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ゴールドラッシュで栄えた街、バララット

シドニーからメルボルンへ4日ほど遊びに行ってきた。

シドニーとメルボルンって、日本でいえば東京と大阪、という感じの二大都市で、僕もだいたい年に一回は訪れている。

ただ、最近はメルボルンの街なかをうろついてばかりだったので、今回は少し遠出をして、いわゆる「観光」をしようと思った。
ただ、車を持っていないので景色のいいスポットに行くとなると少しハードルが高い。

ツアーに参加するのも面倒なので、鉄道で行ける場所で面白そうな場所はどこかあるかなあ、と調べた結果、バララット(Ballarat)という街に行くことにした。そこそこ大きな街だし、鉄道は毎時一本ほど出ているし、簡単に行けそうだ。

まずは、メルボルンのターミナル駅であるサザンクロス駅に行く。

波打った大屋根が特徴的な、モダンな駅である。プラットフォームがずらりと並んでいるうちの一角が、地方都市に行く中・長距離列車専用のフォーム。こちらはV-Lineという名称になっている。

ステンレスボディーに紫色と黄色の塗色をされたスマートな形状の気動車が入線していた。ちなみに、紫はこのヴィクトリア州のカラーらしい。

朝のラッシュ時間も過ぎ、シティとは逆方向に行くせいか、列車は3両編成とコンパクトで、乗客も、車両の半分程度。

車内は、2+2の座席配置になっていて、席の方向は変えられないようになっているため、前向き、後ろ向き、4席向かい合わせ…とややランダムに配置されている。
その座席は、テーブルやリクライニングといった設備はないが、程よくクッションが効いているので快適に過ごせそうだ。携帯を充電できるようなUSBポートのようなものはなかったと思う。

定時になって、列車はエンジンの音を響かせてサザンクロス駅をゆっくりと出発し、かなり広い操車場のようなところを縫っていくかのように進行し、だんだんスピードを上げていく。

郊外の住宅地にある駅に停車しつつ、だんだんと家が減って緑が増えてくる。シドニーと比べると、フラットな土地だなあ…。

だんだん駅間が長くなっていき、放牧地のような景色が広がってくる。

1時間半ほど、そんな車窓を見ていると、周りの家が増えてきて、列車はバララット駅に到着。

わ、なにやら風格がある駅だ…強いていえば、イギリスっぽい?まあもともとイギリスだったから当たり前だけど。
線路の真上になんと腕木式信号機が並んでいて、これはカッコ良すぎるでしょ!

駅の待合室も、天窓がステンドグラスになっているし、大きな掛け時計も雰囲気がある。木のパネルの天井も暖かみがあっていいなあ。

駅舎を外から見ると、これも立派。入口のアーチも素敵だし、時計塔もチャーミングだ。

そもそもこのバララットという街は、ゴールドラッシュで栄えたことで有名で、当時は一攫千金を目論んだ者ものが世界中からやってきて、たいそう栄えたそうだ。ということなので、街には当時の栄華をしのばせる豪華な建物がたくさん残っている。

 ただ、この日は平日、ホリデーシーズンでもないので街の目抜き通りもガランとしている。

駅から5分ほど歩くと、メインストリートに入った。

わ~、きれいな建物がずらりと並んでいる。ヴィクトリアンスタイルとでも言うのかな、石造りの建物が道の両側に。

シドニーやメルボルンにもこういう時代的建造物はそれなりに残っているけど、大都市では他のモダンな高層ビルに隠れて埋もれがち。
バララットの場合、街のひと区画がほぼこのような建物なので、街並みとしてはとても素敵である。

さて、バララットの観光名所といえば、Sovereign Hill 。ゴールドラッシュ時代の町並みを再現した、まあ明治村みたいな場所だ。

バスでも行けるようだが、歩いても30分ほどだったので、ぶらぶらと向かうことにした。それくらいの距離を歩くのは別になんともないのだが、夏にふさわしくない天気で、小雨まで降ってきた。

なので少し打ちひしがれた様相で辿り着いたが、その頃には雨は止んでいた。

さて中の様子だが、砂金の採取、地下の坑道巡り、という体験ができたり、当時の作り方によるキャンディー作りの実演があったり、などなど、結構楽しめる。

もちろんパブもある

時間になると、兵隊が町の目抜き通りを行進し、ユニオンジャックの旗のもと、マスケット銃を斉射する。結構大きな音がする。

色々なアトラクションがあって、大人も子供もなかなか楽しめる場所だなあ、と思った。

さて、帰る時はバスを使って市街地に戻った。公立美術館をざっと見たり、また街並みを観察したりした。

僕はどこかに行くと地元のブリュワリーを探すのが趣味というか、オブセッションになってきているので、もちろんこのバララットにもいくつかクラフトブリュワリーがあるということを下調べしていた。

ただ、市街地にあるのは一軒だけのようで、マップを頼りに行くと…あった。

Aunty Jacks という名のブリュワリーだ。

中は観葉植物にあふれたアットホームな雰囲気で、これは期待が持てる。

ビールの種類もかなり多かったので、いつも通りパドルを頼んだ。

ここも昼下がりということもあって客はあまりいないので、ほぼ貸し切り状態のバーで午後のビールをちびちびと楽しむ。

さて、この近くには今度はディスティラリー(蒸留所:ジンやウォトカのようなスピリッツを作る場所)のバーがあるようなので、帰りの列車がせまっているが、一杯くらいは飲めるだろう。

お店の前に行くと…おお、なんだこの豪華な店構えは。

分厚い木の壁、シャンデリア、そして天井からはまたしても観葉植物がぶら下がっていて、なんとも豪華。1930年代にタイムスリップしたかのような。

ここでは自家製のウォトカ、ジンを作っているようで、僕はきゅうりのジンをトニックウォーターで割ったものをオーダーした。

歩き疲れた身体に、きゅうりの爽やかな香りがたまらない。

これ美味しいですね!とバーテンダーに言ったら、「そうだろ?」と言って、そのジンをストレートで少しだけ別のグラスに入れて出してくれた。

ストレートで飲んでも、とてもまろやかで、スピリッツ独特のピリッとした味を感じさせないものがあった。これは美味い。

食べもののメニューもアジア風のひねりがあって食べたかったのだが、残念ながら列車の時間が迫っていたので後ろ髪を引かれつつ、バーを後にした。

帰りの列車は学校帰りの生徒でかなり賑わっていたが、それを見越して6両編成になっていたのでなんとか座席を見つけ、ことんと寝ている間に列車はメルボルンの郊外にまで至っていた。

オーストラリアの地方都市、色々深堀りすると面白そうだ。今度はまたどこかに行ってみよう。

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