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「バービー人形」に馴染みがないのがねぇ:映画評「バービー」

全世界大ヒット中…と言うこともあって、観てきました。
8月11日公開だから2週目…で、近くのシネコンでは一日3回(吹替版含む)の上映回数。
寂しいね。
「オッペンハイマー」とのキノコ雲コラボ騒動の影響か、フェミニズム映画への反発か…
は分からないですが、そもそも日本の場合「バービー人形」に馴染みがそこまでないってのがありますからね。

バービーランドに住むバービーは、パワフル&ハッピーなバービーたちと陽気なケンたちと楽しい毎日を過ごしている。
だがある日、バービーは「死」について考えるようになり、そのことで彼女自身にも変化(劣化)が訪れるようになる。
変わり者のバービーにアドバイスを求めたバービーは、車に忍んでいたケンと一緒に人間世界に向かうことにする…



でまあ、人間世界で「現実」にブチ当たるわけです。
「女性をエンパワーして、世の中を変えてきた」と信じていたのに、人間社会は「男社会」のままで、自分たちも思っていたような存在ではないことに気づくバービー。
存在価値が「バービー」依存の世界ではなく、「男中心の社会」があるのだと人間社会から教えられるケン。

人間社会での「気づき」から、物語は「バービーランド」でのバービーvsケンの戦いに移ります。



ここら辺、確かにまあ「フェミニズム」的な展開。
…なんだけど、この映画が「フェミニズム映画」なのは、観る前から分かってるよね。
それを「フェミニズム」を理由に批判してもねぇ。
アクション映画を観て、「アクションがある」って怒ったり、恋愛映画で恋愛が描かれることを批判したって意味ないのと同じでしょ。
途中、確かに「フェミニズム」的主張が強く出るところがあるんですが、その主張自体は「よく言われてること」であって、その扱いも「ツール」的。
ここを持って「フェミニズム映画」とか言われても、そりゃ浅すぎでしょう。
(その主張が現実において実現しているかどうか…はまた別。
個人的には「母性」の扱い方にはチョット引っかかるものを感じたかな?)



むしろ物語的には「バービー」よりも「ケン」の方にドラマ性はあるように感じました。
そりゃまあ「バービー」の世界では「ケン」は添えもんだもんね。
監督・脚本のグレタ・ガーウィクによると、「ケン」はライアン・ゴズリングの当て書きだったようですが、「なるほどね」って感じ。
いや、とにかくライアン・ゴズリングが攫って行きますからw。



個人的に面白かったのはバービー人形を作っているマテル社のチャレンジングなところ。
この映画を作っちゃうこと自体チャレンジングなんですが、そもそも作ってるバービー人形のラインナップが…w。
人種・体型・職業で色々なの作ってるのは知ってましたが、廃盤シリーズの素っ頓狂さはかなり笑えました。
まあこう言うところとリアルに知ってると、この映画はもっと楽しめるんだろうなぁ、と。
逆に言えば、そこらへんがピンとこない日本じゃ…になるのかもしれません。



この夏、イギリスにホームステイした娘は、イギリスの家庭での男女の役割の平等が日本より進んでることに驚いていました。
洗濯やお弁当の用意は父親がどこの家庭でも結構やってるらしいんですよね(共働きが多いってのもあります)。
日本は多分そこまでは行ってない。
バービーへの馴染みに加えて、ここら辺のベースの差もあるかも。



何はともあれ、僕個人はゲラゲラ、ニヤニヤとこの映画を楽しませてもらいました。
特に「フェミニズム」が気に触ることもなし。
でもまあ、「万人におすすめ」でもないかも。
ジェンダーに関する考え方は人それぞれですし。
個人的には、もうちょい日本での興行成績がよくてもいいようには思いはするんですけどね。


#映画感想文
#バービー
#マーゴットロビー
#ライアンゴズリング

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