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インドの電動二輪;River社にヤマハが出資へ

ヤマハがインドの電動二輪新興のRiver社のSeries-Bでリード投資家を務め出資したとのことです。
当初は金融投資の位置づけですが、今後の協議で戦略的提携も進める方針で、インドでの電動化に対して一歩踏み込んできました。
特に事業会社ながらリード投資家を務めるあたり、本気度がうかがえるところであります。

1;Riverによる調達

 インドの電動二輪新興;River社はヤマハ発動機がリードするSeries-Bで4000万ドルを調達してクローズしたと発表。今ラウンドでは既存投資家(Al Futtaim Automotive,Lowercarbon-Capital,Toyota Ventures,Trucks VCなど)も参画、総調達額は6800万ドルに
 ヤマハは"グループ環境計画2050"で掲げる目標を達成する手段として今回の出資を実行したとのこと。計画では[2050年までにScope3のCO2排出量を2010年比で90%削減する]目標を掲げる

 共同創業者のMani氏(CEO)は下記のように述べ、今後のヤマハとの連携に含みを持たせた
 -[ヤマハの資本参加を製造/販売での協業を含む戦略投資とみる向きもあるが最終合意に至ってるわけではない。]
 -[協力の方向性について明確な合意があるわけでなく、現時点では純粋な金融投資。ただ、協力可能性はある]
 
 一方のヤマハのGM;青田氏(新事業開発センター)は下記のようにRiverとの連携強化を強調
 -[Riverが短期間でデザイン/技術に重点を置いた進歩を達成したことに感銘を受けており、創業者の強いビジョンに参画できることに興奮している]

2;River社の成長戦略

 成長戦略では製造/販売を両輪で進め、[26/03に"100都市で拠点","月間9,000台の販売","年間売上2億ドル"を目指す]とする
(製造)
 バンガロール郊外に12万平方フィートの工場を保有しており、年間生産能力は10万台
(販売)
 販売数量について[24/03;月間300台][24/12;月間3,000台]にまで拡大させる計画を掲げる。目標達成に向け、最終的に売上の90%を扱う販売代理店NW確立に動いている
 販売に関しては代理店⊡直営双方で進める方針でCEOのMani氏は下記のように述べている
 -[ディーラー契約を進めており、インド国内10都市に代理店を置く計画]
 -[場所の戦略性/属性を勘案して直営店も増やす計画]

3;River社とは

 2021年にインドで創業した電動二輪者の開/生産を行う新興企業でインドの二輪をICEからEVにシフトさせることを狙う。創業者は2名でMani氏はシステム会社や石油会社での生産管理などの経験をもち、もう一人のVipin氏はHinda-Indiaでデザイン部門トップを務めた
 R&Dに注力しており、創業からこれまで(2年半)に2500万ドル以上を投じてきた。従業員450名のうち250名はR&D及び生産に関連する職種に従属、今後もR&Dに注力する方針
 Mani氏は[いくつかの製品を念頭に置いてR&Dを進めており、有用性を最優先に考えて優先順位付けしている]と語る。

 主力製品は大型バイクで[SUVバイク]と呼ぶIndieで実用性を強みとし、23/10の販売開始以降200台が納入。価格は1,700ドルで、特徴は[14インチのホイール][大きな収納スペース(ヘルメット2個+33ポンドの荷物)]の2つ
 競合であるOlaやAtherの同タイプのバイクは[12インチのホイール][収納スペース(ヘルメット1個)]といったスペック

4;その他

 インド政府統計によると国内販売EV総数の50%近くは二輪で、現在170万台以上のEVバイクが路上を走っている。政府は国内製造業振興/環境対策を目的として電動化推進を支援しており、電動二輪市場が急速に拡大中
 River社の評価額は不明ながらMani氏によると[2021年のシードラウンド以来、評価額は10倍になった]とのこと。加えて、今回ラウンドでの調達でバーンレートは24か月程度にまで上昇

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