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利益を200%にできる店長の特徴

私は創業から30店舗以上の開店を経験したので、少なくとも30人の店長を見てきました。
お店の立ち上げからともなれば、膝を突き合わせて濃厚なやり取りをするわけで、思考のクセもわかってきます。

成果を出す店長には、やはり共通の特徴があります。

店長が代わるだけで利益が2倍になることも珍しくありません。

店舗のリニューアルも何度も経験しましたが、リニューアルよりも「店長交代」のほうが確実に業績へのインパクトが大きいです。

この記事では、成果を出す店長の特徴を3つあげて、説明していきます。


特徴【1】
「自律型のチームをつくる」

特徴【2】
「数字よりも現場(人)」

特徴【3】
「料理よりも顧客づくり」


なお、「成果」は個人のパフォーマンスと環境の相互作用です。
組織の文化や戦略が異なれば、必要な特性も変わります。

今回紹介する3つの特徴は、旧来のいわば「工場型」の組織よりも、多様性や変革性が重視される「新時代」の組織にこそあてはまると思います。

「beforeコロナ時代」

「withコロナ時代」
と考えて良いかも知れません。


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【1】「自律型のチームをつくる」
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飲食店はチーム戦ですから、店長に「チーム作り」の能力は必須です。

私の知る限り、

「店長がアルバイトスタッフから嫌われている。不信感を持たれている。」

「メンバー間でほとんど交流や会話がない。」

なんて場合は、必ず業績が下がります。
お店に入って、スタッフの表情やスタッフ間のコミュニケーションをみていれば、大体業績の予想がつくものです。


サッカーに例えるなら、

「監督の言うことなんか絶対に聞くもんか」
「べつに、試合に勝たなくてもいいし」

とメンバーに思われていたら、そもそもチームとして成り立たないし、

「俺、かっこよくゴール決めたいだけだから。守備なんてしないよ」
「とりあえず、指示された動きだけしよう。それ以外のことに責任はない」

と考えるメンバーが多ければ、チームのパフォーマンスは下がり、成果を出すのは難しいでしょう。

チーム作りが成果を分ける、ということです。

どんな店舗に就いても必ず成果を出す店長は、チームの管理手法として


「自律型のチーム作り」


を選びます。

対比されるのは「トップダウン型」ですね。
ヒエラルキー型とか、上意下達なんて言い方もあります。

「自分が誰よりも活躍し、周りに指示を出し、現場をコントロールする」というタイプのマネジメント。

一方の自律型は、「一歩ひいて全体を見渡して、それぞれのメンバーに判断を委ね、困っているときには助けに行く」というタイプ。


初めから自律型のチームをつくれる店長は少なくて、多くは次のようなステップを踏んでいきます。


◆まず「トップダウン型」から始めて、ある程度業績をあげる
 ↓

◆異動やチームメンバーの入れ替えがあると、チームを同じようにまとめられずに業績がさがる
 ↓

◆「自律型」の手法を取り入れはじめて、再び業績をあげる


「トップダウン型のチームでは業績をあげられない」わけではなく、成果を出し続けるためには「自律型に向かわざるを得ない」と考えるとわかりやすいでしょうか。

単発では成果を出せるけど、サステナブルじゃないということですね。


トップダウン型のマネジメントは「蒸気機関車」だとイメージしてください。

チームのスピードは、トップを走るあなたの馬力次第。


さて、蒸気機関車がトップスピードの時に、エネルギーを別のこと割こうとするとどうなるでしょう?


業績をあげて活躍が認められると、会社から新たな役割を与えられることがあると思います。

例えば「新人店長の育成に関わってほしい」とか。
社内を横断するプロジェクトに呼ばれるとか。


トップダウン型でチームを引っ張ってきた店長の場合、店長が自店舗チーム以外のことにエネルギーを使うということは、つまりは「自店舗を引っ張る馬力が下がる」ことを意味します。

結果としてチームのパフォーマンスはさがり、お店の業績がさがることが予想できます。

力技で(休みをなくすとか、睡眠時間を削るとか)なんとかすることはできますが、、、1年も2年も続きますか?続けたいですか?


ここでみんな「う〜ん」と一度立ち止まるんです。

社内でもっとキャリアを重ねるために、トップダウン型のままで良いのだろうか?と。


さて、自律型のチームはいうなれば「電車」です。

全車両にモーターがあり、独立して駆動しています。

蒸気機関車よりもスピードが速いとか、っていう機能面が優れているわけではなくて、「先頭車両の馬力に依存する必要がない」ことが最大のポイント。

電車型のチームであれば、先頭車両である店長がチーム全体を引っ張る必要はありません。

店長が他のことにエネルギーを割いても、自店舗のパフォーマンスが維持できるとうことです。

エネルギーを割く対象は、社内でのキャリアアップのための時間(横断的プロジェクトへの参加など)かもしれないし、勉強をして自分を高めることかもしれません。


トップダウン型のチームづくりか、自律型のチームづくりか?

それぞれに特徴があるので、自分の強みや環境を考えて選べるといいと思います。

新時代においては、自分のキャリアにエネルギーを割くことのできる「自律型のチーム作り」が主流になっていくと思います。



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【2】「数字よりも現場(人)」
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本部って、数字の話が好きですよね(笑)

原価率が上がった、下がった・・・

予算達成率があと何%だ・・・

前年比が・・・、人件費率が・・・、FLが・・・、理想原価が・・・。


数字で把握して管理することは必要ですが、「目的」じゃないですよね。

成果を出すために動かすべき対象は「数字」ではなく、「人」です。

人を動かす力のある人が、業績をあげられるのです。


成果をあげる店長は、おしなべて本部が押し付ける数字が嫌い(!)です。

数字そのものから逃げるわけではなく、「その数字、意味あるの?」と問い掛けをし、咀嚼をします。

多くの場合、本部の捉える課題と現場が実際に抱えている課題にはズレがありますから、本部の言うことをそのまま聞くだけではなかなか良くなりません。

「本部の数字って、意味ないよね・・・」と自ら考え、自発的に設定した数字目標を大事にします。

チームが自ら積極的に動くように、常にリアルタイムでフィードバックをして、数字を変動させていきます。

だから、業績があがるんです。


数字を「まとめる、抑える、削る」ことと「売上を(利益を)伸ばす」ことは本質的にまったくの別問題。

業績(売上、利益)を伸ばすためにはコストを「抑える」のではなく、「必要な場所に正しく投下する」事が必要。

数字合わせに労力を割くよりも、現場で「意図してコストを掛ける」店長の方が、長期的に成果を上げることができます。



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【3】「料理よりも顧客づくり」
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「店長はホールだけの担当、キッチンは料理長が見る」という形での運営は、こと居酒屋に関しては一般的ではなくなりました。

よほどの大型店舗をのぞけば、プレイヤーとしてキッチンもホールもこなせることが店長の必要条件でしょう。


さて、ホールが得意な店長とキッチンが得意な店長では、どちらが成果があげやすいと思いますか?

キッチンに入って美味しい料理を的確なスピードで出すことは飲食店の根幹とも言えますし、ホールでお客様と直接接点を持つことも重要ですよね。


「キッチンかホールか?」ということであれば、答えは明確なんです。



正解は

「どっちでもいい」。


もしくは、どっちも大事。


ただし、気をつけてください。

似たような言葉でも、「料理か顧客づくりか?」どちらが大事か?ときかれれば、これは明確に「顧客づくり」が大事です。

ちがい、わかりますか?


「キッチンとホール」は並列関係だけど、「料理と顧客づくり」は主従関係。

「顧客づくり」が主であり目的、「料理」は従者であり手段。


成果を出せない人は、「手段」を「目的」と勘違いしてしまいます。


私はよく、

「料理は顧客づくりをするための道具に過ぎない」

という表現を使います。


美味しい料理をつくることは大切。

だけど、それ自体が目的ではない。

「美味しい料理」という道具を使って、顧客づくりをするのが飲食店のお仕事です。


料理をみるのではなく、料理を食べているお客さんが「美味しい!」と言ってくれているかどうか?を見るのですよ。

店長がキッチンにいても、ホールにいても、同じです。

業績を決めるのは料理そのものではなく、顧客を見ているかどうか?です。



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【まとめ】
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多くの店長を見てくると、共通の特徴が見えてきます。

利益を200%にできる店長は、なにも特別なことはしていません。

特別にすぐれた能力があるわけでもありません。


・チームをつくり、自分が離れても大丈夫な状態にすること。

・会社(上の顔色)を見るのではなく、顧客を見て仕事をすること。

・チームづくりと顧客づくりのために、適切なタイミングで適切な投資をすること。


この3つを磨いていきましょう。

どんな会社・社会においても必要とされる能力、とも言えますね。

それぞれの具体的な手順など、今後少しずつNoteで公開していきたいと思います。




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