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創作料理。コンビーフとキャベツのパスタ

今日の昼は、四十四歳独身男子の私は自分でパスタを作った。
普段は、七十のお母さんに料理は任せっぱなしだ。これではいかんと思い、休日の昼は自分で作ったり外食したりしている。
今日は、コンビーフとキャベツのパスタを作った。
レシピは見ていない。
コンビーフは家になかったので、近所のスーパーマーケットに買いに行った。そして、野菜を何か入れたいと思っていた私は野菜売り場を物色した。チンゲンサイ、小松菜などが目についた。しかし、味がいまいち想像できなかった。コンビーフの風味を消さない野菜・・・。
そのうちにキャベツが目に入った。私は学生時代一人暮らしの経験があり、毎日、野菜炒めを食べていた。野菜は一種類でもやしのことが多く、次に多いのがキャベツだった。だから、今日キャベツを選んだのは経験から味を知っているからだった。
 
*材料
 
・パスタ・・・・・適量
・コンビーフ・・・一缶
・キャベツ・・・・四分の一個
・オリーブオイル・適量
・塩こしょう・・・適量
 
家に帰るとさっそく料理を始めた。キャベツをぶつ切りにしておいて、パスタを茹で始める。パスタを茹でている間にフライパンでキャベツを炒める。パスタの茹で時間は七分だ。キャベツには炒めながら塩こしょうを振る。あと三分というところで、コンビーフを入れてほぐしながら、キャベツを炒める。パスタが茹であがったときには、キャベツもコンビーフもいい感じになっている。そこへパスタを投入し塩こしょうを振ってかき混ぜたらできあがりだ。
見た目は焼きそばみたいなのができた。
しかし、しっかりパスタの味がした。コンビーフの風味が活かされ、キャベツもグッドだった。
料理はいい。
作る楽しみと食べる楽しみがある。
外食では作る楽しみがない。
あと作る楽しみは、もし家族や客に振る舞うならば、もてなす楽しみというのもあるだろう。飲食店の料理人は客が目の前で自分の作った料理を食べ幸せそうな顔をしてくれたらこの上ない歓びだろう。
私はウェブ小説を書いているのだが、読んでいる人の顔を見ることはできない。アクセス数などの数字で見るよりほかない。数字が上がれば喜ぶし、上がらなければ残念に思う。これは物を作る仕事の人の多くが経験することに違いない。車を作る人は、その車に楽しそうに乗るお客さんの顔を見ることは直接的にはない。私の弟は製鉄所で働いているが、介護士の私に、「お兄ちゃんの仕事はお客さんの顔が見えていいね」みたいなことを言ったことを覚えている。弟は大学院を出ているエリートなのだが、給料の低い私の仕事が羨ましいなどと言う。たしかに私は老人を介護していて直接お礼を言われることが毎日何度もある。それは接客業全般の魅力であろうと思う。役者も映画より舞台の方に魅力を感じる人が多いようだ。舞台ならば直接お客さんの反応が得られるからだ。映画では直接お客さんの反応を見ることはできない。ウェブ小説のように数字でしかその映画の善し悪し、つまり自分の仕事の結果を確かめる手段はない。
料理は客に振る舞うだけでなく、自分も一緒に食卓について自分が作った料理を食べることができる。それを毎日やっているのが主婦(主夫?)だろう。家族に料理を振る舞い、一緒に食べる、特に子供たちがいればその反応を楽しむことができる。女性を家庭から解放するみたいな思想があるようだが、家庭とは歓びの多い場所であることは確認しておいたほうがいい。職場で出世するだけがキャリアではない。主婦をやって来た女性は家の中のことはプロフェッショナルで、仕事を引退した夫はお荷物になることが多いようだ。料理のできない男は主婦にとって世話をしなければならない対象になってしまう。介護ではないが、料理ができない夫の世話をしなければならない主婦は、夫の介護に近いことをもうやっているとも言えるだろう。そうならないためにも、男も料理しなければならないと思う。というか、料理は楽しいものだ。それをまったく知らないで一生を終えるとしたら、その人生の豊かさはその分低いレベルになると思う。

ごちそうさま

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