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人的資本と採用ブランディング

皆さま、お久しぶりです。TalentX代表の鈴木です。
今回は、先日リリースした弊社採用ブランディングサービス"MyBrand(マイブランド)"について、そもそも採用ブランディングがなぜ必要なのか?というところからお話したいと思います。

2023年3月期から、有価証券報告書上で「人的資本情報の開示」が義務化されました。今各社の経営会議では、『人材をいかに獲得し、活かすか』というテーマがホットトピックになっていると感じています。

今回はやや固いテーマのブログとなりますが、特に人的資本の上段に位置する採用ブランディングについて、書き綴っていきたいと思います。


1.なぜ、いま採用ブランディングが求められるのか?

①    Z世代が社会進出し、専門人材の雇用流動性が高くなるに従い、よりリアルで透明性の高い情報の必要性が増している

②    人的資本開示が義務化されたことにより、上場企業4000社が多角的な組織情報を開示する必要性が増している

③    開示項目の多くは求職者が求める情報や価値観と一致しており、上場企業以外の会社もこれまで以上に、事業・文化・報酬ベネフィット・成長環境・働きやすさなどの採用ブランディングに関する多様な情報を正しく伝達する必要性が増している。

平たくいうと、日本社会全体の若者世代の価値観変化により採用ブランディングの必要性が高まり、そこに拍車をかけるように人的資本開示が義務化されたことで、急激に採用ブランディングのニーズが高まっているということになります。

私もTwitterにて上場企業の統合報告書をピックアップしていますが、各社これまで以上に人的資本×採用ブランディングの取り組みを加速させている実感があります。

採用ブランディングに関する重要性は、米国においては2013年から重要な位置づけとされてきていました。Recruiting is Marketingの潮流のなかで、『各企業が効率よく、コストを最適化しながらオーガニックで採用する”Talent Acquisition”』がトレンドとなり、そのなかの上流に位置する採用ブランディングの必要性が注目されています。

また米国においても2020年8月26日より、日本より一足先に証券取引監視委員会(SEC)が、上場企業の人的資本の開示に関するRegulation S-Kを改訂することを公表したことで、更に採用ブランディングのニーズが増しています。

日本社会も後を追うように、企業価値を向上させるための人材獲得力の重要性、それに紐づく採用ブランドの重要性が増していくでしょう。

採用ブランディングの効果


優秀な人材を惹きつける

言わずもがなですが、企業成長の重要な要素を占めるのは人的資本です。
特に、昨今GAFAMを中心とした企業価値上位を占めるIT通信企業では、9割が人・データ・知財などの無形資本というケースも珍しくなく、最高のタレントを獲得するためには、(定量化は難しいですが)採用ブランドが重要になりつつあります。
選ぶ側から選ばれる側に、企業と個人の関係性がフェアになればなるほど採用ブランドの重要度が高くなります。

企業文化と従業員エンゲージメントを強化する
正しい理解を伝え、企業ブランドを向上させる採用ブランディングは、単にポジティブなイメージを投影することを意味するのではなく、企業文化を強固にし、従業員エンゲージメント強化にも役立ちます。

採用にかかる時間と費用を節約
採用活動が長引けば長引くほど、時間と費用がかかります。お互いにミスマッチだった結果、その後すぐに採用活動を再開しなければならない場合は、さらに多くのコストが高くなります。採用ブランディングが適切に浸透できていれば、同じ価値観や考えを持つ人材を惹きつけることができ、違った価値観の人材を寄せ付けないことにもつながるため、ミスマッチのない採用を効率的に進めることに繋がります。

2.TalentXが考える採用ブランディングのあり方

これから求められる採用ブランドのあり方として、最も重要視したい部分が、企業の魅力のみをアピールするのではなく、『正しい理解を伝える』という考え方です。

デジタルネイティブ世代が社会進出するにつれ、個人が受け取る情報量が格段に増えている時代になっていることは言うまでもなく、より正しい理解を促すコミュニケーションを心掛けることで、入社後のリアリティショック(※)を防ぐことにもつながります。

※リアリティショックとは
入社前に仕事に対して抱いていた理想と入社後の現実とのギャップに戸惑う状態のこと。特に入社後の早期活躍率や離職率と相関がある。

RJP(Realistic Job Preview)の重要性

皆さまRJPという言葉はご存じでしょうか?
RJP(Realistic Job Preview)は「現実的な仕事情報の事前開示」と訳され、従来の採用へのアンチテーゼとして、1975年にアメリカの心理学者ジョン・ワナウス氏が提唱された考え方です。採用活動において、企業の良い部分のみを求職者に提示するのではなく、悪い部分も含めてありのままを開示することでミスマッチを防げるということで、学術的なエビデンスもある概念です。

<ジョン・ワナウス氏の実験による考察>
仕事内容のポジティブな内容中心のビデオを見た候補者のほうが、実際の仕事や組織についての期待値が高くなり、3か月後の離職率が高くなる傾向があった。

ここで一つの例を挙げさせてもらいます。
カナダのWaste Management社は、2,100万人以上の顧客を抱える北米最大のゴミ収集・廃棄物処理企業で、ごみ収集、廃棄物処理のスタッフをメインで積極採用をしています。
普通は3Kに該当する印象を抱かれることを懸念して、採用ブランドでは自社の魅力をアピールしがちですよね。一方で彼らがとったアプローチはその逆でした。
朝3時からスタートするドライバー職の典型的な1日(1シフト)に迫ったRJP動画をYoutubeで公開したことで、ミスマッチを極力減らし、加えて、その仕事のやりがいやドラマを包み隠さず伝えたことで、新たな潜在層の獲得にも成功したのです。
▼Waste Management社

では、どうやって自社の正しい理解を伝えていけばいいのか?ここでEVPのフレームワークが重要になります。

採用ブランディングを定義するEVPフレームワーク"WORCS"

新卒採用ブランディングのフレームワークは4P(①Philosophy(理念)、②Profession(仕事)、③People(人材)、④Privilege(特権・待遇))で整理することが有名ですが、これだけでは職種や志向性が多岐に渡る中途採用においては網羅できない部分があります。

特に中途採用については、エンジニア職とフロント職、バックオフィス職やミドルマーケ職で志向性が全く違います。新卒採用と比較して求職者も明確な比較軸を持っているからこそ、1toNの普遍的な魅力訴求ではなく、1to1の個別最適化された魅力訴求が必要になります。
また、単純な魅力アピール合戦ではなく、リアルで正しい理解を伝える重要性は上述の通りです。

そこで、弊社ではWORCSというフレームワークを考案し、従業員に提供できる価値を明文化したうえで、候補者に正しい理解を伝えるという採用ブランディングを推奨しています。

そもそもEVPとは、Employee Value Propositionの略であり、企業が従業員に提供できる価値を言語化する目的を指します。 従来の採用ブランディングとは異なり、『社内の従業員に対して提供しているリアルな価値』と、『社外の候補者に対して発信する価値』を一貫して設計していくことが重要になり、これにより昨今の透明性の高い市場環境で正しく自社理解を届けることができるようになります。

下記5つの要素で自社の従業員に提供できる価値を洗い出し、正しい理解を促すコミュニケーションを実施していくことが重要になります。

・働く上での環境を提示する「W」
・成長やキャリア開発の機会を提示する「O」
・報酬・ベネフィットを提示する「R」
・文化や風土、人を示す「C」
・自社の魅力を事業や戦略として伝える「S」

EVPフレームワーク"WORCS"

3.採用ブランディングを促進するSaaS"MyBrand"リリース

さて、ここまで採用ブランディングの必要性や考え方について書き綴ってきましたが、先日2024年1月17日より、人的資本経営促進に向けた採用ブランディングを促進するサービス「MyBrand(マイブランド)」をリリースしました。

「MyBrand」は、人的資本経営の促進に向け、候補者をファンにする採用ブランディングサービスです。自社の魅力を引き出すEVPフレームワーク「WORCS(ワークス)」を用いて、採用課題を抱える企業の採用オウンドメディアをノーコードで30秒で作成。作って終わりではなく、採用MA SaaS"MyTalent"と併用することで、その後のタレントプール、マーケティングまでを実現し、競合と戦わずに採用につなげることが可能です。

また、リファラル採用SaaS"MyReferと併用することで、社内へのインナーブランディングとリファラル採用、アウターブランディングを透明性をもって一気通貫で推進することができます。

当社で年始に実施した採用オウンドメディアに関する実態調査によると、採用オウンドメディアを実施している企業の96.9%は『運用してよかった』と答えており、特に"競合との差別化"、"自社の認知向上"、"エントリー数の増加"などの効果を実感したという回答が上位を占めました。また、94%は『もっと早くからやっておくべきだった』と回答しており、関心度の高さが伺える結果となりました。

4.TalentXでは仲間を絶賛大募集しています

本ブログの趣旨にも合致するので、さっそくMyBrandを活用して弊社の採用情報とオープン社内報を展開しようと思います。

▼採用LP(画像をクリックするとページに遷移します)

▼オープン社内報/採用ブログ(画像をクリックするとページに遷移します)


このようなイメージで、ノーコードでシンプルに作成ができます。

さて、弊社では絶賛仲間を募集中です。

新卒総合職、セールス職、マーケ職、バックオフィス、その他新規事業など幅広く募集をしていますが、直近は特に総合提案営業職に注力しています。

弊社は創業以来、自社の社員のつながりを活かしたリファラル採用サービス”MyRefer”、卒業社員のつながりを活かしたアルムナイ採用、候補者データを資産として蓄積してマーケティングする採用MAサービス”MyTalent”、企業の採用サイトをノーコードで作成し、採用ブランドを届ける採用ブランディングサービス”MyBrand”など、採用活動をマーケティング活動に変革し、新たな市場を創出するSaaS事業を展開してきました。
ありがたいことに、現在は日本の名だたる企業に導入いただき、今や国内企業価値ランキングTOP50の実に40%の企業に導入いただいています。

一方で、日本国内に従業員数1000名を超えるエンタープライズ企業は4000社存在しており、我々はまだその一部しかご支援できていない状況、つまり多くのホワイトスペースが存在している状況です。

我々が目指したいゴールから見ると、まだまだ発展途上の事業であり、自身のアイデアとソリューション力で、HR市場を塗り替えたい、という熱い想いのある方を積極募集しています。
市場の最前線で顧客に本質的な価値を提供する”総合提案営業職(採用マーケティング エバンジェリスト)を歓迎しております。

※その他職種も積極採用中です。

最後に

少しでもTalentXに興味を持っていただいた方、難易度の高いチャレンジをしたい、最速で成長したいと思っていただいた方は、ざっくばらんにお話しましょう。
お気軽にご参加ください。(カジュアルなDMも歓迎です)

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少し宣伝までに昨年出した書籍のリンクも張らせていただきます↓

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TalentX CEO 鈴木貴史

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