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#243 ちまたのDX人材

フィンテックという言葉が流行して久しいけれど、金融業界もいよいよここまで来ちゃったか・・・。と少なくない衝撃を受けたのが先日のこちらの記事。

正社員の7割というのはそれにしても凄い。

言い換えればそれだけ本来の”金融業らしい仕事”が無くなっているということかもしれない。
世の中の一部はAIに仕事を奪われるのではないかと戦々恐々だけどそれどころじゃない。金融業界はすでに「IT」に奪われてしまいここまで来てしまった。


このニュースを見て個人的に2つの気付きがあった。少し整理しておこうと思う。



■DXって・・・。

ちなみに三井住友信託銀行が掲げるリスキリング目標がこれらしい。

まずレベル0にはさすがに驚いたがここに触れると話の軸がずれるのでスルーするとして、
どうやら上の表で言うレベル2がDX人材の定義らしい。

ちょ、ちょっと待ってくれ。DX人材ってそういうこと?

DX人材、すなわちデジタルトランスフォーメーション人材ってのは個人的にはもの凄く高貴な人種だと思っていて、
ITやデジタル機器を利用してあらゆる業務を可視化、数値化。そしてその数字を気付きに変えて日々の業務に落とし込み、仕事自体をデジタルにそしてシームレスに変革して経営貢献する。
この時、ITの力だけでなくAIや各種BIツールなども駆使して全く新しい世界観を経営や業態の中に創り出すことが出来る人材。

すなわち・・・スーパーマン。


三井住友信託銀行の掲げるレベル2って、(あくまでも私の感覚ですが)ちまたのIT会社にとってはごくごく一般的なレベルと言えるのではないだろうか。

つまりこれをDX人材と定義するほどこの言葉はすでにチープになっていて、バズワードまで堕ちたという事なのかもしれない。
そして、世の中のIT技術者はもっともっと胸を張っていいのではないだろうかと確信した。

つまり、
とあるIT会社の中堅社員が今すぐ三井住友信託銀行に入れば会社が30億かけて創り出したい人材のちょっと上ぐらいにはあっという間に行けるということだ。
さすがにそんなに簡単にはいかないだろうけど、その可能性を十分に秘めていることがこの記事から良く分かった。


それぐらい、業界によってはITリテラシーに対して出遅れている。
ジョブ型という雇用形態を奨める動きも追い風になって、人によっては働く場所を変えるだけで同じ仕事をしていても給料が増え、周りから羨望のまなざしで見られることも可能になるかもしれない。

過渡期はチャンス。
転職にはリスクが付いて回るけど、よくよくリサーチして動けば実は人生を変えることが出来るかも。

そんな可能性をこの記事からヒシヒシと感じた。



■リスキリング待ったなし

とはいえ、
銀行に入って金融商品を取り扱いたかった人、あるいはそればかりしてきた人にとっては基本的なITの知識だってハードルが高いのは事実かもしれない。

にもかかわらず実に7割の社員に対して、今のままじゃだめだからね!やってもらうよ!!と全く違う業務を突きつけた事実はやっぱり衝撃的と言わざるを得ない。


極端な話、
サッカーがしたくてサッカー選手になった人たちに対して、もうサッカーしてても儲からないから明日からプログラミングできるようになってね。というのと同じで、やはりこれは異常事態。

この例えだと自由契約にらならないだけマシに聞こえるけどやっぱり恐ろしい状況になったんだな、と。


このことを世間ではリスキリング(学びなおし)と呼ぶようになったけど、個人的にはこの言葉もまた堕ちたバズワードだなと思えてしょうがないわけで。。。
つまり定義があいまいで実体のない言葉だなぁ、と。

実態がないとはどういう事かと言うと、
例えば三井住友信託銀行の人たちが学びなおして本当にシステム導入の指揮が出来るようになるんだろうか。

多くの社会人が知っているように、知識をスキルにするには経験が必要。つまり知識だけあっても全く役に立たない。
6,500人が十分に経験を積んで立派な(ここで言う)DX人材になるのってやっぱり不可能じゃない?と思ったりするわけです。


つまり猫も杓子も簡単に「リスキリング」と言いすぎなのよ。実態はそんなに簡単じゃない。

それは単なる「ラーニング」の段階であってスキルじゃない。
つまり、学ばせてあげるからあとは自分たちで競争して何人か残って、というキラーメッセージにすら聞こえる。


リスキリングとはサバイバルレースの号砲なのだ。

そして敵は同僚でも先輩後輩でもない。この異常事態にポジティブに取り組めるかどうかとういうモチベーション。
つまり自分との戦いと言えよう。


心してかからねばすぐに他の業界から代わりの人材がやってきて、自分の領土を取られてしまう。

あなたの会社と、あなたの仕事は
大丈夫ですか?




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