見出し画像

退職するぞ!ー退職のリアルー

こんにちは、ぺろよしです。
以前のnoteに続きまして退職についてのまとめとなります。
実際に使用する書類サンプル等をお見せしながら会社側が行う退職手続きについての流れをわかりやすく説明出来ればと考えています。

たかが退職されど退職。
人一人が辞めるとなると意外と一筋縄ではいかないのかもしれません。大なり小なりトラブルもあったり…また色々なドラマもあります。そこらへんの裏話も含めて退職のリアルについて綴っていきます。


◆退職が決まるまで

様々な事情で皆さん会社を辞めていかれます。
普通は「そうだ、会社辞めよう」と決めたら直属の上司に退職の意思の申し出をすると思います。申し出た場で引き留められたりとかなんやかんや色々あるとは思いますが、一応受理されると退職願が手元に回ってきたり「〇〇さん今月末で辞めるから」と言われた時点でぺろよしは退職処理を準備し始めます。

ここで「いつまでに退職するって言えばいいの?」と思われるかもしれませんね。
答えは二週間前です。民法によって定められています。

(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
第627条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

e-Gov法令検索より

雇用を司っている労働基準法でないのが意外ですよね。ただしいくら法で定められていても就業規則で別途退職に関する規定があればそちらが優先される場合もあります
仕事の引継ぎや人材確保など会社側が対処すべき事は多いので、円満退職を希望するのであれば最低でも一か月前くらいには申し出るのがベターかなと思います。
そうは言っても巷の労働相談では「退職をなかなか受理してもらえない」とか「退職届を出したら恫喝された」といった声も多くあふれています。(当社も昔は退職希望者に恫喝していました)
余談ですがなかなか辞めさせてくれず困っている…心身ともに疲弊している…そんな場合は必ず労働基準監督署に通報した上でこの民法の二週間ルールを利用して退職届を内容証明郵便で送るのもありかと思います。

◆資格喪失手続き

退職が受理されたら社会保険の資格喪失手続きを進めていきます。
こちらと合わせて読んでいただけるとわかりやすいかもしれません。

①健康保険

うちで使ってるやつです

健康保険の資格喪失手続きはうちの組合はまだ書面で行っています。
これに社員本人の情報を書いて保険証を添付し郵送します。被扶養者については書く欄がないので保険証だけ一緒に送る感じ。
任意継続被保険者制度を希望の場合はこの資格喪失届と同じタイミングで必要書類を送付します。しないと怒られるのです。
任継は20日以内の手続きが絶対なので希望される方は退職までに必要書類を揃えてもらう必要があります。

②厚生年金

画像加工したけど小さいですね…すいません

厚生年金についてはe-Govという国が出している電子申請システムを使って行っています。該当項目を入力して提出先の年金事務所を選択し電子署名を付与して送信します。
これがまた使いにくくて普通の会社なら人事労務関係のAPIソフトを使ってやりやすくしているんでしょうが、当社はケチすぎて導入を却下されてしまいました。
何がおかしいって一つでも入力ミスすると自動返戻されてしまうのです。しかもどこが間違っているのかよくわからない。そもそも送信前にエラーすらかからない。関連機構に電話しても「うちじゃない」「電子はわからない」とたらい回しにされてしまう…。公式マニュアルもなくe-Govサポセンはあるがなかなか繋がらず慣れるまでは本当に苦労しました。
ちなみに書面で手続きを行っても大丈夫です。その場合は①で使った健康保険の資格喪失用紙をコピーして送ればOKです。

また退職者に扶養の配偶者がいれば第三号から抜けてもらう必要があります。(非該当)こちらも電子で行っています。

非該当も該当(加入)もこれでやってます

➂雇用保険

雇用保険もe-Govで電子申請と書面で手続きどちらも可能ですが、ハローワーク窓口に持って行ってその場で受付てもらうのが最速最短なので当社はそうしています。(電子申請してねって言われるけどそうすると最低二週間はかかるんです…厚生年金は早いけどお金が絡むので審査に時間がかかるのでしょうか)

ハローワークに持って行って具体的に何をしているかはこちらをご覧下さい。

離職票の左部分

まずは離職票です。正式名称は雇用保険被保険者離職証明書と言います。A3サイズ3枚複写になっていて左部分に被保険者期間と賃金の支払い状況(大体半年分)を記入します。右側は離職理由を書く部分となっています。

ぺろよしの雇用保険虎の巻から拝借しました

次に被保険者資格喪失届です。これは入社して雇用保険に加入した際ハローワークで発行されます。なので退職の日まで会社側が大事に保管しておかなければなりません。例外で入社年が古く発行されなかった方の場合は白紙の喪失届にいちから記入する必要があります。
書面の様式や書式は時代によって変わりますが名前は全部一緒。マークシート用紙なので鉛筆で離職年月日やマイナンバー・住所・離職理由などを記載します。
これに退職願のコピー等(退職理由の判定に使用)を添付して窓口で手続きしてもらいます。受理されると離職票の①と②、雇用保険被保険者証が発行されます。

④住民税

以前のnoteで説明した通り、通常であれば会社が給与天引きにして本人に代わって住民税を納付(特別徴収)しています。退職するのであれば会社が代行する必要がなくなり本人が直接納付する普通徴収になるのでその切替作業が必要となります。
こちらはeLTAX(エルタックス)という地方税ポータルシステムを使って電子申請で行っています。退職の情報の他に住民税の情報も入力します。何月まで特別徴収したのか金額も含めて計算します。住民税はその年の6月から翌年5月までを納めるべき年税額とカウントするので退職日(異動日)も含めてよく考えないと大変です。これを退職者の居住地ごとに送信しないといけない訳です。

相変わらず小さいですが…

⑤確定拠出年金

こちらは提携している信託銀行の事業主専用ページから行います。離職日などちょっとした情報を入力するだけです。その後の移管手続きは退職者自身で行ってもらわなければなりません。


◆その後の処理

退職のメイン手続きは上記の資格喪失となります。これが全て終わったら書類一式を本人宛に郵送します。

その時に発行するもので一番大切なのが「資格喪失証明」です。
意味はそのまんまでうちの会社の健康保険・厚生年金から外れたよーという証明になり、特にこれがないと国民健康保険に入る事が出来ないので重要なものです。
会社が発行するものなのでフォームはそれぞれ違います。私はExcelで作って最後に会社の角印をついて発行しています。

なんてことない資格喪失証明

あとはその年1/1から退職するまでの収入の証明となる源泉徴収票の発行や、人によっては転職先に提出する為に「退職証明書」を発行したり。


◆退職日と資格喪失日の違い

退職日と資格喪失日の違い、皆さんご存じですか?似たように見えて違いますし、実は社会保険料に大きく関わってきますので今後退職をご検討の方は注意して退職日を決めてほしいと思います。

退職日はそのまんまで会社を辞める日の事。
それに対して資格喪失日とは退職日の翌日を指します。土日祝日は無関係です。社会保険においてこの資格喪失日が超重要となってきます。

資格喪失日は読んで字のごとくその社会保険の資格がなくなった日なのでその日以降は健康保険も使えないし、厚生年金やDCの資格もありません。雇用保険(失業手当)は資格喪失日を起点として諸手続きが開始されます。
一番大切なのは社会保険料の納付日に関わってくる事です。

この社会保険料は月割計算で通常前月分を給与天引きします。例えば6月15日に退職したとしましょう。そうすると資格喪失日は翌16日となりその社会保険料は前月の5月分まで徴収されます。
注意したいのは月末の退職です。6月30日に退職するとしたら資格喪失日は翌7月1日です。社会保険料は資格喪失日を締め日とするので月末最終日に退職してしまうと前月(5月分)と当月(6月分)の二ヶ月分がかかってしまうのです。
たった1日違うだけで保険料額がひと月分も変わってきてしまいます。キリもいいから~と月末退職を希望される方はここを注意して下さいね。

ちなみに資格喪失日が退職日と同日になる場合はレアケースですが存在します。定年後再雇用されたりなどが該当します。このケースは給与が下がる場合が多いので同日得喪という一度資格喪失して同日に再度社会保険に加入するという手続きとなります。

◆色んな退職

人が会社を辞めるというのは様々な事情があってこそ。
ぺろよしが労務担当になって3年…あ、1年間は社内ニート状態だったので正式には2年ですが見送った社員はパートアルバイト含め100名近く。退職者本人と話す事は滅多にありませんが、最後の事務処理手続きは「お疲れ様でした」の気持ちもこめて丁寧にやるように心がけています。
基本的に去る人の事なのでその実情を他の社員が知る事や語る事はほぼありません。なのでここで語らせてください。当社のブラックエピソードも含めて。

・自己都合退職
辞めるとなったらこれがほとんどですね。
体調不良・転職・独立・親の会社を継ぐ…色々あります。社歴の長短も様々ですが次のステージでもどうか頑張ってほしいという思いです。
ただ会社と上手い事退職交渉しないとトラブルになる場合も。詳しくは後述の退職願のブラックエピソードを参照。

・定年退職
当社は60歳定年でその後は65歳まで嘱託契約になる方がほとんど。満了する方もいれば「体がきつい」「第二の人生を楽しみたい」と満了前に辞められる方もいます。
会社側から文句を言われる事もなく一番円満に退職出来る手段です。辞められてもやり取りがある人から「クルーズ旅行に行った」とか「趣味に打ち込んでいる」と聞くとこちらもほっこりしますね。

・解雇
残念な退職NO1です。懲戒解雇、諭旨解雇(退職勧告)とありますが重大な就業規則違反(犯罪行為)を犯した場合これに当たります。横領・不当転売・飲酒運転が多く処分が絶えません。
本音を言うとこんな人にも離職票を書かなければならない(失業手当を受給出来る)のがすごく抵抗感があります。真面目に働く意味とは。

・死亡
闘病等で入院し休業→そのままお亡くなりに…というよりはある日突然出社しなくなって心配した他の社員が自宅を訪問してみると…………と言う方が当社では多いです。しかも独身社員の場合が何故か多く(なんでなんでしょうね…?やっぱり独り身だと不摂生な生活になりやすいからでしょうか)そうなると遠縁の親戚筋に書類のやり取りを依頼する形となります。不仲・疎遠だったり遠方に住んでいたりと一筋縄ではいきません。誰も身内がおらず弁護士に依頼した事もありました。
また、加入していた生命保険の調査の為に何年も前の健康診断結果の提出を求められた事も。結果の数値のあまりの悪さになるべくしてなってしまったのかな…と。健康の大切さを実感する瞬間です。

・バックレ
パート・アルバイト社員に圧倒的に多いです。ある日いきなり来なくなる、電話をしても音信不通という感じです。やっとつながったら親が出てきて逆ギレ……というのもよくあるらしいです。
社保加入されている人がごく僅かなのでぺろよしがやり取りする事はレアですが、それでも辞めるなら一言言ってほしいものです。そして貸与した制服は返して…。

・退職代行
近年増えてきた話題のアレです。社歴の浅い若手社員が使う事が多いです。何故お金を払ってまで依頼するかと言うとそりゃあ退職の交渉・やり取りをしたくないくらい会社に不満があるから…としか言えません。そりゃそうだ。
弁護士が行う代行・民間の代行サービスといくつか経験しましたが、個人的に弁護士の代行のが労務的にヤバいというイメージです。士業のプロ中のプロなので向こうが作成する書類や退職の手続きは法的には全て正しいのは当たり前です。…ですが連絡もなく一方的に書類を送りつけてくるのみの場合が多く、社内的に必要な書類があったとしても「法的には不要です」のメール一通で断ってきたりと頑なな感じ。ただでさえ会社側と本人がモメているのでこちらとしては少しでもスムーズにやりとりしたいんですがね…。
そこらへん民間の代行サービスの方が担当者と電話でやり取り出来て対応もよかったり。代行サービスは近年増えていますが変な業者もいる模様…もしも使う場合は綿密な下調べ必須と言えます。

・当社の退職願
どこの会社にも「退職願」というものはあるはず。
うちの場合は本人が書く退職理由と直属上司・人事部長・所属部門一番トップの上役がコメントを書く欄があるのですが…。
この上役のコメント欄があまりにもひどすぎて「円満退職なんてこの会社には定年以外ないんじゃないか」と思わされるほど。
出来る事ならコメントをそのまま掲載したいのですがそれは不可能なので意訳して書きますと

「こんなに時間と手間をかけて育ててやったのに転職なんて裏切り行為」
「独立するなんて目先のいい話に飛びついただけ」
「人事異動も済んだタイミングでの退職は会社に対する嫌がらせ」
「物凄く身勝手でわがままな人材、前の上司が甘やかしすぎ」

etc…etc…。どうですか、ぞっとしませんか。
ハローワーク職員にこのコメントが書かれた退職願をコピーして渡さなければならないのですがきっとドン引きしていると思います…。
要は本人が希望して転職しようが独立しようがそれは会社に対する裏切り行為だという訳です。
この国には日本国憲法というものがありまして第22条で「職業選択の自由」というものが定められているはずなのですが…ご存じないようです。おかしいな、公民の授業で絶対習うはずなのにな??
上の人がそんな考えなので退職者が後を絶たない訳ですよ。そして私も数年後育児と仕事の両立が出来ず退職予定ですがその退職願にも辛辣なコメントが並ぶのでしょう…。

そんな感じでざっくりと退職シリーズについて書いてみました。
この担当になってから知った事がたくさんあります。(もちろん知らない方がよかったなと思う事も)
退職の際に少しでも参考になれば幸いです。

この記事が参加している募集

退職エントリ

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?