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運動会は保護者のためじゃないねん。

前回は運動会は子供のためにやるべきという記事を書きました。

今回はそれの続きとなる「目線」についてのお話しです。


それは5年生の演目のときでした。
5年生の演目は競技ではなく学年全体による「踊り」でした。

なんの音楽なのかわかりませんでしたが
音楽に合わせ5年生が一生懸命練習した踊りを披露するのです。

踊りというよりミュージカルのような優雅で荘厳なものでした。

その演目が始まると共にそれまでポツポツと落ちていた雨粒が
大粒に変わり傘を差さないと凌げないほどの雨になったんです。

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続行か中断か、その判断を下すに非常に微妙な雨脚です。

親御さんからは悲観的な声が漏れ始めます。
「うわ~濡れるわ」

そんな声も意に介さず5年生たちは雨粒が見えないのか
全く気にするそぶりもなく堂々と練習の成果を披露しています。

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(画像はイメージです)

そしていよいよ本格的に雨が降り始めました。

ボクが驚いたのはそこからです。


5年生が誰一人も雨粒を払うことなく演技に集中しているんです。

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(画像はイメージです)それだけならまだしも
演技が中盤に差し掛かるころ地面に横ばいになり組体操のような隊形を組み始めました。

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それを見た親御さんからは
「うわ~汚れるやん」

「泥だらけになるやん」

と悲鳴の声が…

起き上がった生徒たち誰一人も服に着いた泥を払いません。
誰一人もです。

これには感動すら覚えました。

男の子も女の子も全員泥だらけになりながらも賢明に演技を続けます。


一方の親御さんは自分たちが濡れることばかり気になったり
子どもたちが汚れることばかりの声が飛び交っていました。

「お家帰ったらどうしよ」

「先にお風呂入れなあかんわ」

そんな声を聞いている内にいいかげん腹立ってきて

「お前ら静かにせえ、黙らんかい!」

…って心の中で思って口には出せませんでしたが
本当あんたらなんなん?って感じでした。


あの土砂降りの中、誰一人汚れるという事すら忘れ
懸命に踊りに集中している姿を見て心打たれんのかい!って。


一人くらいやる気のない生徒がいたり
雨のせいにして手を抜く生徒がいても何ら不思議でない状況で
誰一人そんな素振りを見せていない圧倒的な統率感。

事前に先生から「雨が降っても拭うなよ」と言われていたのかも知れませんがそれでもこの一糸乱れぬ踊りには脱帽でしかありません。

練習の成果を披露する。
仲間との一体感。

まさに「運動会」の真骨頂を見せてもらいました。


本当にこれを成し遂げた生徒には感激の一言です。

反対に競技とは関係ない悲鳴を上げている親御さんには
あんたらは運動会に何を期待してんのって感じでした。

濡れたって、泥だらけになったってええやん。
子どもたちの練習の成果、そこを見てあげようや
むしろ汚れない運動会ってなんやねん。

何しに来とんねん。


徒競走など雨によるケガの危険が高まる競技だったら即中止になっていたでしょう。

重大な事故につながるリスクを冒してまで続行する理由はありませんしね。

しかしこの雨の中の「踊り」の続行をした学校の判断は素晴らしいと感じました。
本当ギリギリの選択だったと思いますよ。

現に踊り終了と共に
タオルを持って駆け付けた先生方と
「中止します」のアナウンスがそれを物語っています。


「ウチの子をこんなビチャビチャに濡れるまで…」
予想できるクレームは覚悟の上で
保護者を喜ばせるための運動会ではなく
学習の一環としての在り方が見えた素晴らしい英断。

運動会は子供のためであると言える一コマでした。

ありがとうございます!お気持ちは寄付させていただきます。