すずき春

はじめまして、すずき春です。 短歌と言葉を届けています。

すずき春

はじめまして、すずき春です。 短歌と言葉を届けています。

最近の記事

もしもそうなら、

神命よ銀河を駆ける星たちの烈火宿して我が歌となれ (SHINMEI YO GINGA WO KAKERU HOSHITACHI NO REKKA YADOSHITE WAGA UTA TO NARE) 人に使命があるのなら、使命を生きることを天命と 呼ぶのなら、天の神が定めたその命に気付き 全うしたいと思う。 それが自分にとって言葉で表現することなら、と願う。 もしもそうなら、宇宙に存在を許された星たちのように 稀有で美しく特別でありたい。 星の終わりと始まりの

    • 今夜は十六夜、

      奥山に紅葉踏み分け人も泣く十六夜の月厭世の秋 (OKUYAMA NI MOMIJI HUMIWAKE HITO MO NAKU IZAYOI NO TSUKI ENSEI NO AKI) わが身ひとつの秋にはあらねど、やっぱり秋は物悲しい 感じがする。 高い空に澄んだ空気。月は日によっても気分によっても 遠く近く、感傷はいつも身近にある。 分け入る山も鹿の鳴き声も日常にはないけれど、 涼しい秋の風と目に入る深い色たちが言葉に しづらい淋しさを連れて来る。 昨日

      • 溶け合うくらい、

        触れ合いて境界線の消えしとき心も溶けて乙女になりぬ (HUREAITE KYOUKAISEN NO KIESHI TOKI KOKORO MO TOKETE OTOME NI NARINU) 嘘。 境界線なんて消えはしない。 ただ消えてほしいとこの心が願うだけ。 溶け合うくらい、ひとつになりたい。 そんなとりとめのないことを考える程には この恋に集中してしまっている。 でも盲目ではない。ちゃんと自分を保てている。 ただ、熱い体温と柔らかな産毛と

        • ああー、今日のいろいろが

          シャワーから放たれる雨清らかに心と体で受け止めている (SHAWA- KARA HANATARERU AME KIYORAKA NI KOKORO TO KARADA DE UKETOMETEIRU) 今日も1日、いろいろありました。 水温を41度に設定してシャワーの水栓を捻り、 お湯が出るのをしばし待つ。 やがて水がお湯に変わり、シャワーヘッドを頭上に 設置して放水。 規則正しい放物線で降りてくる温かな雫は優しい 滝行みたいで、心身が洗われてゆくように感じる

        もしもそうなら、

          漢字、平仮名、片仮名。

          美しき言葉と遊ぶその時に日本に住まう幸せぞ知る (UTSUKUSHIKI KOTOBA TO ASOBU SONO TOKI NI NIHON NI SUMAU SHIAWASE ZO SHIRU) 日本語は本当に美しい。そして特殊な霊力がある。 漢字、平仮名、片仮名。 ひとつの言語で3つの使い分けがあって、 そのどれもに異なる趣きがある。 漢字はどことなく高貴で聡明な印象で、 平仮名は形も丸くて温和、片仮名はシャープで スマートなイメージだ。 美し

          漢字、平仮名、片仮名。

          そう、ぜんぶ特別。

          特別とそんな風には思えないだけど特別きっと特別 (TOKUBETSU TO SONNA HUU NIHA OMOENAI DAKEDO TOKUBETSU KITTO TOKUBETSU) 今日も天気がよくて、電車が動いていて、 この体はきちんと機能している。 要するに平常運転。 自分に関するすべての日常も、身の回りにあるアイテムも、当たり前のこと過ぎてそのひとつひとつに心が向くことは 少ない。 けれど本当は当たり前のことはなくて、 多分どれもがぜんぶ可能性

          そう、ぜんぶ特別。

          終わるために始まり、

          連綿と続く命の尊さに想いを馳せるホモサピエンス (RENMEN TO TSUZUKU INOCHI NO TOUTOSA NI OMOI WO HASERU HOMOSAPIENSU) よく考えてみると、一度も途切れることなく 続いているという事実に少し驚く。 人間という命の集合体。 宇宙や地球が積み重ねてきた億単位の時間に比べると 短いけれど、おおよそ700万年という膨大な時間を 人間は生き延びて来た。 昆虫や植物・動物など他の生き物と明らかに違う種類だと

          終わるために始まり、

          夜の眠りは、

          夜になり一度死ぬ身も明日には生まれ変わって輪廻転生 (YORU NI NARI ICHIDO SHINU MI MO ASHITA NIWA UMAREKAWATTE RINNETENSHOU) 夜の眠りは、ルーティンみたいに日々繰り返される ささやかなこの世界とのお別れだと思う。 棺の中でもそうなるみたいに体をベッドに横たえ、 永遠ではなくしばらくの眠りのために目を閉じる。 脳の働きも他の体の機能も静止したり穏やかになったり して、新しい目覚めと朝を待つ。

          夜の眠りは、

          美しい外見に美しい心が宿るのか、

          恋人の数だけ普通があると言う理説く君うつくしき人 (KOIBITO NO KAZU DAKE HUTSUU GA ARU TO IU KOTOWARI TOKU KIMI UTSUKUSHIKI HITO) ルールとかマナーとか、調和して生きてゆくために 必要な決まり事以外は、「普通」は人の数だけある。 80億人もいればすり合わせは大変なものだけど、 最小不幸でも最大幸福でもなく生を受けたすべての命が 自分の普通を自然体で生きられる世界を、そろそろ 本気で目指してもよい

          美しい外見に美しい心が宿るのか、

          そして、星をぱくり。

          金平糖夜より降りし星の菓子輝くひかり我が身に宿す (KONPEITOU YORU YORI HURISHI HOSHI NO KASHI KAGAYAKU HIKARI WAGA MI NI YADOSU) お土産にいただいた金平糖は、ピンク、空色、黄色、白。 柔らかなとげとげに覆われた小さな丸は、エネルギーを 放出している最中の星みたいだ。 遠い夜の空から流星群みたいに落ちてきて、透明な袋の中にお行儀よく納まっている。 かわいい。見ているだけで、ちょっと楽

          そして、星をぱくり。

          この心が、晶子のように

          情熱の焔纏ひし言の葉を連ねたる歌我も詠みたし (JOUNETSU NO HOMURA MATOISHI KOTONOHA WO TSURANETARU UTA WARE MO YOMITASHI) あけすけなようでいて上品、そして彼岸花みたいに 天を向く覚悟と情熱の色。 燃え続ける炎の赤を集めて束ねて言葉にしたような 想いの熱量に気圧される。 歌にしたいと思えるほどの情熱と体験と感覚を たくさん持っていた。 恋がもたらす苦しいくらいの高揚も、 とりとめのない不

          この心が、晶子のように

          安全で簡単で、

          眼鏡拭く今日も私と世界とを繋いでくれたこのアイテムを (MEGANE HUKU KYOU MO WATASHI TO SEKAI TO WO TSUNAIDE KURETA KONO AITEMU WO) 瞳は世界と自分とを最初に繋ぐもの。 世界の形と有り様を認識する器官。 眼鏡は、世界をよく見るための補助アイテムだ。 もしも眼鏡がなかったら、自分を取り巻く世界は その輪郭と色彩を曖昧にして途端に危険なものに なるだろう。 現代は本当に何でも便利。 コン

          安全で簡単で、

          どうすれば晴れ渡るのかと思うけれど、

          恋という気持ちの底にあるものはエゴとエロスと理想と不安 (KOI TO IU KIMOCHI NO SOKO NI ARU MONO HA EGO TO EROSU TO RISOU TO HUAN) 思い通りにしたい。触れたい。好きになってほしい。 でもそうじゃない。 世界と日々は、ただそれだけで回っている。 雪崩のように押し寄せる、大量の砂みたいな不毛な 気持ちを持て余す。 どうすれば晴れ渡るのかと思うけれど、それがわかって いれば苦しさなんてないのだ。

          どうすれば晴れ渡るのかと思うけれど、

          一人暮らしのおうちで、

          小鍋にて作るお粥を愛でる時一人暮らしの幸せを食む (KONABE NITE TSUKURU OKAYU WO MEDERU TOKI HITORIGURASHI NO SHIAWASE WO HAMU) 中川政七商店で買った小さなぽれ鍋。 丸くて小さくてかわいい乳白色。 全部が丸で、角がひとつもない。 生米からさっそくお粥を作ってみる。 お米を計量して多めに水を入れ、弱火にかける。 蓋はない。焦げ付かないよう、レンゲで混ぜてしばし放置。 また混ぜ

          一人暮らしのおうちで、

          つるりとした滑らかな質感、

          新幹線その誇らしき流線形鉄男と共に思わず見とれる (SHINKANSEN SONO HOKORASHIKI RYUUSENKEI TETSUO TO TOMO NI OMOWAZU MITORERU) 駅のホームに堂々と滑り込んで来る新幹線は とてもかっこいい。 ゆっくりと所定の位置で止まって、 その姿を線路に横たえる。 後方まで伸びるボディは龍の長い胴体みたいだ。 つるりとした滑らかな質感、美しい流線型、 日本の叡智と技術が詰め込まれた夢の速さで走る乗り物

          つるりとした滑らかな質感、

          一人きりだけど淋しくなくて、

          柔らかく我を隔てる独房に安らぐ心地雨傘のなか (YAWARAKAKU WARE WO HEDATERU DOKUBOU NI YASURAGU KOKOCHI AMAGASA NO NAKA) 雨傘が守ってくれるのは、雨に濡れることだけじゃない。 雨と自分を隔てるように、この心身を世界とも 優しく隔ててくれる。 傘の内側は安全だ。 一人きりだけど淋しくなくて、安心できる独房みたい。 ささやかな独房の中、きれいな雨を見ながら 道を行くのは楽しい。 すと

          一人きりだけど淋しくなくて、