鈴懸ねいろ
noteに掲載してきた『わたしの空』を図鑑仕立てにしました。あなたの心に響く空をみつけられますように。
自選エッセイをいくつかまとめました。 時々入れ替えたり追加したりしています。
フードを題材にしたエッセイや小説を集めました。
ショートストーリー、ショートショート、短編小説などの創作作品を集めました。
【日本左利き協会】さんにて連載させていただいている ショートストーリーです
部屋に帰ってきて最初にすることは何?私は靴下を脱ぐこと。勢いよくぽんぽん脱ぎちらかすと、歩き疲れた魂が足先からにゅる〜っと解き放たれて自由になる。ひんやりした床をぴたぴた歩いて、台所で水を飲む。裸足と喉が初夏の訪れを祝っている。さっきまでいた外に目をやる。緑が煌めく。命がある。
覚えとけ目覚まし時計帰ったら分解の刑な。 ****** 小牧幸助さんの企画参加、第四弾です。 ありがとうございます。 * 朝寝坊は、いかんです。 いかんともしがたい。遺憾です。 寝坊したいのに起こしてくる目覚まし時計への 八つ当たり説と、 起きる時間を過ぎても鳴らなかった 目覚まし時計への報復説と。 ふた通りの解釈ができることに気づきました。 (後者の心づもりで書きましたが どちらでもいいなあと思いました) #新生活20字小説 #シロクマ文芸部
夕餉の始まりにおみそ汁をひとくち啜ると、 ああ、と声が漏れてしまうのだった。 今日も一日お疲れさま。 自分に対してそんな言葉をかけたくなる。 その日の締めくくりの食事には、 必ずおみそ汁がつく。 出汁と具材の旨みがお腹にじんわり沁みて、 身体のなかから温まると、 気持ちもゆるゆるとほぐれていくのだった。 おみそ汁は別名「おみおつけ」ともいう。 漢字で表すと【御御御付】だ。 室町時代の女房言葉として使われ始めたらしいが、「御」が三つもつく最上級の丁寧感にも納得するのだった。
雨でけぶった道の向こうに、黄色いレインコートを着た柴犬がいた。めちゃめちゃ雨に濡れている。心なしかうなだれている。いや、うなだれているのじゃなくて、水たまりの中に潜んでる今日の良いことを探していたのかもしれない。スンスン。ここにはないな。もう少し先に行ってみよう。スンスン。
桜風に吹かれていた。 街全体が淡いピンク色の霞に覆われていて、 道ゆく人の顔もぴかぴか輝いている。 みんなこの時を待っていたのだと分かる。 いつもはウォーキングおばさんしかいない公園も、今日ばかりは人で賑わっている。 青空の下で満開の桜と逢えるのは、 この日をおいて他にないだろう。 (明日からは雨予報なのだ) 冬の間の寂しい木々と同じものとは思えない。 しめし合わせたように、 辺りは花また花の連続だ。 みんな思い思いに カラフルなレジャーシートを敷いて、 お弁当を食べたり笑
緩めたネクタイ。半額弁当。宵の空に半月。 ****** 小牧幸助さんの企画に参加しています。 今月はあといくつ出せるでしょうか。 お弁当は半額。 お月様も半分。 たぶん半人前の主人公の男のひと。 新入社員でしょうか。 いろいろあるけれど、 明日はいい日になるといいね。 #新生活20字小説 #シロクマ文芸部
君の春のスカートは自前の即席花籠になる。 ****** 小牧幸助さんの企画に参加させていただきました (第2弾) ありがとうございます。 楽しいです! 桜の花びらが散るとき、 スカートで受け止めたりしましたよね。 (わたしだけ?) #新生活20字小説 #シロクマ文芸部
学校か公園か。左右逆の靴行き先で揉める。 ****** 小牧幸助さんの企画に 参加させていただきました。 子供の頃 左右逆に靴を履いてしまった記憶があります。 右足と左足のつま先が 同じ方向を目指してない。 行きたい場所(行くべき場所?)が それぞれ違ったりするのかもしれません。笑 靴は逆に履くと、すぐに転ぶんですよね。 なんでだろう。 #新生活20字小説 #シロクマ文芸部
とてもいいことを思いついて、 これは絶対に文章にしたい! と思っていた。 書くものもスマホも手元になかったので、 頭の中で呪文のように 何度もその言葉を繰り返していた。 忘れないように、刻み込んで。 ところがその後、 職場の同僚と少し話をしたら、 大事な言葉は何処かへ 飛んでいってしまったのだった。 頭の中というケージの扉を開けて、 言葉は白い鳩のように大空へ。 羽ばたいていってしまった言葉の鳥を 追いかけようにも、 どの方向へ飛んでいったのかもわからない。 『なんだっけ