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相続が争族になった日 父の自筆証書遺言 相続発生

子どもは夫婦のかすがいと、よく聞くけれど、私にとっては父がかすがいなのでした。何の? 親子の。漢字で正確に書くと、それは「母娘の」。

大切だった父亡き今、私は母と絶縁しています。それも心からせいせいしているのです。もう会わなくても良いと思っているし、あちらもそうなのでしょう、父の法事もあったであろうはずなのに音沙汰がありません。

もしかしたら母の死に顔を見ても、まったく心が動かないかもしれない。こんな母娘はおかしいのかもしれないけれど、私にとっては真実なのだから仕方がありません。

大好きだった父が逝ってしまいました。

病に倒れてからわずか二週間の間に病院を三か所移り、あれよあれよという間に亡くなったのです。しかし父の天晴なところは、その間にきちんと遺言を残したことです。妻と子ども三人とそれぞれの孫全員を集め、その目の前で自筆証書遺言を書き上げたのでした。

私は終活講師としての活動も行っていたので、遺言書のお作法を心得ていました。法的に有効にするための書き方と方法があります。

本来であれば公正証書遺言としたいところでしたが、それには時間が足りませんでした。公証人を手配し病室に来てもらうまでの間に、いつ亡くなってしまってもおかしくない状態だったのです。

そこで自筆証書遺言を残してもらうことにしたのでした。

父は、生前から自分の資産についてを深く考えていて、たびたび相談を受けていました。このために、私は終活を学び始めたという経緯がありました。

そんな父なので自分の病状が悪くなる一方だと悟ってからは、病院に見舞いに行くたびに、相続についてを私と妹とに相談を持ち掛けていました。

父は、母が全てを相続することに納得していなかったのです。

「法定相続としては、妻が二分の一、残りを子どもたちで分けることになるよ。だから我が家なら、おかあさんが半分で私たち子どもは三人だからそれぞれ六分の一ずつということになるね」

そう説明すると

「それは多すぎるな。おかあさんは俺の夢をつぶした。好きなことばっかりして生きて来た。四人で平等に分けるくらいでちょうどいい」

私もずっと、ないがしろにされてきた父を見てきていたので、気持ちはよくわかりました。

「そうなると、それは遺言として残さないといけないよ。それも、法的に有効なものでないと、ひっくり返されてしまうよ」

「わかった、遺言書を用意してくれ。方法は任せる」

こうして用意した遺言書でした。

それなのに母は、違法を繰り返してきた悪徳行政書士と手を組んで、遺言執行人である私を悪者に仕立てあげ、自分の思い通りにしてしまったのでした。

                             続きます。


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