カンテラ掲げていちご狩り【短編小説】
足元がとても暗いので気をつけてくださいね。
そう言われて咄嗟にわたしのつま先は身構える。
足に土が被っているのだろう、
ひんやりとしたかすかな重みを
甲のあたりに感じたけれど、
わたしには確かめようがなかった。
もうすっかり陽の落ちた畑は
群青の闇の冷たさに包まれて、
光るものといえば星あかりしかない。
遠くで犬が鳴き、
通り過ぎてきた柿の木から
鳥がばさばさと飛び立つ音がした。
何か話していないと人との距離が
どんどん開いていってしまうようだったので、
わたしはとにかくな