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植物の写真

 彼女は何種類もの植物の写真をひとつずつ額に入れて、長押に丁寧に飾っていた。彼女の夫の遺影は、ひなげしと沈丁花のあいだに飾られていたが、「あのひとが好きなのよ」と言って指差したのは、人ではなく沈丁花の方だった。結局のところ彼女のご先祖様はいずれかの植物なのだとでも言いたげな様子だった。

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