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星を観るために出来ること

その夜、ウサギとカメは街の灯りから離れ、小高い丘から夜空を見上げていた。周りを静寂がそっと包み込む中で、二人は星の光に導かれるように無限の宇宙へと思いを馳せていた。まるで星々のささやきが聞こえるかのように言葉を交わさずに、ただ静かに宇宙の広がりを感じていた。

「ウサギさんは知ってるかな? もうすぐ南米のチリに、世界で最も高い場所に建つ天文台が完成するんだよ。その標高はなんと5,640メートルもある」と、カメは星に目を奪われながら静かに語り始めた。

「確かに、高い場所ほど星はクリアに見えるのかもしれないわね。でも、そんな高所での生活はきっと大変でしょうね」と、ウサギは星を見つめながら静かに言った。カメは黙ってその言葉を静かに噛みしめた。二人の間には、まるで星の光が旅するように、ゆっくりと時間が流れていた。

カメは静かに記憶を辿った。「ハワイ島のマウナケア山頂にある、すばる天文台に行ったとき、標高4,200メートルのその場所は氷点下の寒さだった。分厚いダウンジャケットを着ていても屋外には五分といられなかったんだ。空気も薄く、呼吸が苦しく、厳しい場所だった。だけど、瞬きができないほど星が流れていて、あの光景は今でも忘れられない……」

その時、カメはふと気づいた。ウサギが静かに彼を見つめていることに。「ねえ、カメくん。ハワイ島にも私を置いて行ったの?」彼女はカメの袖をやや強く引っ張った。

カメは再び星空に目を向け、「星空っていいよね、どこまでも自由で」と言いながら、いつまでも彼女に揺らされ続けた。

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