[掌編小説]キャンディメイカー
ぼくは キャンディメイカー
プロの あめしょくにんさ
ドロップ タフィ ヌガーに バタースカッチ
マシュマロ キャラメルも おとくいさ
キラキラかんぺきに しあがった
ぼくの かわいい キャンディたち
セロファンまいて リボンをむすんで
さあ おみせに ならんでおくれ
うりこのレディに ウインクをきめたら
さあ かいてんだ
きょうも せいきょう
せんきゃくばんらい
ありがとう
わあんわあん へいわを やぶる
こどもの さけび
キャンディメイカーは
ハッピーメイカー
みすごせないな
いまいくぞ
ぼうやが いうには
キャンディを おとして わってしまった
レディも かなしそうだ
しんぱい ごむよう
キャンディメイカーにおまかせあれ
とろとろとろりと とうめいな あめのたねを ごようい
みてみて このすきとおるかがやき
すべてを うけいれる ほうようりょく
ぼうやも レディも うっとりがお
そして ひびわれたキャンディは
がんがん がんがん さらにわるっ
ぼうやも レディも びっくりがお
そして あつあつの あめのたねに
ぽいぽいぽいと くだいたキャンディを いれて
さまして かたまれば
さあ できあがり
ほうせきのかけらを あつめた ロリポップキャンディ
おや ぼうやのひとみには ほしが かがやいたね
こんどは おとさないように きをつけて
なんども ふりかえる ぼうや
ちいさなてを おおきくふる ぼうや
やっぱり ぼくは ハッピーメイカー
ちょんちょんと かたを つつくのは
こまりまゆの かわいいレディ
これは おこごとの よかん
よかん てきちゅう
また おだいを もらいわすれた
おこられて ぼくは ちょっぴり アンハッピー
だけど しっかりものの レディがいて
やっぱり ハッピー
しずかなよるだ
つきも くもにかくされた
こんやは あいつが やってくる
ぼくは ひとり おみせに とまりこむ
こまども とじまり しっかり
なべを ぎゅっと にぎりこむ
ぽたりと しずくが おちれば キッチンにかけつけ
かちゃりと そろばんが なれば レジにかけつける
しんとした じかんは いつまでつづく
がちゃっと おもてのどあが あく
しまった もうてんだった
まさか しょうめんから やってくるとは
あらわれたのは わがしゅくてき かいとうマウス
きょうも キャンディを ぬすみに やってきた
マスクの おくで ひかる つぶらなひとみ
きょうも ほんきだな
こちらも ほんきで おあいてしよう
では せいのっ
じゃんけんぽん!
あいての こぶしが ぼくのはさみを うちくだく
くう また ぼくの まけだ
セロファンに くるまれた つぶキャンディ 5こ
きょうの ぎせいは おおきい
さっそうと ドアを あける かいとうを みおくる
みせから でたとたん
ばさっと あみに かけられる かいとうマウス
なにごとかと みがまえる ぼく
そこに いたのは
いけませんと いいながら におうだちの レディ
きりっとした レディが ぼくに ちゅうこく
「むやみに キャンディを ばらまいては いけません」
びしっとした レディが かいとうにも ちゅうこく
「あなたは キャンディを たべては どくです」
そういって かいとうの マスクをはずす
なんとびっくり かいとうマウスの しょうたいは
ハムスターだった
すてられて しかたがなく かいとうに なったのだ
なんと あわれ
レディは ハムスターと こうしょうちゅう
ひまわりのたね 3つで あくしゅとなった
きょうから ハムスターは やさしいレディと くらす
うらやましいことだ
ハムスターは ちゅちゅと レディにあまえている
レディってば ほんとうに ハッピーメイカー
ついに ぼくは きめたんだ
レディに おもいを つたえるぞ
おきゃくさんたち ごめんなさい
きょうだけは ひとりのための シークレットかいてん
おきゃくさまは レディだけ
キャンディを さいくして
てんじょうには ほしを
かべには はなを
ちゅうおうの テーブルには
むつまじい にわの ハクチョウを
そして ハクチョウがうかぶ いけの はすのはなに
ダイヤモンドの ゆびわを
デートは せいこう いいふんいき
ディナーもきめて いよいよだ
おみせに ついて あかりを つける
ハムスターが ミュージックを ながす
おどろく レディ
すぐに ほほえんでくれる レディ
さいこうだ
あとは まんなかに リードして ゆびわを
そのときだ
くうきを ふるわす だれかの さけびごえ
いてもたってもいられない
だめな ぼく
レディを おいて とびだす
ばかな ぼく
「いっしょにいくわ」
ぼくの せに おいつく レディのこえ
やっぱり レディは さいこうだ
レディは ぼくの ハッピーメイカー
おわり
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