力が敏感になって 普段気づかないようなものに気づくことがある。 「こんなところにこんな看板あったっけ?」 「あ、あの人ズボンのポケットからレシートがはみ出てる」 といった具合に。 感染病が世界を襲う前。 僕はせわしなく走り続け(歩いたりもしたけれど)、止まることなく 毎日を送っていたような気がする。 なぜなら僕には、社会から与えられた守らないといけない時刻表があって、遅刻は絶対

          葉脈をじっと見つめてみてほしい。

          蚊帳の外。

          今日は、我らが銀色夏生先生の詩を紹介する。 胸を打つ静寂というものがあります。 たとえばさようならの時、 恋人が恋人でなくなる時、 誰かを愛しはじめた時、 大切なものを見つけた時……。 なんとたくさんの音がこの世に存在し、 なんとたくさんの静寂がこの世をみたしていることか。 あらためて感動することがあります。 僕ならば君をあらためて確信する時。 夜ならば波が、 よいのではないでしょうか。 耳に聞こえないものを音で表現する。 銀色夏生さんの心の豊

          蚊帳の外。

          コーヒーゼリー

          ハイ、 当事者研究の大切さについてのお話でした。 前回言ったような人文社会科学とか、心理学とかって、 数学や物理と違って、数字ばかりが並ぶ研究じゃない。 そういう研究は特に、 研究者自身がどういう人間で、どうしてその研究をしているのか、 っていうことが重要になってくると思うのだ。 なぜなら、 これが変わることで、課題設定も、対象の選択も、結論すら 変わってくるかもしれないから。 つまり、個人的な要素が研究結果に大いに影響するから。 もっと抽象化して言うと、 価

          コーヒーゼリー

          ウヲアイニ。

          当事者研究 という言葉をご存知でしょうか。 とある学術書を読んでいて、 このワードが出てきたので少し調べました。 理系科目はびっくりしてしまうほど苦手な私が一体何を… えっと、当事者研究ってのは、 近年、人文社会科学とか医療研究の領域で 結構注目されている研究スタイルのようです。 当事者研究というは、研究者が自分の立場を明らかにした上で、 研究や調査をしたり、論文にもその立場を明記をする研究方法です。 例えば、ゲイの心理学的調査を行うのに研究者が自分がゲイだという

          ウヲアイニ。

          つづきはつづくよ、どこまでも。

          本日は、小説のすゝめ。 いつだか、 小説を読むことで感情やふわっとした概念の言語化が可能になるという話をしたけれど、 一方で、こんな声も聞こえてくる。 「なんでわざわざ読書を通して言語化するの?」 「自己啓発本や論文でダイレクトに言語化してもらえばいいじゃない」 あー。その気持ちはわかる。 わかる、でもちがうのよー。 小説=物語。 したがって小説に限らず 物語という形式を持つ全てのもの___映画、演劇などなど___に 言えることなんだけれども、 小

          つづきはつづくよ、どこまでも。

          砂場の男の子と揺れるブランコ

          昨日の続き。 ファンタジックなんだけど、その中に生活感もちゃんとある。 そう、たむらさんの作り出す世界は非現実と現実のバランスが最高なのだ。ロマンを残しつつ、ちゃんと読むものたちに生活を想像させる余地を与えてくれている。 というのがたむらしげるさんの2冊の絵本から感じた魅力でした。 今日は格闘技ドクター(初めて耳にする言葉です)である二重作拓也さんの言葉をご紹介します。ご本人のTwitterから。 「攻撃される」のはなぜでしょう? 「ダメな人だから」でしょうか?

          砂場の男の子と揺れるブランコ

          消毒液と甘い薬のにおい。

          『ロボットの国sos』。 小さい頃、耳鼻科の待ち時間に読んで絵本を手放せなくなってしまった記憶がある。 それと、『かたつむりタクシー』も大好きだった。あのサイズ感、世界観に胸をときめかせていた。 絵本作家、イラストレーターのたむらしげるさん。 たむらさんの絵本は、何がそんなによかったのだろう。 あの頃の私はもういないけれど、先に紹介した2冊にその魅力を探ってみる。 『ロボットの国sos』には家やビルなどの様々な建物が登場するが、そのどれもが魅力的。 「こんな建物が

          消毒液と甘い薬のにおい。

          高架下は寂寥の香り

          トースト。 私の朝ごはんは、トーストとコーヒー。気分によってメニューが追加されることもある。 昔から、パンは腹持ちが悪くて朝ごはんにはふさわしくないと思っていたし、日本人ならご飯に味噌汁だ、などと考えてもいた。しかし、ある日朝ごはんに食パンを買ったら、俄然朝が楽しみになってしまったのだ。 それ以来、私の朝ごはんの主食は絶対にトーストと決めている。 朝のしんとした空気に、香ばしい温かな空気がマーブル状に混ざってゆく。こんがり焼けたトーストにバターをひときれのばすと、バター

          高架下は寂寥の香り