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育成は利益を生み出すのか?

「育成は利益を生み出すのか?」

Yes / No


この問いかけへの答えで、経営者の思考傾向が読み取れるかもしれません。


ちなみに、私の回答は

Yes

ですが、Noという回答が間違っていると言いたいのではありません。

YesにはYesの、NoにはNoの経営の仕方がある、といったところでしょうか。


「時間軸の捉え方」と「リーダーシップの取り方」というふたつの視点で分析をしてみたいと思います。




1.時間軸の捉え方


次にあげるパターンAとパターンBでは、どちらが因果関係がはっきりしていると感じますか?

あるいは「どちらを真似したくなりますか?」という意味だと思ってもらって構いません。


パターンA

「メニューに流行の〇〇を取り入れたら、客単価があがった」
「ファサードと店内装をリニューアルしたら、客数が増えた」
「イベントを打ってクーポンを配ったら、リピート率があがった」


パターンB

「定例会議のやり方を変えたら、利益率が高くなった」
「スタッフ全員と面談をするようになったら、売上があがった」
「朝礼でつかう言葉を変えたら、顧客が増えた」


どうでしょう。

おそらく、パターンAのほうが因果関係を想定しやすく、パターンBは「ほんとにそれが原因?」と聞いてみたくなりませんか?


「育成は利益を生み出さない」
と答える人はパターンA型の施策が好きで、パターンB型の打ち手には慎重だと思います。

「育成は利益を生み出す」と答える人は、その逆ですね。


どちらのタイプが優れているという話ではなく、違いがあるということです。


時間軸で言えば

・パターンA=短期的な成果が出そう
・パターンB=長期的にみれば成果がでそう

ということでしょう。

特効薬(西洋医学)と根本治癒(東洋医学)のような違いかもしれません。


短期的な思考はわかりやすくパワフルですが、「誰が見てもわかりやすい」ということは「誰にでも真似できる」ということでもあります。

流行のお店はすぐに模倣されます。
店名や業態、ファサードも真似をするお店がでてきます。

そうなると、体力勝負。
同質化の先にあるのは消耗戦で、この戦いでは大手やリーダー企業が有利になります。

同質化から抜け出すためには、1つの打ち手がうまくいったらすぐに次の打ち手を探す・・・、ということを繰り返す必要があります。
短距離走を繰り返すイメージでしょうか。


一方の長期的な思考では、いつになったらどのくらいの成果が出るのか?
予測が難しいと言えます。
科学的に数字をコントロールすることが難しいので、「この道で行く」と決めたら信じてやりきる必要があります。

しかしすぐに数字はあがらないので、あちこちから猜疑心が向けられます。
成果があがっても、どの打ち手が効いたのか?説明できません。

そして、自分たちでもうまく説明できないけれど、いや、説明できないからこそ、ですね。
一度成功すると他社は簡単に追いつけないのです。
模倣が非常に難しい。

こちらは、長距離走のイメージ。しかも、競争相手がいない、自分のタイムだけをみて走り続ける長距離走ですね。




2.リーダーシップの取り方


前述したパターンAとパターンBを比べてみて

「俺の手柄だ」

と言いやすいのはどちらだと思いますか?


パターンBは因果関係も不明瞭ですし、「長期的に/じわじわと」成果が出てきます。

「(俺)シュートを打った → ゴールに入った」

というよりは

「(俺)パスの起点になった → パスがいくつもつながって、いい形で誰かがシュートを打って、ゴールに入った」

という感じでしょうか。


「自分の意志決定が成果に結びついた」と思えるのはパターンAの施策でしょう。


パターンAを好む経営者は

「育成は成果を生まない」

と考えますから、

俺がシュートを打って、ゴールを決める

という思考様式です。


リーダーシップで言えば、支配型

一方の「育成が利益を生む」と答えられる経営者は、コーチや伴走者としてのリーダーシップを発揮するでしょう。



3.まとめ


「育成が利益を生む」というタイプは「長期的思考」「支援型リーダーシップ」をとる

「育成は利益を生まない」というタイプは「短期的思考」「支配型リーダーシップ」をとる


私の経験では、

「育成が利益を生むと思うけど、コストはかけたくない」

という経営者がとっても多いです。


これ、はっきり言って嘘つきですよ(笑)

利益を生む分野にコストをかける決断をするのが経営という仕事ですから、「コストを掛けたくない=利益を生むと思ってない」と判断するのが普通です。


「育成コスト」という言葉については改めてnoteで掘り下げたいと思ってます。

私はキャリアコンサルタントですから、当然、「育成が企業の利益を生む」という立場です。


しかし、戦略という意味でとらえれば、トレードオフの関係。
優越ではありません。

どちらの戦略をとるとしても、一貫性があればうまくいくんです。


経営者はどちらの戦略をとるのか?決めて公言すべきですし、働く人たちはどちらのタイプの組織で働きたいか?をしっかり考えることがキャリア開発につながるということを覚えておいてください。



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