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「飲食店店長」のキャリア。出口はどこ?

私の関わってきた飲食店では「店長が若い」とよく言われましたが、実際には20代半ば〜30代後半くらいまで幅広いです。

30代の店長も、店長職に就いたのは20代というケースが多いです。

つまり、20代で店長になるのは日常的。

若い店長からは日々の仕事の相談は受けましたが、将来のキャリアビジョンが俎上に上がることは極めて稀でした。

「将来どうしたいの?」という問いかけに饒舌になる者はほとんどおらず、自分が30歳・40歳と歳を重ねた時のビジョンが見えてないことが伝わってきました。


ビジョンが見えていない中でも言葉を少しずつ拾っていくと、店長がキャリアに対して持っている態度は3つのパターンに分類できるように思います。

一度社会に出てから飲食業をめがけて入ってきた人は少し違いますが、入り口からずっと飲食業の人であれば、この3つのどれかに当てはまるのではないでしょうか。

「キャリアのことで”迷子”になりがちな飲食店店長の3タイプ」です。


それぞれの特徴を示し、キャリアと向かい合うヒントを考えていきます。



1.「自分でお店を持ちたいです」


私の経験だと、このパターンが結構多いんです。

「独立したいです」も同義ですね。

丁寧にヒアリングをしていくと、共通項がみえてきます。


ハッキリ言っちゃうと、「あまり真剣に考えてない」の一言。


「自分でお店を持つ」とか「独立をする」ってことは、つまり「起業をする」という意味なんですが、

「ビジネスがしたいの?ビジネスプランはあるの?」

とか、もっと噛み砕いて

「どんな場所で、どのくらい規模で、何屋さんをやりたいの?」

ということを尋ねると、ほとんど答えられない。


お店は持ちたい

自分でやってみたい

だけど、ビジネスとは考えていない。


(・・・それって、「趣味でお店を持つ」ってこと??)



消去法的なキャリア選択とも言えますね。

「飲食業でやっていきたい」のではなく、「飲食業くらいしかやれることが思いつかない」という感覚でしょうか。


飲食業は長時間労働が常態化してますし、アナログで労働集約的な部分が多く、自己分析の機会や俯瞰的に環境認識ができる機会が少ないのです。

自己分析や環境認識は、キャリア開発の出発地点。

出発地点に立てず、目の前のことを只こなすだけで時は過ぎ・・・「飲食業くらいしか、思いつかないなあ。。」という消去法的思考に固まってしまう。

飲食業界の構造上の課題かもしれません。




2.「将来自分がどうしたいのか見えてないですが、とりあえず店長として成果をあげていきたいです」


このタイプは、成果を出す店長が多いかもしれません。

しかし、キャリアとしては迷子。将来が見えてないわけですから。


成果がでているうちに会社が新しいキャリアを示せない場合は、燃え尽きます。
バーン・アウトして、会社を去る可能性が高いです。


もう一つの特徴として、業績が下降し始めると歯止めがききません。
悪循環スパイラルにはまります。


なぜか。

簡単に言えば、会社から求められる「短期的な業績」と自分の中にある「こうありたい」は相反することが多いからですね。

業績が下がるほど、会社からは短期的な数字を求められ、短期的な数字を出そうとするほどその人の「強み」や「らしさ」は鳴りを潜めることになり、「強み」を使わずに業績があがるほど世の中あまくない・・・。


視座が下がり、「自分が休みなく現場に立ち続ければ人件費もさがるし、業績が上がる」なんて選択をする人が多いですね。

完全な悪手。

肉体的にも辛くなっていき、将来のことを考えたり自己分析をする機会はますます失われ・・・。

気づいた時には40代。・・・なんて、ちょっと怖い話ですよね。



3.「SVや統括マネージャーになりたいです」


「商品開発やりたいです」なんて言う人もいます。

店長の先にあるポジションを指していると思ってください。


ある程度規模の大きい会社であれば、ポジションとして存在していると思います。
存在しているのであれば、目指しても良いと思います。

実際には、多くの中小企業には中間管理職や専門職ってないことのほうが多いんじゃないでしょうか。


現状存在しないポジションを自分のキャリアとして設定する場合、「逃避」であるケースが多いように感じます。

店長としての成長ややりがいに限界を感じてしまって、「他のキャリアパスにいきたい(=逃げたい)」という感じ。


自分の活躍の場が、見つけられない。

だけど、会社の外に出るのはイヤだ。


店長とは違う専門職を目指すのであれば、いままでとは違う訓練が必要になります。

スキルや経験を磨く必要があるでしょう。

ですが、現実には積極的に自己投資をしている店長は極めて少数です。


「自分でポジンションを創り出す」

という強い思いをもって自己投資ができない限り、会社への依存度が増していくでしょう。




4.まとめ


飲食店の店長が自分のキャリアプランニングをしないままに、目の前の仕事に追われて40代にはいってしまったら・・・。

40〜45歳は「人生半ばの過渡期(中年の危機)」と呼ぶ理論家もいます。

40〜60歳までは人生で最も充実した期間になるはずなのですが、40歳までにキャリアを重ねられない場合は、危機がずっと続く可能性があります。

飲食業界は、キャリアプランニングやキャリアマネジメントが十分になされない傾向が強いです。

40歳を超えて、「飲食店で店長をやってました!」というキャリアだけで採用をしてくれる企業がどれほどあるのか。


迷子にならないようにするには、「自己分析」や「環境認識」の機会を定期的に持つことが大切です。


具体的な処方箋は、上司やメンターとの定期面談をもつことです。
社内だけではなく、社外にもメンターがいるとさらに効果的。

ちなみに、「上司の方がしゃべる時間が長い」のは面談ではなく「演説」です。
演説は聞いても意味がないので、自分がしゃべることを聞いてくれる人を探して面談をお願いしましょう。



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