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オーロラが見える時

さて、今回はオーロラについてお話ししたいと思います。オーロラといいますと冬の風物詩とお思いの方も多いかもしれませんが、実は1年中出現しています。夏は太陽の光のために見えないのです。ですから、太陽の日照時間が短くなると見えやすくなってきます。オーロラは宇宙空間で起こる化学反応によるもので、その反応によって様々な色に見えますが、いちばん一般的なのが緑色です。紫や赤などはあまり頻繁には見られないようです。

ストックホルムでも運がよければオーロラが見えることはあるようですが、確率が高いのは北極圏です。北極圏は夏には白夜になるので、オーロラは見えませんが、太陽が沈んで暗くなってくる9月頃からは見ることができます。2000年と2001年はオーロラの当たり年で、ツアーも多く組まれているようです。9月くらいですと観光客も減り始めますが、まだそれほど寒くなく、紅葉も少し見られるので、意外と穴場な時期です。

私は2001年の9月にスウェーデンの北極圏、氷のホテルで有名なキルナから車で西に1時間ほどの場所にあるアビスコにオーロラ観測ツアーに行ってきました。アビスコは、汽車の駅前に宿泊施設(アビスコツーリストステーション)があるだけの、自然に囲まれた何もないところです。オーロラを見るためには街の光はじゃまなので、夜になると真っ暗になる、このようなところがいちばんいいようです。

午後8時頃に近くにあるスキー場の頂上にリフトで上り、クラブハウスでオーロラが出始めるのを待ちました。運良く、夜の9時ごろからオーロラが見え始めました。オーロラらしい光が見えたかと思うと、空一面にあっという間に広がり、見入っているうちにだんだんなくなってしまいました。それ以降、外に出っ放しでのオーロラ観測となりました。

9月といっても気温は5度くらいなので、暖かい格好をして、暖かい飲み物やワインなどを片手に待ちました。次に見えたのは、点滅オーロラというものでした。ライトを点いたり消したりするかのように、オーロラがパッと明るくなったり消えたりします。なぜこのようになるのかはまだ解明されていないそうです。その後、また強い光を見つけ、それが瞬く間に夜空一面に広がり、カーテンのような動きを始めた時は、自然の壮大さに言葉を失う思いでした。

オーロラが見えない時でも、星空がすばらしく、いくつもの流れ星を見ることができました。実際に目で見たオーロラは、思ったほど濃い色合いではなく、薄い緑という印象です。初めは雲かと思うほど白く、次第に目が慣れてきて、緑色に見えてくるようです。感度のいいビデオで撮影すると、はっきりとした緑色に見えていました。オーロラの色は、ビデオやカメラの方がはっきりと出るようです。

2001.10.30執筆、2016年リライト

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