バレンタインデーが近づいてきたある日、カメはスポーツショップでランニングシューズを眺めていた。彼はどれを選ぶべきか迷っていた。「色で選ぼうかな。それとも機能性を優先するべきなのかな」と心の中でつぶやいていた。店内のきらびやかな照明の中で、カメの瞳はあちこちをさまよっていた。

一方、ウサギは近くの本屋で迷子になっていた。「ここの本の並べ方は、図書館とは全然違うのね」と彼女は呟いた。彼女が探している本は見つからず、何を求めているのかさえ分からなくなっていた。悩みに満ちた表情で店を出ると、歩いてきたカメと目が合った。

「カメくんもショッピング？」ウサギが尋ねた。「そうなんだ。でも何を買おうか決められなくてね。ウサギさんも？」とカメが返すと、彼女も同じように「そうなの。私も何を買えばいいのか分からないの」と頷いた。

二人は顔を見合わせると、ふいに笑い出した。「もしかして？」とウサギが言うと、カメも「もしかして、ウサギさんもプレゼントを探してるの？……」と言葉を続けた。二人はお互いに相手のためにプレゼントを探していたことに気付き、笑顔が広がった。

「それなら、一緒に選ぼうよ」とカメが提案すると、ウサギは「そうね、それが一番ね」と微笑んだ。二人は手を繋ぐとスポーツショップへ向かった。 まだ冷たい風の中で、二人の心の中はほんのりと温かかった。