見出し画像

【ネタバレあり】ワンダーエッグ・プライオリティ 特別編(第13話) 感想

1 はじめに

 ネタバレありです。視聴予定の方は、先にアニメを観ることをお勧めします。

 また、この記事は、あくまで個人の「感想」であって、「正解」ではありません。こんな考え方や感じ方もあるのか、くらいに受け取って頂けると幸いです。

 それと、今回の感想は、前半の総集編ではなく、後半の新規パートについて書いています。

 なお、上記の写真は、ワンエグの聖地である千葉県印西市、牧の原公園の古墳型展望山で撮影したものです。この展望山は、OP、第1話、第12話と何度も作中で登場するので、おススメですよ。


2 小糸の死の真相

 最初からずっと不明だった小糸の死について、不明確な点も残しつつ、沢木先生によってついに語られました。長かった~。

 小糸は、沢木先生のことが好きでした。しかし、小糸が満足するように沢木先生から愛されなかったようです。だから、沢木先生にかまってほしくて自殺する素振りを見せました。けれど、誤って転落してしまったようです。とすると、自殺する意思は、無かったことになります。


3 沢木先生の女性関係(小糸・多恵)

 沢木先生と小糸の関係については、結局どうだったの?って感じですが、沢木先生本人の語りだったので、その辺りはボカされてしまいました。

 おそらく、沢木先生は、小糸と生徒以上恋人未満の関係にあったが、だんだん邪魔になった小糸を冷たく扱うようになった、のでしょうね。そして、それが原因で小糸が死んでしまったが、小糸の自殺を病む教え子(アイ)のお母さん(多恵)と恋人になったというわけです。改めて最悪なやつですね。

 ただ、生き返った小糸も、沢木先生のことを好きです。小糸は男を見る目ないな~。

 また、沢木先生と多恵の関係についても、ハッキリとは分かりません。ただ、おそらく、小糸の死が無くなることで、アイの不登校も無くなる可能性が出てきます。とすると、沢木先生が頻繁に家庭訪問することも無くなるので、多恵との恋人関係も無かったことになると思われます。


4 「生き返る」とは(修正版)

 ワンエグの世界での「生き返る」について、第10話の感想(5「生き返る」とは)で、「①同じ個体として、②同じ世界線の、③現実世界で、④直後に、生き返ることがない」と書きました。

 10話の段階と異なり、実際に、小糸、ちえみ、ハルカは、アイたちの世界に現れたので、「生き返る」について、再度検討します。

 実際にアイたちの世界に、小糸たちは現れているので、上記②③④は満たしたことになります。では、①同じ個体かどうかです。

 通常、アニメやゲームで生き返るといったら、同じ個体として生き返ります。ドラゴンボールで生き返るような場合ですね。しかし、アイとリカの会話から、同じ個体として生き返ることは、完全に否定されています。


 そのため、ワンエグで生き返った人間とは、同じ個体ではなく、よく似た別の個体をいいます。

 この点、アイとリカの会話で、パラレルワールドについて話した後に「生き返る」話をしていることからも、ワンエグでの「生き返る」とは、別の世界線(パラレルワールド)の人物を転移させることを言います。つまり、死んだ人が生き返ったわけではありません。寿が転移してきたことが、寿が「生き返る」に当たります。

 この場合、転移先から当該人物がいなくなるはずですが、その辺りについては不明です。


5 「生き返る」者

 生き返った小糸は、アイと友達にならなかった世界線から移転してきました。小糸にとって、アイは、単なるクラスメイトであり、大好きな沢木先生の絵のモデルを務める邪魔者です。

 つぎに、生き返ったちえみは、リカのファンにならなかった世界線から移転してきました。相変わらずアイドルオタクで、まこりんのファンです。生き返ったちえみに早速たかるリカも、相変わらずです(笑)。ちえみは、リカについて、そもそも知らないようです。

 さいごに、生き返ったハルカは、桃恵のことを好きにならなかった世界線から移転してきました。先輩から告白されて付き合っているようですが、告白をOKした理由(ラブレター)を桃恵が知っているところから、友人関係であるのは変わらないようです。そのため、桃恵は、別の世界線から移転したこと(別人であること)に気づいていないと思われます。

 このように、「生き返る」者は、当該自殺が起こらない世界線から移転してきたと思われます。

 ただ、当該自殺が起こらないようになる代わりに、別人である感覚が強くなるので、結局、エッグでの生き返りは報われないですね。


6 桃恵とリカのその後

 今回、唯一の日常パート、アイ・リカ・桃恵のカラオケは、楽しかった♪アイが『Life is サイダー』を歌っていたけど、中の人と違って音痴(笑)。その場にねいるがいないことだけが悔やまれます。ねいるはカラオケで歌うのかな?全く想像できないけど(笑)。


 桃恵は、きっぱりエッグから手を引きます。第6話で桃恵は「こういう悪夢を見たことがある。酷い結末だったよ」と言っていましたが、桃恵にとって、ハルカは元通り生き返っているので、それほど酷い結末ではないのかな?パニックのことを除けば。栄養士の夢は叶うのでしょうか?その頃にはきっと、から揚げが食べられるようになっているはず...


 一方、リカは、ちえみが別人であることも知っているし、万年を生き返らせることも、仇を討つこともできないことも分かっています。正直、4人の中で一番救いがないです。

 唯一の救いは、エッグによる出会いや戦いがリカを強くしたことです。でも、アイたちとも自然消滅しているから、また友達いなくなっちゃたんだよなー。なお、ねいるに対して「機械」「元々いなかった」という発言は、リカの性格を考えれば、当然、本意ではないです。ねいるとラーメン食べる日々が戻って欲しいなぁ


7 ねいるの正体(修正版)

 ねいるの正体についても、第9話の感想(3「ねいるの招待と正体」)で以前書きました。

 しかし、人工授精によって生まれたというのは、ねいるの嘘で、本当は寿によって作られたAIでした!!な、なんだって~!?

 AIであることを踏まえると、第9話で、将来の夢を語りたがらない、人工授精であることの説明を聞く田辺秘書の表情など、後から納得しました。

 きっと、人工授精で生まれたのはアイルの方でしょうね。


8 寿がねいるを作った理由とは

 ではなぜ寿はねいるを作ったのでしょう?

 思うに、第9話で、ねいるが自身のことを「根っからの科学者ではないと言っていることから、寿の研究を補佐するために生まれたわけではなさそうです。

 寿の友人になるためという理由は、完全に否定できませんが、アイルに似せる必要性を説明できません。結果的に友人になったのではないでしょうか。

 思うに、アイルに似せて作ったのは、アイルの代役としての意味合いが強く、会社経営の補佐が目的だったのではないでしょうか。ただ、社長(アイル)より優秀な副社長(ねいる)になってしまいましたが。

 だから、アイルが「Blue Corp」の本来の社長で、ねいるがその代役(副社長)です。その証拠に、第2話のねいるの名刺が「VICE PRESIDENT」(副社長)となっています。


9 姉としてのねいる

 ねいるは14歳の設定なので、アイルの年齢は13歳以下でしょう。

 では、なぜアイルを基に作られたにもかかわらず、ねいるが姉で、アイルが妹なのでしょうか?姉妹の関係が逆ではないでしょうか?

 これも確証はありませんが、上記のアイルの経営補佐という目的は副目的であり、アイルを守ることが主目的だからではないでしょうか。この目的を達成するには、ねいるが妹より、ねいるを姉として妹のアイルを守るという形を選んだと考えます。

 なお、アイルを守るなら、姉ではなく親にすればいいのでは?という疑問が生まれると思います。この点、アイルが人口受精によって生まれたとすると、大人への不信感があったのかもしれません。だから、ねいるは、親ではなく姉となったのではないでしょうか?我ながら苦しいけど(笑)。


10 アイルとの確執と助ける理由

 アイルとの過去も、小糸の死の真相と同様、ずっと謎に包まれていましたが、ようやく判明しました。

 ねいるは、アイルよりも優秀でした。だから、アイルは、ねいるに嫉妬したようです。自分とそっくりな人間が、自分より優秀だったら立場が無くなりますからね。双子の場合とよく似ています。なお、私の父は双子ですが、仲のいいときと悪いときがはっきりと分かれます。いい歳してよくケンカしていますね(笑)。

 ねいるも論理的な考えをそのまま伝えてしまうので、正論を言ってさらに関係が悪化したのでしょう。第7話で、ねいるは、リカを怒らせた際、そのことを悩んでいました。

 アイルを助ける理由については、第5話で「忘れようとすると、呪いのように傷跡が疼く」「だから行く。他に理由はない。自分のため」と言っています。第13話でも同様の趣旨を述べています。

 ねいるとアイルの関係は最悪でしたが、それでも助けようと思ったのは、上記の通り、アイルを守るためというねいるの存在意義に従いアイルを助けたということになります。ねいるにとって、この存在意義(初期設定)は、「呪い」のようなものです。


11 寿の正体

 寿の正体について、正直、①AIであるという説と、②人工授精により生まれた人であるという説、いずれも成り立ちます。

 ねいるもAIでありながら怪我をしたり、入院しているので、寿が生命維持装置を付けていることだけで、①AI説を否定するにはやや弱いと考えます。

 第9話の「神の子じゃない」「わたしたちとは違う」というセリフについて、ねいると寿を同列に扱っているから①の説と解釈する場合、他方、人工授精も広い意味で人工物ということで②の説と解釈する場合に分かれると思います。

 同じく、第9話「人と関りを持てた」というセリフについて、寿は人でないから①の説と解釈する場合、他方、生みの親だから寿と関わるのは当然であり、ここでいう人とは寿を除くから②の説と解釈する場合に分かれます。

 結局、決め手がないのですが、ワンエグの世界ではAIの人間は特異な存在なので(でなければフリルもねいるも悩まない)、AIである確証がない以上、寿は人と解釈する方が自然だと考えます。


12 電話に出ないねいるとアイ

 ねいるとアイは、お互いの電話に出ないシーンがありました(ねいるは2度出ない)。いずれも、ねいるが人でないことから生まれた溝が原因です。この溝を作ったのはフリルですが。

 ねいるが2度も電話に出てくれない理由が分からなかったので、アイは、スマホを叩きつけるだけでなく、タバコでストレス発散します(考え方が昭和w)。この時は、ねいるを悪く思っていないので、「自分へ」当たります。

 しかし、ねいるの夢を見たことでねいるが電話に出ない理由が分かったので、ねいるからの電話に対し、出ないだけじゃ気持ちが収まらず、スマホを投げ捨てます。これは「ねいるへ」の当てつけです。ただ、直後に激しく後悔することになり、泣きながら多恵に慰められるところがアイらしいですね。


13 ねいるの居場所と苦悩

 ねいるは、人になるため、フリルと同行することを決めます。アイのスマホにねいるのマッチョぷりが残っているので、世界線の移転はしていません。

 もともと、ねいるは、アイルの代役(副社長)および姉として生まれ、生みの親である寿と友達になりました。その後、エッグを通して、アイ・リカ・桃恵という友達ができます。

 しかし、寿は死にました。また、アイルが関係を拒んでいる以上、代役の役目も無くなります。リカと桃恵がエッグと関わらなくなることで、彼女たちとも疎遠になります。

 残された唯一の居場所であるアイの親友という居場所についても、「人でない」ことで徐々に悩んでいきます。そこをフリルに突かれました。

 第13話を観た後、振り返ると、第7話でリカが抱える親への悩みを考えることが出来なかったとき、第9話で将来の夢を語るときなど、ねいるが人でないことを悩んでいたことが窺えるシーンがあることに気づきます。

 アイはそのうち大人になりますが、ねいるはずっとこのままです。第9話でも「私は多分ずっとこのままだと思う」と言っていました。嫌でも違いが生まれます。以前、エッグの少女の中に、若いままでいたいため自殺した「葵」がいました(第5話)。ねいるは、葵とは逆に、老いないことが悩みです。もちろん、人であるが故に生じる考え方や感じ方を抱けないのでは?という悩みもあります。

 人である私たちが「人でないという悩み」を理解するのは、簡単なことではありません。



14 青沼ねいるの成長

 しかし、第2話でアイと友達になって以来、ねいるは、髪形も変わったし、中身も初登場時と比べてトゲが無くなりました。寿も、第9話で「柔らかくなった」と言っていました。だから、たとえ老いることは無かったとしても、外面も内面も、ねいるはちゃんと変化しています。


(トゲがあった初登場時のねいる)

動画再生 - Google Chrome 2021_07_03 19_07_27

【引用】ⓒWEP PROJECT
    dアニメストア
    『ワンダーエッグ・プライオリティ』第2話「友達の条件」

画像2

【撮影場所】千葉県印西市 北総花の丘公園 花と緑の文化館の横


(親友であるアイの話を聞くねいる)

動画再生 - Google Chrome 2021_07_03 19_11_03

【引用】ⓒWEP PROJECT
    dアニメストア
    『ワンダーエッグ・プライオリティ』第12話「負けざる戦士」

画像4

【撮影場所】千葉県印西市 牧の原公園 古墳型展望山


 この変化はねいるの成長です。そして、成長したのは、ねいるが人間であるからこそできたのです。ねいるが人間であるからこそ、アイと親友なれたし、今後も親友でいられるはずです。

 ねいるには、「あなたは人と縁を持てた。それはとても素敵なこと。大事にしなきゃ」という寿の言葉(第9話)をもう一度思い出して欲しいです。

 なお、私がいう「人」と「人間」の違いについては、第11話の感想(8「人間とは」)をご覧ください。


15 フリルの目的

 フリルは、AIが人になれないことは分かっています。第13話の冒頭で「絶対に叶わない」と言っていますからね。だからこそ、フリル自身と同じく、「人になりたいAI」であるねいるに興味を持ったのでしょう。フリルは、ねいるを人にしてあげるとそそのかします。

 フリルがねいるを殺さないのは、ねいるが「人になりたいAI」だからです。フリルが憎んでいるのは、14才くらいの人(女の子)ですからね。理由はもちろん、絶対に叶わないフリルの理想が14才の女の子だからです。

 ちなみに、第12話感想(10「キララ」)において、キララが眼を欲しがったのは、アイの強さの根源たるオッドアイが「生」の象徴であり、それを奪うことがタナトスたる本分だからとしました。でも、もしかしたら、人への憧れから、人体への興味という面も含まれていたかもしれません。



16 コンプレックス

 フリルは、「人でない」から、アカと裏アカの娘でいられなくなったと思っています。

 ねいるは、「人でない」から、アイと親友でいられなくなると思っています。

 アイは、「オッドアイ」だから、イジメられたと思っています。

 リカは、「父親がいない」から、親から愛されていないと思っています。

 桃恵は、「男の子のような見た目」だから、女の子として扱ってもらえないと思っています。

 「イジメ」「自殺」「人間」「死」など多くのテーマがありましたが、最終的に、ワンエグの一貫したテーマは、「コンプレックス」だと考えます。

 誰もがコンプレックスを持っている、あるいは持っていた経験があるのではないでしょうか。大抵の場合、本人が過剰に意識していることが多いように感じます。周りの人は全然気にしていない。むしろ、個性として受け入れられていることもあります。

 リカは、第7話で万年から、時には「子供が母親を守る」ことを教わり、母親の愛を少し理解できました。

 桃恵は、第10話で薫(男の子)から、桃恵が「素敵な女の子」であると言われました。

 アイは、沢木先生から、「アイのオッドアイは美しい」と言われました。その後、その沢木先生が好きであることに気づき、自分のことも好きになれました。

 結局のところ、本人が自分の魅力に気づくしかありません。でも、そのきっかけを与える存在がいると心強いです。ねいるにとっては、それは以前、向日葵と形容されたことがある親友のアイ以外いません。

 以前も書きましたが、向日葵の花言葉には、「あなたは素晴らしい」があります。アイがねいるに、ねいるの魅力を直接伝えなければいけません。それが第13話サブタイの「私のプライオリティ」でしょう。


17 おわりに

 皆さんは、ワンエグ振り返ってどうでしたか?

 結局、田辺秘書の目的、生き返る条件の詳細など沢山の謎があります。しかも、フリルとの決着、ねいるの奪還も残しています。内容を削らないのであれば、やはり話数が足りなかったかなと思います。

 しかし、第13話だけで、小糸の死、ねいるとアイルの過去、生き返る効果、日常パート(ねいるがいなかったけど)と大盛でした。ねいるの「わがまま♪」も可愛かったし。

 全体的には、毎回、考えさせられるテーマと謎があり、迫力あるバトル、魅力的なキャラ、美しい音楽、これらが折り重なり素敵な作品でした。


 私のまとめた感想について、初めてのアニメの感想まとめだったので、至らない点が多々あったかと思います。でも、こうして最終話までnoteで公開できたことが楽しかったです。

 スタッフ・キャストの皆様、本当にお疲れ様でした!素敵な作品を創っていただきありがとうございます。

 最後まで拙文にお付き合いいただいた皆様、ありがとうございました。本当に感謝です!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?