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2021年のSHOW BOYを観た感想 〜人生はエンターテイメント〜

再演を待ち望んでいたこの作品。本当に再演があるかすら分からなかった中、今回全世界待望の再航海を果たしてくれたおかげで、SHOW BOYはこれからも長く愛されていく作品になるだろうと勝手に確信した。

2年前と同じ作品を観ているはずなのに自分が歳を重ねたからなのか以前とは違う場面やセリフが心に残ったり、観劇して感じたことも少し変わった気がする。これから先もSHOW BOYが長く続いていくなら(それを願って)その年その年感じたことを記録していけばその時自分が置かれていた状況や時代の風潮、新たな発見が反映されて面白いだろうと思い、今回は2021年のSHOW BOYを観て感じたことを書いておこうと思う。

あくまで個人的な感想で、人それぞれ違う感想や捉え方があって当然で、解釈に正解なんてないと思うので「この人はこの作品を観てこんな風に感じたんだ。へぇ〜。」くらいの軽い気持ちで読んでいただけると嬉しいです。
以下ネタバレ含みます。


2年前のSHOW BOYを観て、自分の人生はSHOWであって、ありとあらゆるどんな人生もその人だけの特別で素敵なSHOWなんだと気付くことができた。2年ぶりに観劇しても、このことは改めて強く感じたし、支配人の「それでは皆様、SHOW MUST GO ON!」という言葉で船を降りる時には「よし、この人生は私が主役だ!ヤルシカナイネ!」という強い気持ちになれた。

それは前提として、今回特に強く感じたのは夢や希望を持つことの大切さだった。夢や希望を持つことの大切さなんて言うとなんだかすごく大袈裟に聞こえるけど要は本当にそういうことだった。

裏方は再びステージでスポットライトを浴びたいという夢をまだ密かに抱いていて、ギャンブラーは借金を返して人生を一からやり直すという希望を捨ててないし、マフィアは家族に言えない仕事じゃなくて人を喜ばせる仕事がしたいという夢があって、見習いは立派なマジシャンになりたいという夢を持ってる。

そんな夢や希望を持ちながらもこの4人はSHOW BOATの中で絶望していた。
裏方はダンサーという仕事に未練を持ちながらも裏方として自分の仕事を全うしなければならないし、ギャンブラーは一攫千金を狙ったカジノで全財産失うし、マフィアは本当はやりたくない家族に言えない仕事のせいで警察に追われ絶体絶命だし、マジシャンは10年間見習いのままついにクビになるし。
4人はそれぞれ、これから先どう生きたら良いのか人生に迷っていた。

そんな状態の彼らが口ずさむのが「Life is showtime. It’s a wonderful entertainment.」
人生はショータイム。素晴らしいエンターテイメント。
絶望の中にいる彼らが歌うと皮肉のようにも聞こえる。
でもこの歌は真実だと思う。それを彼ら自身が証明してくれることになる。
実際、絶望の中にいた4人はなんやかんやあって最終的には同じショーに出演する仲間となり、ショーを成功させる。
裏方なのに急遽ショーでダンスを披露することになったり、ただのすってんてんなギャンブラーおじさんがショーのステージに立ったり、マフィアが理想としていた人を喜ばせる仕事に巡り合ったり、マジシャンが10年間合格出来なかった試験に合格出来たり。
あのショーで全ての問題が解決して全員の夢や希望が現実になった訳ではない。けれど、あのショーは彼らの今後の人生を大きく動かすきっかけになったのではないかと思う。

このことから感じるのは人生って簡単にひょんなことから大きく動くということ。そして夢や希望を持って今を懸命に生きていればいつかふいにチャンスが訪れて大成功することだって本当に起き得るということ。
もう無理だと思ったその瞬間これまでの努力が報われて夢が叶うことだって、はたまた些細な出来事をきっかけに考えもしなかったとんでもない方向に人生が急に動き出すことだってある。結局は人生なんて何が起こるかなんて分からないギャンブルみたいなものなのかもしれない。辰巳さんが大千穐楽のカーテンコールでこんなことを言っていた。「今偶然隣に座っている人ももしかしたらこれから自分の人生を大きく動かす人なのかもしれない。」
この文章を読み終えた後、自分はどこに行くのか、誰に出会うのか、何を話すのか、何を食べるのか、誰の隣に座るのか、、この先の行動1つ1つこそ賭けみたいなものだ。自分の選択次第できっと全然違う物語が進んでいく。

物語に起承転結があるように人生にだって楽しい瞬間も絶望の瞬間もある。むしろ絶望の瞬間があるからこそ楽しい瞬間があるのかもしれない。2年前、初日のカーテンコールで福田さんが、ジャニーさんが亡くなったことに関して悲しいことがあるからこそ楽しいことがより楽しく感じられるんだというようなことを言っていた記憶がある。そんな風に、どんな悲しいことや苦しいことがあろうと、だからこそ、人生には楽しいことだってある。まさに人生は究極のエンターテイメントだ。

そう考えると夢や希望って絶望と表裏一体なのかもしれない。夢や希望が最初から叶っていればそれは夢や希望になり得ない訳で。嫌なことや苦しいこと、その絶望があるからこそ夢や希望を追い続ける人生がエンターテイメントのように面白い訳で。
だったら、もったいないかもしれないけれど今この瞬間に全てを賭けて、夢とか希望を追う、自分に正直な人生を生きればいいんじゃないかと思う。

嫌なこと、苦しいこと、もう無理だと諦めそうになることもあるかもしれないけど「10000回だめでも10001回目は何か変わるかもしれない。」そう、主演であるふぉ〜ゆ〜が去年別舞台で歌っていた「何度でも」の歌詞。まさに主演であるふぉ〜ゆ〜の存在がSHOW BOYという作品のメッセージをよりリアルにして、観客に希望を見せてくれたように感じた。よく関係者の方々が口を揃えてこれはふぉ〜ゆ〜だからできたとかこれはふぉ〜ゆ〜の主演舞台だということを強調されていたけれど、その意味が今回2年ぶりにSHOW BOYを観劇して少し理解できたように感じる。
この2年間、毎日のように舞台に立ち、ラジオにもテレビにも出て、いろいろなことにどんどん挑戦して、夢や希望を持って今その瞬間を必死に生きてきたふぉ〜ゆ〜が、「ほら、全てを賭けてこの瞬間を生きていればそれでいいんだよ。結果はちゃんとついてくるから。」と、2年越しのSHOW BOYというステージを通じて証明してくれたように感じがした。もちろん誰しもがこういう風にいわゆる「成功」できる訳ではない(本人たちはまだこれを成功とも捉えていないかもしれない)と思うけれど、ふぉ〜ゆ〜がこうやって証明してくれたことで、それが誰かの希望になって、その誰かの人生が動いて、全てはその連鎖なんだと思った。

10000回やってだめでも、次こそ!って希望を持ち続けられていれば、人間、いくつからでも人生変えられるんじゃないか。こんな風に、まさに自分の人生に希望を持たせてくれたのがこの舞台だった。
Life is showtime. It’s a wonderful entertainment.


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