見出し画像

公的医療保険ってなんだっけ?

今回は公的医療保険制度について書きます。
便利な給付制度についてはまた別記事で書いていきますので、全般的な知識として学んでいきましょう。
保育士試験用には太字で書いた部分を見て頂けたら幸いです。

◆そもそも公的医療保険制度って?

公的医療保険制度とは皆さんご存じの通り、病気やケガをした時にかかるお金が安くなる制度です。自己負担だと10割(全額)かかる金額が1〜3割負担で済みます。
日本では全ての人が公的医療保険に加入して保険料を支払う事で、それぞれの負担を支え合うシステムになっています。これを「国民皆保険制度」と言います。1958年に制定され1961年に事業が始まりました。
誰でも少ない金銭負担で優良な医療が受けられるという世界でもトップクラスの保障制度となっています。


◆医療保険の種類

では医療保険にはどんな種類があるのか見てみましょう。ご自身やご家族の加入先は保険証に記載されているのでぜひ見てみてくださいね。

①健康保険
加入者:会社に勤めている本人とその扶養家族
保険者:会社
ある程度大きな企業であれば○○健康保険組合になり、複数の中小企業が合同で設立する協会けんぽがあります。ちなみにぺろよしの会社は大阪○○販売店健康保険組合となっています。大企業じゃないですが何社もある販売店が集まって出来ています。

②共済組合
加入者:主に公務員とその扶養家族

③船員保険
加入者:主に船員とその扶養家族

④国民健康保険
加入者:①〜③に加入していない自営業者・フリーランスや個人事業主
保険者:市町村や都道府県、国民健康保険組合

企業勤めではない方や親・世帯主の扶養に入っていない方などが主に加入します。他にも芸能人や在留資格のある外国籍の方なども国保に加入することになります。細かいですが退職したけど再就職は半年後…という方の場合も一時的にはなりますが扶養に入らない限りは国保加入者になります。

⑤後期高齢者医療制度
加入者:75歳以上の高齢者
保険者:各都道府県の広域連合
75歳になると①~④の加入者は自動的に後期高齢者医療制度に移行するというのがポイントです。例外として65歳以上75歳未満で一定の障害があると認められた方も加入できます。2008年施行された比較的新しい制度で、高齢化に伴い圧迫する医療費を高齢者自身にも一部(1割)負担してもらおうというものとなります。

保育士試験的には①と④と⑤の違いをしっかり押さえておけば大丈夫だと思います。

◆保険者とか被保険者って?


さらっと保険者とか扶養とかいう単語が出ましたね。こちらの用語も簡単に解説します。

保険者:保険を提供するとこ(健康保険組合とか)
被保険者:保険を受ける人(私達)
扶養者:養っている人
被扶養者:養われている人(生計を一にしているパートやアルバイト収入のある方・専業主婦/夫・子供・老親等)

「被」が付くと付かないとで意味が違ってきます。慣れていないとどちらかわからなくなりますが、「被」=受けていると考えば区別は付きやすいでしょうか。
そして扶養というのは「経済的援助を受ける」という意味ですが、社保の場合になりますと「扶養の範囲=税金の控除を受けられる範囲」という意味を持ちます。
「103万の壁」とか「130万の壁」という言葉を聞いた事ありませんか?例えば夫の扶養に入ってパートをしている奥様がいたとします。妻の年収が103万位内に収まっていれば所得税の控除が受けられますが、超えてしまうと妻自身の所得税が発生してしまいます。これが「103万の壁」です。そしてさらに妻の年収が130万を超えてしまうと勤務先等の社保に加入し保険料を納める必要があります。こちらが「130万の壁」。要は「ある程度稼いでるなら自分で保険料払ってね!」という事です。また妻を例にとりましたが、子どもでも同じ事です。就職が決まるなどして継続して雇用されることが見込まれるのであれば親の扶養から外れる必要があります。
私が学生時代バイトをしていた時に年末が近くなると急におばさまパートタイマーの方々が「超えちゃうからもうシフト入りません!」と言っていたのをよく見た事があり、「どゆこと??」と不思議に思っていたのですが「壁」を超えないように収入の調整を行っていたという訳です。なるほど~。

◆健康保険に入ってるとどうなるの?


こんな感じで皆さんが入っている公的医療保険ですが、じゃあ具体的に何をしてくれるの?という話に移ります。ここからは健康保険をメインとして書いていきます。
まず本人(被保険者)とその家族(被扶養者)が業務外で発生した病気・けが、または出産・死亡の場合に、医療を提供したり定められた各種の給付金を支給します。これを保険給付といい、治す為に医療を給付する方法を現物給付、現金を給付する方法を現金給付と呼びます。
業務外が太字になりましたね。「社会福祉」を勉強された方は覚えていますか?

業務中のケガや病気=労災保険の範囲

だったことを…。つまり仕事中のケガや病気は労災保険で賄いますが、それ以外を健康保険はカバーするよ!という事なのです。重複しては賄えません。(よく労災なのに気付かず保険証でやっちゃった!という方おられますが)
給付と言われるとよくわかりませんが、病院に行って保険証を出して「3割負担の○○円です」と言われお金を払って治療するのが健康保険の代表的な給付となります。その他にも

・高額療養費(医療費が高くなった時)
・傷病手当金(働けない時)
・出産手当金(出産した時)
・限度額適用認定(入院予定などで医療費が高くなりそうな時)
・埋葬(料)費(本人または被扶養者が亡くなった時)

なんかにもお金が支給されます。(詳しい制度やもらえる金額などは冒頭でもお伝えした通り別記事で詳しくまとめていきます)意外と手厚いぞ健康保険。

ただし注意してほしいのは以下の点。
・何でも健康保険が使える訳ではない事
(故意に起こしたケガとか、リラクゼーションを目的としたマッサージ等には使えません)
・給付期限は2年間。それ以上は遡って請求出来ません。

◆保険料について

次はこの健康保険ってぶっちゃけいくらかかるのか?という話です。健康保険法第161条によると保険料の負担割合は事業主負担2分の1、被保険者負担2分の1ですが、実は健康保険組合の規約をもって事業主の負担割合を増加することができることとされております。(同法第162条)
協会けんぽですと労使折半、組合健保だと事業主負担割合が多いのが一般的と言われています。
同じ健康保険でも加入先によって保険料のばらつきがあるのはそういった負担割合の違いの他に、組合によって保険料率が違うからという理由があるからです。
そして健康保険料の算出方法は、「標準報酬月額」に保険料率を乗じて決定し、その額を被保険者と事業主とで半分ずつ負担します。

「標準報酬月額」は毎年4~6月の3か月間の給料の平均額を基に50等級にレベル分けして決められます。(「定時決定」と言います)
「4・5・6月は残業しない方がいい!」という話を聞いた事がありませんか?この3か月間給料UPするとその平均額も上がってしまい、連動して社会保険料も上がってしまうのでそれを防ごうという話なのです。
ちなみに残業だけではありません。交通費や各種手当や現物支給なども含まれますので、この期間は出来るだけ給料が上がるのを抑える様にした方が保険料も上がらなくてすむよという事です。(とはいえ数千円程度の給与UPの場合であれば保険料が大きく変わらなかったりします)
ちなみにこの標準報酬月額は当然収入が変われば変更する必要があります。(社保担当的にはこれを月額変更、略して月変[げつへん・げっぺん]と呼んでいます。もしくは随時改定とも言います)
私もフルタイム勤務から育児による時短勤務で復帰した際に、この月変を行ったので収入に見合った保険料となりました。変更してから3ヶ月間の給料を証明する必要があるのですぐには変わりませんが、復帰後の月収が約20万で17等級、月々の健康保険料は9800円となっています。職種変更などで大幅に給与の変更があった方はぜひご自身の給料明細をご確認の上、保険料も反映しているか確認して下さいね。

◆民間医療保険との重複にご注意を

触りだけ書きましたが「公的医療保険制度」意外と色々あるんだなというのはわかっていただけたでしょうか?私の担当が健康保険の為、国保などそれ以外の公的保険についてあまり詳しく書けないのが申し訳ないのですが、実は知られていないだけで色々な給付があります。気になった部分はご加入先の保健担当者に聞いてもらえれば詳しく教えてもらえるはずなのでぜひ聞いていただければと思います。
あと、余談ですが公的医療保険制度は確かに有難い制度だと思います。国が色々決めて平等な医療を国民に提供する、でも医療技術そのものが保険制度の中で最高のものかというとそうではないと私は思っています。
自由診療を色々受けた中でそれが全てとは思わないけど公的医療保険って何なんだろと思わされるのもまた事実。難しいですね。

最後にひとつ。ここまで公的医療保険について書きましたがよくテレビCMで見るアヒルのあの会社とかライフ○ット生命♬などの「民間医療保険」についても健康保険で賄える部分との重複があったりしますので、加入されている方がいらっしゃいましたら「被っている特約はないかな?」「無駄に保険料を払っていないかな?」と定期的な見直しをお勧めします。国の保険で賄えない部分を民間の保険でカバーするのが自分にもお財布にも優しいのではと元損保担当者でもある私は考えています。勿論個人の考えやライフスタイルもありますので一概には言えませんが、天引きされてるものだからで終わるのではなく「社会保険はどこまで保障してくれるのか」をきちんと把握して賢く保険料を納めるのがよりベストな選択だと思います。長々と書いてしまいましたがここまでお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?