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雨宿りのおばあちゃん

大きな台風の影響で学校が午前中で終わった。

黄色い帽子とランドセルを背負ったみんなは、非日常的なことに興奮気味で、僕も少しドキドキしていた。
ワクワクしていた気持ちが勢いよく沈んでいったのは、校舎から出てすぐのこと。

勢いよく流れる川のようになった道路、排水口から吹き出している水しぶき。
空は数秒おきに光ってはゴロゴロと鳴り響き、とてもじゃないけど帰れそうもない。

みんながしていたように、学校横にある小さなスーパーの公衆電話から家に電話を入れて、そのまま雨宿りをして待つことになった。

「雨すごいねぇ」

腰の曲がったおばあちゃんは、にっこりしながら差し出してくれたのはハンバーガーだった。

給食より前に学校が終わったから、腹ペコで死にそうだったし、なにより声をかけてくれたことで少し安心した。

***

どうもトウユウジ(@ugto310)です。

雨に振られながら思い出したことを書いてみました。

田舎の丘に囲まれた凹んだ場所に住んでいたのですが、流れた雨が濁流みたいになっててやばかったことは覚えてます。

最近は、街なかで知らない人に声をかけると問題になったりして、悲しいなぁと思う半面、犯罪を未然に回避できている可能性もゼロじゃなくて、「どっちも捨てがたいんじゃー!」ってモヤモヤすることがあります。

ちょっとした声かけや、お母さまたちが朝の横断歩道で挨拶をしていたりって、実は心にすごく良い気がしています。

お店としてももちろん、人としてこう在りたいなと思うんですよね。



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